オトナの社会科・中東からの声を手掛かりに。

syuklm.exblog.jp

タグ:大使館移転 ( 2 ) タグの人気記事

私が見たエルサレム・今も変わらぬ願い。和平を難しくしているものPart2:エルサレム帰属問題


b0343370_23214263.jpg

▲エルサレム首都認定1週間 「平穏壊さないで」

神奈川新聞1213日付(共同通信)





■トランプ発言でギリギリの緊張状態に■






イスラム教徒のパレスチナ人、

ハニさん(37


「これまでもこれからも、われわれは

ここで一緒に暮らしていくしかない。

そのためには平和が一番大切なんだ」





土産物屋を営むユダヤ人、

タミル・ドゥエクさん(40



10日前には(イスラム教徒が多い)

東エルサレムで昼食を食べたが、

今は危なくて行けない。

トランプ氏はここで暮らす全員を

危険にさらしている」


「われわれはもう十分傷つけ合ったのに」





キリスト教徒のパレスチナ人、

サミーラ・ハバシュさん(55


「平穏な生活が続くことを願うが、

何が起きるか全く予想がつかない」









■私が見たエルサレムも、共存を願っていた■





2002年、私がエルサレムを訪問したのは

2次インティファーダ(民衆蜂起)の

真っ只中でしたが、そんな時でさえ、

異なる宗教の人達がごく普通に

行き交っている街でした。


b0343370_20073272.jpg
▲NHK「時事公論」より、3大宗教の聖域





イスラム教の聖域、黄金色に輝く

「岩のドーム」側の礼拝から

帰ってくるスカーフ姿や

Tシャツ姿のアラブ人も、


そのすぐ裏側の「嘆きの壁」へ

向かう、キッパ帽をかぶったり

黒づくめのユダヤ教徒も、


キリストが磔になったゴルゴダの丘

跡に建てられた「聖墳墓教会」で

祈りを捧げるキリスト教徒も、

誰も争っている人はいませんでした。







市民ツアーコーディネイターの

パレスチナ人男性は言っていました。


「何百年も前から、ヨーロッパで

キリスト教徒が困ってやって来た時も、

ユダヤ人が世界中で迫害された時も、

僕たちはずっと受け入れて

一緒に暮らしてきたんだよ」。





西エルサレムに住むイスラエル人男性は、

「軍事占領が続いているから、

パレスチナ人の憎しみが募る。

イスラエルは、これ以上の占領を

やめるべきなんだ」と、

パレスチナ占領地での軍務を拒否しました。





西エルサレムのイスラエル首相官邸前で

毎週金曜に開催されていた平和集会では、


「Stop the occupation」

(占領を終わらせよう)、


「1City 2Capitals

(ひとつの都市、二国家の首都)


というスローガンが、

英語・アラビア語・ヘブライ語で掲げられていました。


▼2002年6月、エルサレム首相官邸前集会にて筆者撮影

b0343370_23220774.jpg

b0343370_23222318.jpg




こうした集会は今も続けられています。

共存への願いは、今も変わっていないのです。






それを困難にさせているのは誰なのか?


和平を困難にしている要因のひとつとされる

「エルサレム帰属問題」は、何が難しいのか?








■エルサレムってどんな街?■







そもそもエルサレムって

どういう構造になってるのか?


改めて整理してみます。





▼エルサレム全体図。オレンジの囲みの中が旧市街、

その右側が東エルサレム、左側が西エルサレム。

※現地で入手したガイドブック「This Weekin Palestine 20026月発行」(FREE COPY)より

b0343370_14591375.jpg



エルサレムには、ざっくり3つのエリア

(西エルサレム、東エルサレム、

エルサレム旧市街)があります。




西エルサレム側は、クネセト

(イスラエル国会議事堂)や

首相官邸がある、比較的新しい街。



東エルサレム側は、

ムスリム居住区などがあります。



そしてエルサレム旧市街に、

3大宗教の聖地が集中しています。




有名なイメージはこの旧市街ですが、

もっとざっくり、東エルサレムに

旧市街を含めて報道されることが多いですね。







▼エルサレム旧市街の詳細(上記地図に、しゅくらむが加工)

