オトナの社会科・中東からの声を手掛かりに。

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私が見たエルサレム・今も変わらぬ願い。和平を難しくしているものPart2:エルサレム帰属問題


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▲エルサレム首都認定1週間 「平穏壊さないで」

神奈川新聞1213日付(共同通信)





■トランプ発言でギリギリの緊張状態に■






イスラム教徒のパレスチナ人、

ハニさん(37


「これまでもこれからも、われわれは

ここで一緒に暮らしていくしかない。

そのためには平和が一番大切なんだ」





土産物屋を営むユダヤ人、

タミル・ドゥエクさん(40



10日前には(イスラム教徒が多い)

東エルサレムで昼食を食べたが、

今は危なくて行けない。

トランプ氏はここで暮らす全員を

危険にさらしている」


「われわれはもう十分傷つけ合ったのに」





キリスト教徒のパレスチナ人、

サミーラ・ハバシュさん(55


「平穏な生活が続くことを願うが、

何が起きるか全く予想がつかない」









■私が見たエルサレムも、共存を願っていた■





2002年、私がエルサレムを訪問したのは

2次インティファーダ(民衆蜂起)の

真っ只中でしたが、そんな時でさえ、

異なる宗教の人達がごく普通に

行き交っている街でした。


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▲NHK「時事公論」より、3大宗教の聖域





イスラム教の聖域、黄金色に輝く

「岩のドーム」側の礼拝から

帰ってくるスカーフ姿や

Tシャツ姿のアラブ人も、


そのすぐ裏側の「嘆きの壁」へ

向かう、キッパ帽をかぶったり

黒づくめのユダヤ教徒も、


キリストが磔になったゴルゴダの丘

跡に建てられた「聖墳墓教会」で

祈りを捧げるキリスト教徒も、

誰も争っている人はいませんでした。







市民ツアーコーディネイターの

パレスチナ人男性は言っていました。


「何百年も前から、ヨーロッパで

キリスト教徒が困ってやって来た時も、

ユダヤ人が世界中で迫害された時も、

僕たちはずっと受け入れて

一緒に暮らしてきたんだよ」。





西エルサレムに住むイスラエル人男性は、

「軍事占領が続いているから、

パレスチナ人の憎しみが募る。

イスラエルは、これ以上の占領を

やめるべきなんだ」と、

パレスチナ占領地での軍務を拒否しました。





西エルサレムのイスラエル首相官邸前で

毎週金曜に開催されていた平和集会では、


「Stop the occupation」

(占領を終わらせよう)、


「1City 2Capitals

(ひとつの都市、二国家の首都)


というスローガンが、

英語・アラビア語・ヘブライ語で掲げられていました。


▼2002年6月、エルサレム首相官邸前集会にて筆者撮影

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こうした集会は今も続けられています。

共存への願いは、今も変わっていないのです。






それを困難にさせているのは誰なのか?


和平を困難にしている要因のひとつとされる

「エルサレム帰属問題」は、何が難しいのか?








■エルサレムってどんな街?■







そもそもエルサレムって

どういう構造になってるのか?


改めて整理してみます。





▼エルサレム全体図。オレンジの囲みの中が旧市街、

その右側が東エルサレム、左側が西エルサレム。

※現地で入手したガイドブック「This Weekin Palestine 20026月発行」(FREE COPY)より

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エルサレムには、ざっくり3つのエリア

(西エルサレム、東エルサレム、

エルサレム旧市街)があります。




西エルサレム側は、クネセト

(イスラエル国会議事堂)や

首相官邸がある、比較的新しい街。



東エルサレム側は、

ムスリム居住区などがあります。



そしてエルサレム旧市街に、

3大宗教の聖地が集中しています。




有名なイメージはこの旧市街ですが、

もっとざっくり、東エルサレムに

旧市街を含めて報道されることが多いですね。







▼エルサレム旧市街の詳細(上記地図に、しゅくらむが加工)

