オトナの社会科・中東からの声を手掛かりに。

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電通過労自死事件・繰り返さないためには? 過労死とアウシュビッツとブラック労働アイデンティティ。






電通の女性新入社員が過労のため自殺し、

労災と認定された件。


どうにも行き場のないやりきれなさで、

どうしてもスルー出来ず。





電通新入社員「体も心もズタズタ」…クリスマスに命絶つ

毎日新聞2016年10月7日

http://mainichi.jp/articles/20161008/k00/00m/040/117000c





私もかつて残業100時間超えで

過労死ラインにいたことがある。



アトピー悪化時は11時間半

しか眠れず、

それがどれだけ正常な判断力を

奪う状況かを体感した。




その実体験から書かせていただくと、

当事者は、弱ってる時ほど声を

あげられないし、離脱もできない。





こんな犠牲はもう出しちゃいけない。




どうすれば繰り返さずに済むのか?

過労自死/過労死する人は、

なぜ立ち止まれないのか?







■過労死ラインでどんな状態になるか





睡眠時間が連日4時間を切ってくると、

ホントに「ただ寝たい、

今すぐ寝たい、

数秒でいいから眠りたい」、

その一心に支配される。



その頃は、転ぶのが本当に怖かった。

倒れたら、2度と自力で

起き上がれないって

わかってたから。



やってもやっても終わらない業務と

すぐ起きなくてはいけない緊張感で、

気が休まらず熟睡できない。


やっとの思いで起き上がっても

体中に激痛が走る。





睡眠2時間を切る日が数週間続くと、

もう意識を保って

立っているだけで精一杯。



思考力が極度に低下するから、

身の危険が迫っていても、

回避することが出来ない。



歩行中や運転中に何度も気を失って、

植え込みに突っ込んだり、

トラックに正面衝突しそうになった。



それでもそこから逃れる手段が

あるとは思えなかった。





今から考えれば、

アウシュビッツの囚人と変わらない。


そうなるのはいとも簡単だと

実感として思う。





ユダヤ人は列車で移送され、

強制労働させられ、

ガス室へ送られる直前も、

自ら脱いだ自分の服を

綺麗にたたんで歩いて向かった。




なぜ抵抗しなかったのか?




抵抗したユダヤ人は、

徹底的に鎮圧され

街ごと消滅させられた。


一度、逃れる術がないと思い知らされて

思考力を奪われると、

あとは思考すること自体を止めないと、

自己防衛が出来ない。



ガス室直前、

その瞬間になった時ではもう遅いのだ。







■生存スイッチを切っていくプロセス





自死した彼女は、

「お母さんに楽をさせたい」と

頑張っていたという。

泣けてくる。



「逃げ道がない」と思いつめ

追い詰められたのだろう。



唯一の自由が「死ぬ自由」だったなんて。





私の知っている何人もの友人たちも、

ブラック企業で過酷な労働を続けた挙句に

賃金すら十分に支払われないという

文字通り奴隷労働におかれても、

「この年になって正社員で

雇ってもらえるとこなんてない」

という背水の陣感で逃れられ

なくなっていた。




「必死の思いでようやく入れた

就職先を失いたくない」

「いったんカイシャ社会を

降りると生きられない。

ここで耐えるしかない」と、


多くの人が就活の過程で、

社会に自分の居場所を確保するために

徹底的に滅私することを

刷り込まれていく。




私達が日々、受験戦争や

痛勤電車に押し込められて

他者や自分の痛覚を鈍麻させて

いった先の帰結でしかない。





思考力を奪われて生存本能スイッチを

ひとつずつ切っていくと、

イザっていう時にスイッチを

入れることなんてできない。




報道もされずに過労死していく

「企業戦士」も、

「企業戦士」という居場所を

放逐された人たちも同じだ。







■ブラック状態がアイデンティティ





根深いのは、

そういうブラック労働状態が

アイデンティティになって

しまっている人が

少なからずいることだ。



「時間外100時間で過労死なんて情けない」と

思わず言い放った大学教授のように、

おそらく悪意もなければ特殊でもない。




「俺はもっとシゴかれた。

もっと罵倒されて、

もっと寝られなかった。

これくらいで音を上げるなんて甘い」


「自分も姑に厳しくされた。

これでもマシな方よ」


「自分はもっと大変だったんだから、

これくらい我慢しろ」といった


ブラック労働自慢・大変さ競争・

不遇合戦の再生産。




「こんなことが何になるのか?」と考えたら

クラッシュしてしまうから、

考えないようにしている。




だからブラック状態を改善しようとすると、

自分のアイデンティティを

否定されたように受け取ってしまう。



「俺の今までの苦労は何だったんだ!!」


「私が必死にやってきたことは

無駄だったっていうの?!」と。





そうやって、お互いの生存を狭める

追い詰めあい・首の絞め合いの

デススパイラルが続く。



どうやったらコレを抜けられるんだろう?