b0343370_12501412.jpg


古い城壁に囲まれた旧市街は、

わずか1キロ四方ほど。

その中にギュッと圧縮されたように、

お互いの聖域が隣接しています。




紀元前からのエルサレム光芒の歴史を

ここでまとめるなど到底できませんが、

少なくともハッキリしていることがひとつ。




何百年もの間、

今まで何度も支配者が変わり、

危機的な状況に遭っても、

多くの人達は、何世代にも渡って

この小さな空間の中で居を構え、

商いを続け、礼拝に行ったり

学校に通ったりして、

ご近所さん同士として、毎日一緒に

暮らし続けてきているんです。




だからこれは、宗教対立じゃない。

政治の問題なのです。








■エルサレム帰属問題の変転■



b0343370_23473265.jpg

▲パレスチナ境界線の変遷

「ドキュメント 聖地エルサレム」平山健太郎さん著・NHK出版より





1947年、国連決議が定めた

パレスチナ・イスラエル分割案では、

「エルサレムは国連管理下の

国際都市とする」ことになっていました。




しかし、1948年の第一次中東戦争の結果、

西エルサレム側をイスラエルが、

東エルサレム側(旧市街含む)を

ヨルダンが占領。



そして1967年の第三次中東戦争で、

今度はイスラエル軍によって

東エルサレム(旧市街含む)が

併合されてしまいます。




直後の国連安保理242号決議では、

占領地からの撤退が決議されていますが、

イスラエルは応じていません。




パレスチナ側の、「将来の2国家共存で

東エルサレム側を首都に」という願いは

宙に浮いたままです。









■エルサレム帰属問題の「落としどころ」はどこに?■






◆イスラエル平和活動家が展望するエルサレムの未来◆





エルサレム問題の解決策について、

日本在住のイスラエル人平和活動家

ダニー・ネフセイさんが

非常に明快に示されていたので、

ご紹介させていただきます。






ダニー・ネフセイさん126日付FBより




***シェアココから****



「私のエルサレム問題についての意見。


西エルサレム=イスラエルの首都

エルサレム=パレスチナの首都

嘆きの壁・岩のドーム・近隣の

キリスト教会=国際管理地域。

これしかないのです。


いずれはそうなると信じています、期待しています。



しかしこれは実現するのは次の中東戦争の前かあとか?

戦争の前に実現出来るように声をあげ続けます。

貼り付け元 <https://www.facebook.com/search/top/?q=%E3%83%80%E3%83%8B%E3%83%BC%20%E3%83%8D%E3%83%95%E3%82%BB%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%80%80%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%83%AC%E3%83%A0>





***シェアココまで********






本当にその通りと思います。

私も賛同します。



その実現によって和平を具体化しようと

渾身の努力を続けてきた人達も

パレスチナ・イスラエル双方にいるからです。


(この件は、Part3:難民帰還権の際に書きたいと思います)








◆100%の答えは存在しなくても◆







もちろん実現が容易ではないのは

重々承知しています。




そもそも国連の分割案自体が、

パレスチナ人が承知しないところで

決められてしまったものです。



一方イスラエルから見れば、

戦争で勝利して手に入れた領土

(違法にせよ、既に人が生活している)

を手放すわけですから、

双方失うものがゼロというのはありえない。




そして、日本人の私が、

「二国家共存」と言い切ることで、

納得していないパレスチナ人を

傷つけることになるのではないか

という怖れも持っています。





それでも、

誰もが納得する答などない中で、

少なくとも、

これ以上の流血を起こさせないために、

次善の政治的解決策を現地の人達が選択

できるように、周りが支援するべき

なのではないでしょうか。




ギリギリで踏みとどまっている

共存への望みの糸を、

外側から引きちぎるようなことが

あってはならないと思うのです。





日本でも、

「私達はトランプ発言を支持していない」

「二国家共存を支持している」

という声を可視化していきましょう。




# 1City 2Capitals

(ひとつの都市、二国家の首都)

# Stop the occupation!

(占領を終わらせよう!)

# We don't support Trump's declaration

(私たちはトランプ発言を支持しません)

# We support peace!

(平和を支持します!)





ぜひ一緒にお願いします!





また、エルサレム現地で活動している

平和団体のURLを貼ります。

イイねやシェアで支えていきましょう!!





AIC(オルタナティブ・インフォメーション・センター)

私が話を聞いた兵役拒否者の男性が務めていた

パレスチナ・イスラエル共同のNGO

エルサレムを中心に活動。



▼ピース・ナウ

イスラエル最大の平和団体。

エルサレムやテルアビブで平和集会を共催。

イスラエル議会内和平派や中間層に大きな影響力を持つ。




JVC(日本国際ボランティアセンター)さんが

「パレスチナを支援するイスラエルのNGO」についてまとめてくださってます!!

