オトナの社会科・中東からの声を手掛かりに。

syuklm.exblog.jp

2015年 03月 11日 ( 1 )

4回目の、3・11。原発再稼働に賛成・容認・反対にかかわらず、すべての人に観てほしい映画「遺言~原発さえなければ」。




『あの日』、日本は突然、戦場になった。


「放射能」という、眼に見えない弾丸が飛び交う戦場に。

b0343370_07120303.jpg

▲震災翌日の2011312日から福島県に駆けつけた2人のジャーナリストが

被災者に密着して撮り続けた、3年間・800日のドキュメンタリー






*************



ガイガーカウンターの針が振り切れ、

呻くようにうなり続けるシーンから

映画は始まる。




福島県飯館村。




無数の蛍が舞う豊かな自然の中で、

牛を飼い、牛と暮らし、

酪農と農業で「日本一美しい村」

を目指し、原発に依存しない

地域を築きあげてきた。




それが、一瞬にして失われる。




すべての生産物が出荷停止、

「計画的避難区域」に指定され、

全村避難が決定。




住民は、毎日毎日、

湯気の立つ搾りたての生乳を廃棄し、

大切に育てた農作物を刈り倒し、

そして、家族同然に暮らしてきた

牛たちを自ら一頭一頭引きずって

トラックに載せて殺処分するしかなくなる。



慟哭のように、低く長く響く、

牛たちの啼き声。


取り返しのつかないほど

汚染されてしまった大地。


全村避難によって

生まれ育った地から引き剥がされ、

バラバラになってしまった住民。




先の見えない日々に、

ついに自殺者が出てしまう…。






住民の避難や放射能対策に奔走した

畜産家のリーダー・

長谷川健一さんも、

35年手塩にかけてきた牛舎と、

仲間たちと創ってきた

村の未来図を諦めざるを得なくなる。




「真っ暗闇の中を、ただ

ひたすら歩いてるんだ…」と

語る長谷川さん。



「ごめんなさい。

どうしたらいいのか、僕もわからない」

と、豊田監督も、画面の中で一緒に哭く。




それはそのまま、

観ている観客の思いそのものだった。





***********





長く、重い、3時間45分。




一切のナレーションなしに、

ただ淡々と映し出されていく

現実に、言葉を失います。






昨年3月、封切り直後の

この映画を劇場で観ました。



立ち上がれないほどの重さを

感じながら、しかしそれでも、

幕が下りた直後、

「えっ、この後、長谷川さんたちは

どうなっちゃったの?」と、

すぐに続きを観たくなっている

自分がいました。




それは多分、そこに生きている

ひとりひとりが、とても

魅力的な人たちだったからだと思います。





周囲の信頼も厚い長谷川健一さんは、

文句なしにカッコいいオヤジさん。



そんな長谷川さんも実は

頭が上がらない奥さん。



茶髪にピアスの長男・

長谷川義宗さんは、

調理師をやめて、

後を継ぐことを決意します。



シニカルな発言をしながら、

畜産再建の熱い想いを

胸に秘めている、

田中一正さんも一緒です。




避難生活の中、

久しぶりに村民が集まり、

泣き笑いしながら催すお花見、

お盆のお墓参り、

お祭りの踊り…。



飯館村の自然の中で営まれる季節を

一緒に体感しているうちに、

絶望の中でも希望を

紡ごうとするこの人たちに、

「もう一度、会いたい」

という気持ちになっていました。





それでも、「あの日」以前には、

二度と戻らない。


4年経って、むしろ飯館村の人たちの

状況は過酷さを増しています。



除染したフレコンバックは増え続け、

何の保証もないまま避難生活が長引き、

早期帰村するか否かを巡って

亀裂も生まれてしまっています。




奪われた故郷や分断された絆は、

そして何より

喪われてしまった人の命は、

二度と還ることはない。




そしていまだ残る放射能汚染を、

誰もコントロール出来ていない。






これは、「フクシマ」だけの問題ではない。

原発立地自治体や

近隣自治体だけの問題でもないでしょう。




原発を動かし続けるということは、

こうした喪失と常に隣り合わせに

生きるということであることを、

私達は知らされました。




私達は、こうした喪失を、

また誰かに味あわせるのか。


それを自分や未来の誰かが

負うことを、よしとするのか。






原発再稼働について、

「積極的に賛成はできないけど

仕方ないのでは」という容認の人も、

積極的に賛成する人も、

まずは、この現実を共有してから

考えてみて欲しいと思うのです。






共同監督は、私が敬愛する

ジャーナリスト・豊田直己さん。


イラクやパレスチナなどの紛争地・

大津波アチェなどの被災地で、

そこに生きる人たちの姿を

追ってこられました。




もう一人の監督・野田雅也さんも、

チベットの核実験場をはじめとして、

紛争地・被災地で取材を

続けてこられた方です。





豊田監督は、

「セシウムが半減する

30年後まで撮り続ける」

と決意を語られていました。




昨年3月に公開された

この映画「遺言」は、

クラウドファンディングで

募られた資金によって全国上映が実現。




ごく些少ながら私も

出資させていただきましたが、

その後「原発映画はヒットしない」

という「常識」を覆して、

各地で満員が続いているとのことで、

思いを同じくする方々が

数多くいることを実感しています。




現在、「ポレポレ東中野」にて、

凱旋・アンコール上映中です。



映画のHP/上映スケジュールなどはコチラから↓

http://yuigon-fukushima.com/



※追記※

2016年現在、DVD発売中です






天災は避けられないけれど、

人災による苦しみは

もう二度と繰り返したくない。




少しでも、出来ることを

やっていきたいと思うのです。








byしゅくらむ


シュクラム」はアラビア語で「ありがとう」。

筆者が知数少ないアラビア語です。


ここでの出会いと、ここまで読んで下さったことに感謝をこめて。

シュクラム!



↓よろしかったらポチっと押していただけますと励みになります↓

にほんブログ村 旅行ブログ 中東旅行へにほんブログ村 人気ブログランキングへ


by shuklm | 2015-03-11 07:21 | 沖縄・原発・震災など | Comments(0)