■スパイラルから抜け出すために





ワタシが危ういところで

踏みとどまれたのは、

過労死や過労自死をルポした

雨宮処凛氏の著書「生きさせろ!」を読んで、

「このままでは早晩自分もこうなる」と

異動願いを出す選択肢があったからだ。



それでも、「逃げた」罪悪感と

敗北感はハンパなかった。



その渦中にいる人にとって、

それがどんなに困難なことか

わかっているけれど、

それでも、伝えたい。




それでも、死なないでほしい。




生きていてほしい。





どんな理由があっても、

どんなに仕事が出来ないと罵られても、

終わらないループに絶望しても、

それで死ぬ必要はない。




生きていて。





死んでいい人は誰もいない。





とにかく生きていて。







そして、廻りの人が、

たったひとりでもいいから、


「そのレールから降りても大丈夫。

それでも生きられる。

貴方の価値は変わらない」って

伝えてほしい。







■再発防止の「働き方改革」、今国会の要はココ





一番苦しい状態の人が、

一番声を上げられない。


いま動ける人が、出来ることを

していくしかない。




政府は今国会で、こんなことが

二度と起こらないよう、

対策をすると言った。


「働き方」担当大臣を置いて、

「働き方」改革をすると。


まずはそれをちゃんとさせる必要がある。




佐々木亮弁護士・ブラック企業被害対策弁護団代表ブログより、

ポイントを抜粋させていただくと…





***シェアココから*******





長時間労働を助長する残業代ゼロ法案は撤回を





”(政府は)「働き方」改革で長時間労働を規制する、

と言いながら、

既に残業代ゼロ法案と呼ばれる

労働基準法改正案を提出し、

その成立をあきらめていない”



”(労働基準法改正案は)

廃案になったわけでもありません。”



”残業代が出なければ労働者は早く帰る、という

間違った事実認識の下で、

このような制度を導入しようとしているのですが、

各種の調査でも、残業をする原因の第一位は

「業務量が多い」というものです。”



”残業代をゼロにしても業務量が変わらなければ、

単に、残業代だけなくなったという

状況になるのですから、

労働時間の短縮には役立ちません。”





”さらに、長時間労働の温床と言われている

裁量労働制の規制緩和も含まれています。”



”しかし、

これによって低賃金かつ長時間労働が

蔓延してしまっていますし、

これに関連する過労死、過労自死、そして、

過労による精神疾患は非常に多い現実があります。”




”もし政府が真の「働き方」改革を謳うのであれば、

まずはこの法案の撤回からスタートすべきです。”





***シェアココまで*******





こういう規制に対しては、

毎度毎度、経済界などから、

「国際競争力が低下する」という

反対意見が出る。




しかしこれはもはや神話にすぎない。




時間当たりの労働生産性は、

日本は先進7か国で最低で、

ギリシャよりも低いことが

明らかになっている。



こんなに必死に長時間働いても、

それ自体に意味はない。



しかもその努力が成果に直結する

時代は終わっている。


もうこんなマイナス努力はやめよう。




「このままじゃ誰も幸せにならないよ。

そうじゃない方向に行こうよ」って。






■ブラックにしがみつかなくてもいいように





でも規制を阻む一番の障壁は、

ブラックであること自体を

アイデンティティにしている人たちが、

心情的に受け入れられないこと

ではないだろうか。



だから、それを頭ごなしに否定すると

逆効果だと思う。



「貴方たちの努力のおかげで

今がある」とリスペクトした上で、


「それでも、それが生み出してきたことは、

貴方たち自身にとっても生存を苦しくしている、

そこから抜け出そうよ」と、

なんとか伝えられればと願う。


「それを降りたからといって、

貴方たちの人生が否定されるわけじゃない。

ただこれからは、

次のステージへ行こうよ」、と。





本当に望んでいたのは、

「人が死ぬのが当たり前の日常」

なんかじゃなかったはず。



人が死なずに維持できる社会に変えていこう。



どうやってお互いが負担を減らして

幸せになれるのか、

一緒に選択肢を増やしていこう、と。





どんなにそれが困難であったとしても、

もうこんな悲しい犠牲を

繰り返さないために。







【参考サイト等】



電通新入社員自殺、「死ぬくらいなら辞めればよかった」が絶対に誤りである理由。 By後藤和也さん 

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161012-00010000-scafe-bus_all&p=1



小島慶子さんオフィシャルブログ

過労死のニュースについて 昨夜から考えていること



佐々木亮弁護士・ブラック企業被害対策弁護団代表ブログ

電通過労自死事件から真の「働き方」改革を考える

http://bylines.news.yahoo.co.jp/sasakiryo/20161012-00063150/



労働生産性の国際比較データ元↓

日本の生産性の動向 - 公益財団法人日本生産性本部

http://www.jpc-net.jp/annual_trend/annual_trend2015_3.pdf






byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。
筆者が知る数少ないアラビア語です。
ココでの出会いと、ここまで読んで下さったことに、感謝をこめて。
シュックラム!



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by shuklm | 2016-10-15 17:14 | 性的被害・過労死・福祉など | Comments(0)