パレスチナを支援するイスラエルのNGO



特にこちら、世界最大の紛争防止NGO

Search for Common Ground」は、

エルサレム聖地を巡る問題を

対話により解決するために取り組んでいるそうです!

https://www.facebook.com/sfcg.org/








【当ブログ内関連記事】




和平は、「仲良くする/しない」の問題じゃない。パレスチナ和平を難しくしているもの・Part1;土地と水利権の問題



【関連カテゴリー】

エルサレム・和平・国際監視





【参考図書など】


高橋和夫さん著


「なるほどそうだったのか!!パレスチナとイスラエル」

2010年 幻冬舎


「アラブとイスラエル」

1992年 講談社現代新書



平山健太郎さん&NHKエルサレムプロジェクト

「ドキュメント 聖地エルサレム」

2004年 NHK出版






byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。
筆者が知る数少ないアラビア語です。
ココでの出会いと、ここまで読んで下さったことに、感謝をこめて。
シュックラム!



↓よろしかったらポチポチっと押していただけますと励みになります↓

にほんブログ村 旅行ブログ 中東旅行へ   

にほんブログ村   人気ブログランキングへ

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村
by shuklm | 2017-12-17 00:01 | エルサレム・和平・国際監視 | Comments(3)

トランプ米大統領「エルサレムはイスラエルの首都」は何故アカンか?ざっくり書いてみた。※追記アリ





【写真は2017年12月6日11時02分NHKニュース速報より】
b0343370_21534576.png




米トランプ政権 エルサレムをイスラエルの首都と認定へ

12月6日 11時02分 NHKニュース速報

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20171206/k10011248121000.html

b0343370_21540437.png
【写真は12月6日11時02分NHKニュース速報より】






◆何がモンダイか??あえて単純化してまとめると。◆





・「永遠の都エルサレム」は、

イスラム教徒もユダヤ教徒も

(もちろんキリスト教徒も)

ずーっと共存してきて、

「将来の共同首都」というのが

パレスチナ・イスラエル和平で

目指されていたから。



・オスロ和平合意後、一時期は

パレスチナ・イスラエル間で、

エルサレム共同管理のために、

水道や電気等のインフラを

どう分割して引くかとかまで

具体的な詰めの作業まで進んでいたから。



・その後、イスラエルの軍事占領や

それへの抵抗で、対話が途絶え、

パレスチナからもイスラエルからも

「オスロ合意は死んだ」って

言われて久しいけど、

「共同首都」構想は

唯一崩壊していなかった。


b0343370_21561872.png
【写真は12月6日11時02分NHKニュース速報より】




・それなのに今になって

イスラエルだけに首都と

認めるってことは、

そのオスロ合意すら

ちゃぶ台返しするってことになってしまう。



・不完全な合意内容だったけど、

それでもないよりはマシだった。


国際社会が介入して、

50年がかりでようやく成立した

その和平合意以前に逆戻りするってことです。


b0343370_21551771.png

【写真は12月6日11時02分NHKニュース速報より】







◆「エルサレム首都認定」がもたらす意味◆





1948年の第1次中東戦争から

1967年の第3次の中東戦争まで、

アメリカなどの後押しを受けた

イスラエルに惨敗したアラブ諸国と、

第4次中東戦争でエジプト・シリアに

潰走させられたイスラエル。



その後、お互いに睨み合ったまま

危ういところで保たれていた中東の均衡。




そして1980年代、

イスラエルの軍事占領に対して、

それへの抵抗として、

丸腰のパレスチナ人たちが

戦車に石を投げて始まった

インティファーダ(民衆蜂起)。





そうしたパレスチナ紛争の

解決を目指して、

オスロ合意を取りまとめたのは、

当時の米大統領、ビル・クリントン。




この数少ないアメリカの

外交的成果まで消失させ

中東政策の場当たりさを晒した、

今回のトランプ発言。


もし首都移転が現実化されれば、

中東の不安定化を一挙に加速させてしまう。



(「IS掃討」でかき消されていましたが、

もともと彼らの怒りの根源は、

パレスチナ問題にもあったからです)






深刻なのは、

おそらくトランプ大統領自身が

一番デリケートなスイッチであることを

まったく理解しないままで、

ど真ん中を押そうとしてるってことだと思います。







なんでそんな危険なことを??◆






世界最新鋭の兵器市場イスラエルへの

テコ入れというのはあるかもしれませんが、

個人的には、もっとも直截的な理由は、

もっと近視眼的だと思います。




大統領選挙でも大きな影響力を発揮した、

トランプの票田「キリスト教福音派」。


「エルサレムに神殿再建設」を掲げています。





【写真は12月6日11時02分NHKニュース速報より】

b0343370_21542071.png

▲エルサレムの神殿の丘

(イスラム教徒やユダヤ教徒が

祈りを捧げてる聖域)




ココにいきなりトレーラーで乗り付けて、

デッカい建設資材とか運び込んで

神殿建設強行しようとした極右宗教団体と

同様の主張をしてるような人達です。



(NHK出版「ドキュメント・聖地エルサレム」に

再建強行未遂の詳細記述があります)





