オトナの社会科・中東からの声を手掛かりに。

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2015年 03月 26日 ( 1 )

【時事】チュニジアの若者たちは、いま。~サッカー日本代表・チュニジア戦に寄せて。

明日327日に開催される、サッカー日本代表とチュニジア代表の国際親善試合。

試合前には、チュニジアで起こった外国人襲撃事件の犠牲者への黙祷が捧げられるようです。



チュニジアの人たちは、いま、どんな思いでいるのか。



私自身はチュニジアについては「アラブの春」民主化運動の発端となった国という以外ほとんど知らないのですが、先日届いたばかりのニュースレターにチュニジアの現状についての分析がありましたので、ご紹介させていただきます。

講演された酒井啓子さんは中東問題の専門家で、イラク研究の第一人者です。




【酒井啓子さん講演「『イスラーム国』が投げかける中東の危機」(20141129日開催)より抜粋】



”今イスラーム国に集まってくる人たちで多いのはチュニジア人だと言われています。男性も女性もチュニジアからイスラーム国に入り込んでいる。”


”チュニジアと言えば、アラブの春で一番成功した、ちゃんとした民主化ができた国としていつもほめられる対象です。ところがふたを開けてみると成功したはずのチュニジアから、(2014年)6月の時点で3,000人近い人々がこのイスラーム国に集まっていると言われています。これは何を意味するのか? ”


”民主化という欧米社会が喜ぶような形で解決したとみんな思っているけれども、経済問題、失業、その他社会問題を見ると全然解決していない。チュニジアは成功して良かったね、君たちの未来は明るいねと言われながら、実は何の解決にもなっていないというような状況が辛い訳です。”


”そういう行き場の無い人たちがこのイスラーム国に集まってきている。イスラーム国に温かく迎え入れられ、「イスラーム教徒として頑張っている」と褒められて、やりがいがある社会が見いだせるわけなんですね。

要するにアラブの春の失敗と、その裏返しとして入ってくる人たちが多い。”


(出典:認定NPO法人「パレスチナ子どものキャンペーン」ニュースレター「サラーム(平和)」最新号 2015321日発行より)




チュニジアの人口は約1,067万人。

日本の人口(約12653万人)の12分の1くらい。

チュニジアの3,000人というのは、単純に日本人口に当てはめると、36,000人に当たります。

これは、決して少なくない数字だと思います。

自らの国の未来に希望を持てずにISやアルカイダなどの「過激派組織」に向かう若者たちは、今なお増えて続けていると言われています。




その一方で、多くのチュニジアの人たちが、襲撃事件に抗する声を挙げています。


「チュニジア独立記念日に大統領 反テロで結束訴え」(2015322日付 神奈川新聞)

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女子大生イウマイア・アレグさんは「国の独立の祝賀と、テロとの戦いでの連帯の二つを示すために来た」と話した。

元教師のシェリファ・ハウウェイさんは「この国にとって大切な価値が攻撃を受けている。今こそ本当の独立に向かって前進するという気持ちが必要だ」と訴えた。





そういう意味では、来日するチュニジア代表の選手たちも、少なくとも、母国の現状に絶望せず、自らの社会に踏みとどまって生きていくことを選んだ若者たちと言えると思います。


それが仕事にせよ何にせよ、いま試合のピッチに立つことに対して、「心からウェルカム」と伝えたい。



旧ユーゴスラヴィア出身のハリルホジッチ新監督もイスラム教徒だそうですが、そんなことは全く問題じゃない。

内戦を生き延びた「緻密で情熱的な稀代の戦術家」と日本代表とのどんなケミストリが生まれるのかが気になります。

この時期だからこそ、宗教も国籍も文化も越えてお互いがベストを尽くせるよう願って、応援したいと思います。



スタジアムでも、日本中でも、温かい拍手と声援が送られますように。



※文章若干修正しました。


byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。

筆者が知数少ないアラビア語です。

ここでの出会いと、ここまで読んで下さったことに感謝をこめて。

シュクラム!



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by shuklm | 2015-03-26 22:40 | サッカー/スポーツと政治 | Comments(0)