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古い城壁に囲まれた旧市街は、

わずか1キロ四方ほど。

その中にギュッと圧縮されたように、

お互いの聖域が隣接しています。




紀元前からのエルサレム光芒の歴史を

ここでまとめるなど到底できませんが、

少なくともハッキリしていることがひとつ。




何百年もの間、

今まで何度も支配者が変わり、

危機的な状況に遭っても、

多くの人達は、何世代にも渡って

この小さな空間の中で居を構え、

商いを続け、礼拝に行ったり

学校に通ったりして、

ご近所さん同士として、毎日一緒に

暮らし続けてきているんです。




だからこれは、宗教対立じゃない。

政治の問題なのです。








■エルサレム帰属問題の変転■



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▲パレスチナ境界線の変遷

「ドキュメント 聖地エルサレム」平山健太郎さん著・NHK出版より





1947年、国連決議が定めた

パレスチナ・イスラエル分割案では、

「エルサレムは国連管理下の

国際都市とする」ことになっていました。




しかし、1948年の第一次中東戦争の結果、

西エルサレム側をイスラエルが、

東エルサレム側(旧市街含む)を

ヨルダンが占領。



そして1967年の第三次中東戦争で、

今度はイスラエル軍によって

東エルサレム(旧市街含む)が

併合されてしまいます。




直後の国連安保理242号決議では、

占領地からの撤退が決議されていますが、

イスラエルは応じていません。




パレスチナ側の、「将来の2国家共存で

東エルサレム側を首都に」という願いは

宙に浮いたままです。









■エルサレム帰属問題の「落としどころ」はどこに?■






◆イスラエル平和活動家が展望するエルサレムの未来◆





エルサレム問題の解決策について、

日本在住のイスラエル人平和活動家

ダニー・ネフセイさんが

非常に明快に示されていたので、

ご紹介させていただきます。






ダニー・ネフセイさん126日付FBより




***シェアココから****



「私のエルサレム問題についての意見。


西エルサレム=イスラエルの首都

エルサレム=パレスチナの首都

嘆きの壁・岩のドーム・近隣の

キリスト教会=国際管理地域。

これしかないのです。


いずれはそうなると信じています、期待しています。



しかしこれは実現するのは次の中東戦争の前かあとか?

戦争の前に実現出来るように声をあげ続けます。

貼り付け元 <https://www.facebook.com/search/top/?q=%E3%83%80%E3%83%8B%E3%83%BC%20%E3%83%8D%E3%83%95%E3%82%BB%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%80%80%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%83%AC%E3%83%A0>





***シェアココまで********






本当にその通りと思います。

私も賛同します。



その実現によって和平を具体化しようと

渾身の努力を続けてきた人達も

パレスチナ・イスラエル双方にいるからです。


(この件は、Part3:難民帰還権の際に書きたいと思います)








◆100%の答えは存在しなくても◆







もちろん実現が容易ではないのは

重々承知しています。




そもそも国連の分割案自体が、

パレスチナ人が承知しないところで

決められてしまったものです。



一方イスラエルから見れば、

戦争で勝利して手に入れた領土

(違法にせよ、既に人が生活している)

を手放すわけですから、

双方失うものがゼロというのはありえない。




そして、日本人の私が、

「二国家共存」と言い切ることで、

納得していないパレスチナ人を

傷つけることになるのではないか

という怖れも持っています。





それでも、

誰もが納得する答などない中で、

少なくとも、

これ以上の流血を起こさせないために、

次善の政治的解決策を現地の人達が選択

できるように、周りが支援するべき

なのではないでしょうか。




ギリギリで踏みとどまっている

共存への望みの糸を、

外側から引きちぎるようなことが

あってはならないと思うのです。





日本でも、

「私達はトランプ発言を支持していない」

「二国家共存を支持している」

という声を可視化していきましょう。




# 1City 2Capitals

(ひとつの都市、二国家の首都)

# Stop the occupation!

(占領を終わらせよう!)

# We don't support Trump's declaration

(私たちはトランプ発言を支持しません)

# We support peace!

(平和を支持します!)





ぜひ一緒にお願いします!