フツーにアカンでしょう、ソレ。






そんな特殊な「票田への配慮」のために

中東全体が付き合わされるなんて、

たまったもんじゃない。



パレスチナやイスラエルの良心的な

和平派の人たちが孤立することに

なってはいけないと思います。







今回はまともな日本政府の対応◆





2017年12月6日現在、日本政府は

「(首都)テルアビブの日本大使館を

エルサレムに移転する予定はない」と

エルサレムを首都として認めない旨を

表明していますが、これは賢明だと思います。



私は安倍政権自体は全く支持しませんが、

個別の外交課題について

対米一辺倒でないのは

ちゃんと評価して後押しすべきかと。


「トランプに脅されてもOKするなよ」と。



「米国の真の友人」と言うのなら、

そのスイッチの意味を伝えるべきでしょう。







日本の私たちに出来ることは??◆





パレスチナ・イスラエルの和平派を

支えていく必要があると思います。




「エルサレム首都認定」を唱える

イスラエルのネタニヤフ首相は、

国会では絶対多数を確保していません。



和平派・中道派への後押しが重要です。




パレスチナ・イスラエル双方の

和平に取り組んでいる団体の

URLFBを末尾に貼ります。



ぜひイイねやシェアや応援コメントで

勇気づけましょう!




すべて英語メインですが、

(語学力がなくて訳せなくて

申し訳ありません…)


I support you from Japan!

(日本からあなた達を支持してるよ!)

だけでもいいと思います!!






【関連アドレス】



▼ピース・ナウ

イスラエル最大の平和団体。

議会内の和平派や中間層に大きな影響力を持つ。



▼PeaceNow2018年5月14日付けバナー ぜひ拡散を!!

「トランプ、エルサレムはあんたのオモチャじゃない!!」 

b0343370_17393825.jpg

Facebook

https://www.facebook.com/PeaceNowIsrael?fref=ts


Twitter






▼「Palestine Center for Rapprochement Between People

Rapprochementは「国家間の親善」の意。

1988年(第1次インティファーダ開始直後)、

パレスチナとイスラエル双方で設立。

http://www.rapprochement.org/



▼「Bleaking The Silence (沈黙を破る)

イスラエル元将兵が、パレスチナ占領地での

自らの体験(人道的犯罪)と向き合い、語り継ぐ活動。

https://www.facebook.com/BreakingTheSilenceIsrael?fref=pb&hc_location=profile_browser

http://www.breakingthesilence.org.il/





【当ブログ内関連記事】




私が見たエルサレム・今も変わらぬ願い。和平を難しくしているものPart2:エルサレム帰属問題




和平は、「仲良くする/しない」の問題じゃない・パレスチナ和平を難しくしているものPart3;難民帰還という悲願



「パレスチナ問題」手掛かりを探す。その3「インティファーダの衝撃」




「いつの日か、平和になったパレスチナで会おう」。





※追記※

エルサレム神殿の丘にトレーラーで乗り付けたのは、
「テンプルマウント・フェイスフル」というイスラエルの極右宗教団体です。
主張は「福音派」と同じ「エルサレム神殿再建」ですが、
両者を混同する書き方をしてしまったので訂正させていただきました。
また、出典はNHK出版「ドキュメント・聖地エルサレム」でした。
こちらも訂正させていただきました(2017.12.6)


※追記2※
イスラエル最大の平和団体「ピース・ナウ」にリンクを張り替えました。
ぜひシェアを!!(2017.12.7)


※追記3※
より正確な文言に修正しました。
オスロ合意ではエルサレム帰属問題は確定しておらず、合意後に将来の共同首都について協議して行くことになっていたので、「和平で目指されていた」に修正しました。
中東戦争でイスラエルを支援していたのはアメリカだけではなくフランスや旧ソ連もあったので、「アメリカなどの後押しを受けたイスラエル」と修正しました。
大急ぎで書いたとはいえ、不正確な表現で申し訳ありませんでした。(2017.12.13)


※追記4※
「ピース・ナウ」のエルサレム大使館移転反対バナーを追加しました
ぜひシェアを!!(2018.5.14)




byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。
筆者が知る数少ないアラビア語です。
ココでの出会いと、ここまで読んで下さったことに、感謝をこめて。
シュックラム!



↓よろしかったらポチポチっと押していただけますと励みになります↓

にほんブログ村 旅行ブログ 中東旅行へ   

にほんブログ村   人気ブログランキングへ

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村
by shuklm | 2017-12-06 22:02 | エルサレム・和平・国際監視 | Comments(0)