また、エルサレム現地で活動している

平和団体のURLを貼ります。

イイねやシェアで支えていきましょう!!





AIC(オルタナティブ・インフォメーション・センター)

私が話を聞いた兵役拒否者の男性が務めていた

パレスチナ・イスラエル共同のNGO

エルサレムを中心に活動。



▼ピース・ナウ

イスラエル最大の平和団体。

エルサレムやテルアビブで平和集会を共催。

イスラエル議会内和平派や中間層に大きな影響力を持つ。




JVC(日本国際ボランティアセンター)さんが

「パレスチナを支援するイスラエルのNGO」についてまとめてくださってます!!

パレスチナを支援するイスラエルのNGO



特にこちら、世界最大の紛争防止NGO

Search for Common Ground」は、

エルサレム聖地を巡る問題を

対話により解決するために取り組んでいるそうです!

https://www.facebook.com/sfcg.org/








【当ブログ内関連記事】




和平は、「仲良くする/しない」の問題じゃない。パレスチナ和平を難しくしているもの・Part1;土地と水利権の問題



【関連カテゴリー】

エルサレム・和平・国際監視





【参考図書など】


高橋和夫さん著


「なるほどそうだったのか!!パレスチナとイスラエル」

2010年 幻冬舎


「アラブとイスラエル」

1992年 講談社現代新書



平山健太郎さん&NHKエルサレムプロジェクト

「ドキュメント 聖地エルサレム」

2004年 NHK出版






byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。
筆者が知る数少ないアラビア語です。
ココでの出会いと、ここまで読んで下さったことに、感謝をこめて。
シュックラム!



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Commented by eblo at 2017-12-17 17:21
私が知っている数少ないディベヒ語の1つがシュックリアです。似ていますね。
勉強になる記事をありがとうございます。
素人目なのですが、イスラエルに住んでいないアメリカのロビーストによってイスラエルも振り回されている気がします。
テレビのニュースでは宗教対立のように紹介されますが、現地特派員報告となると、表面上かもしれませんが和やかに買い物をしている姿が映されます。
その落差に違和感を感じていました。
ひょっとしてイスラエルのパレスチナに対する強硬策はアメリカの顔色を窺うためかもしれないと思い始めています。
既に死者まで出てしまった、権力を持つ人間の発言がどんなに影響力があるか自覚してほしいのですが。
日本は武器の件などでイスラエル寄りにならないでほしい、そう願っています。
勉強になる記事なので折にふれてリンクさせていただきます。
ただ私のブログ程度で申し訳ないと思っていますが、応援の気持ちだけはお受け取りください。
Commented by shuklm at 2017-12-18 19:09
いつも丁寧なコメント有難うございます!とても嬉しいです。シュックリアです☆
ディへビ語というのがあるのですね。初めて知りました。こちらこそ勉強になります。
現地報道とのギャップ、本当にそうなんですよ!実はビビりながら現地に行ったんですが、拍子抜けするくらい穏やかで。そういう姿を知って欲しくて書きつづけてきたので、受け取ってくださって本当に嬉しいです。
反応があるだけでも感謝なのに、リンクも貼っていただけるなんて、物凄く勇気付けられます。

イスラエルとアメリカロビースト関係は、確かに振り回されている感ありますよね。
実際にはアメリカ社会のユダヤ人の中でも、右派と距離を置くユダヤ人の団体「Jストリート」などが登場して、かなりセンセーショナルだったようですね。
ユダヤ人も一枚板ではない。日本人が一枚板ではないのと同じように。だから一人一人の心ある方との繋がりが現実を変えると信じています。
とにかく、日本が武器関係でイスラエルを一方的に支援することはなんとかやりにくくしていきたいですよね。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします
Commented by shuklm at 2017-12-18 19:12
きゃー打ち間違えてました!! ディへビ語じゃなくてディベヒ語でしたね ゴメンナサイm(_ _)m
by shuklm | 2017-12-17 00:01 | エルサレム・和平・国際監視 | Comments(3)