オトナの社会科・中東からの声を手掛かりに。

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「なんでそんな遠い所のことを?」社会で働き20年。人生ままならないからこそ、伝えたいこと。~戦後70年の8月に~ 





「なんでわざわざ、パレスチナとかシリアとか

そんな遠いところのことをやってるの?


日本でいま、福島、沖縄、貧困とか、

様々な社会問題があるのに、

足元で他にやることがあるんじゃないの?」





実は、自分でもそう思います。



なぜ、と問われれば、

「縁があったから」、としか言いようがないのですが。




今回は、個人的なことを少しだけ書かせて下さい。



そもそも私が戦争と平和の問題や環境運動に

かかわるようになったキッカケが中東だったからです。






「石油のためには仕方ない」と言う父と論争に■





1991年1月17日、湾岸戦争が始まった日。

大学2年生でした。



ちょうど私の誕生日を祝うために

集まってくれていた大学の友達とテレビをつけると、

アメリカ軍によるイラク空爆が開始された

というニュースが流れていました。



いくつもの青いミサイルの光が

夜空を横切り落ちていく、

テレビゲームのように無機質な画面。




それを見た友人たちの反応は、


「あー、始まっちゃったね」。





ほぼスルーでした。






「えっ、でも空爆だよね? 

戦争だよね?? 

いいの始まっちゃって?!?」


と慌てているのは私だけ。





人の気持ちが分かる優しい友人ばかりだったのに、

誰一人ともその衝撃を共有できないことの方に

ショックを受けました。







さらに、石油会社に勤務していた父にいたっては、

「石油を確保するために、

掃海艇を派遣するのは当たり前。

戦争も仕方ない」と断言。 



毎晩、大論争になりました。






「いままでお前が大学まで行けたのは、

石油があったお陰じゃないか。


石油がなかったら、ウチの家族がこうやって

飯を食べることだってできないんだぞ?

家族のつつましい幸せを願って何が悪い??」。





確かにそうかもしれない。

進学を諦めて家族を養うため働きづくめてきた

苦労人の父には感謝しているし、

彼の願いを否定することはできない。






だけど、あのミサイルの閃光の下にあった

イラク人の子供や家族の幸せは

どうなってしまうのか?




「ウチの家族のささやかな幸せ」を守るために、

イラクの家族は犠牲になってもいい、

とはどうしても自分は思えない。






大学でも図書館でも答えを得られず悶々としている時、

街頭で湾岸戦争反対の署名を集めていた人に

「こんなことして何になるんですか?!」と

自ら突っかかっていったのが、

運動にかかわるキッカケとなりました。








中東まで行って知った、日本のアドバンテージ・進むべき方向■






911」後、世界が急速に「戦争の時代」へ突入。


アフガン攻撃やイラク戦争を

止めようと活動する中で、

多くの中東出身の人たちの声に

触れる機会を得ました。




それは私にとっては、

「アメリカだけが友人じゃない。

日本は世界中にこんなに沢山の

友人を持ってるんだ」と肌身で感じ、

大きく世界に目を見開かされた

プロセスでもありました。






実際に訪れたパレスチナで、

現地の人たちから

「日本の良心に期待している」と、

思いを直接託されたこと。



「アジアの兄弟の皆さん」と

呼びかけてくれたアフガン人、



「日本の友人の力を貸してほしい」と

語っていたイラク人、



「ブッシュ(アメリカの暴走)を止めてくれ」と

言っていたシリア人。






日本が協力しなければ、

日本の基地がなければ、

アメリカは中東でこんなに

簡単に戦争は出来ない。




彼らは、日本がまさに

「アジアのキーストーン」であり、

アメリカの軍事行動のアキレス腱であることを

熟知しているがゆえに、

日本の動きを注視していました。





「戦争の廃墟の中から

奇跡の経済復興を遂げた、

アジアの兄貴分」、


「戦争をしない特別な国」、

「平和国家・日本」だからこそ、

出来ることがあるはずだ、と。






アメリカと軍事同盟を結び

米軍基地をこれだけ抱えていながら、

日本という「ナショナルな枠組み」に対して

これほどまでのシンパシーを寄せられているとは、

まったく思いもよらないことでした。





日本独自のアドバンテージを

再認識することで、

今後進むべき方向性を

教えてもらったと思っています。





もちろん多大に「美しい誤解」も含まれているにせよ、

むしろそういうのを全部ひっくるめて、

誰にもマネできない「平和ブランド」を

自覚的に活かしていくことこそが、

日本の進むべき道だと。






そして、中東で日本が信頼されてきたのは、

「平和ブランド」のチカラだけではないでしょう。



中東の現地で、あるいは

モノづくりの現場で、

日本企業の社員の人たちが築いてきた

信頼関係も間違いなくあったと思います。







「フツーの真面目なサラリーマン」が戦争を支持する時■





「日本人の技術力が確かなこと、

仕事が丁寧なこと、

約束を守ることは、

中東・アラブでは皆知ってるよ」と、

シリア人の友人も言っていました。




巨大プラント開発から車や家電製品まで、

真面目なフツーのサラリーマンの人たちが

日々の仕事で培ってきた蓄積は、

決して小さくなかったと思います。





素朴で実直で、コツコツ地道に仕事を続けて、

日本の「奇跡の経済成長」を担ってきた、

多少横暴かもしれないけれど心根は優しい、

どこにでもいるようなオヤジさんたち。

多分、ウチの親父のように。



現地に行けば信頼されるであろう、

そういう「ごくフツーの真面目な

サラリーマン」の人たちが、しかし、

「石油のためにはやむを得ない」と

湾岸戦争もイラク戦争も支持するというパラドックス。






それを、どう考えればいいのか。




問題にしたいことはそのことです。







おそらく安保法案を支持しているのは、

自覚的な右翼だけではなく、

そういう普通の人たちも少なからずいるのではないか。



「今の生活を守るためには

法案(具体的な対策)が必要だ」

と感じている人たちに、

どうすれば届く言葉と回路を紡ぎだせるのか。








ワタシも社会人として働いて

20年以上になり、

当時の父と近い年齢に

さしかかりました。




福祉関係に従事してますが、

要するにサラリーマン

(ウーマン?パーソン?)で、

普段は仕事でくたびれて帰って来て

ほぼ寝るだけの毎日です。


障害や持病もあり、大した活動が

出来る訳でもありません。




そして、

キレイ事じゃ世の中渡れないことも、

重々承知しているつもりです。






そういう中でこそ、何が出来るのか。



人生のままならなさや、

働くことの大変さや貴重さを

身に沁みてわかっている人たちにとっても、

少しでも意味があることを、

考え伝え続けていきたいと思うのです。








P.S.


当ブログを開設して、本日で

ちょうど1年になりました。

今日までどうにか続けてこられたのは、

読んで下さった皆様、コメントや「いいね!」や

ツイートをして下さった方々のお蔭様です。

忙しい日々の中で時間を分けて下さって、有難うございます。



燃え尽きと過労で社会運動から離れていたこの数年間、

何もできない焦燥感が

腹の中で発酵して

破裂しそうになっていました。




昨年夏のガザ攻撃の時、

いてもたってもいられずにブログ開設した当初は、


「こんなマイナーなテーマじゃ

誰も読んでくれないかもしれないし、

批判されるだけかもしれない。


それでも、何も書かないで後悔するより、

言いたいことを書いてから死にたい」と、悲壮な決意でいました


(今から考えると観念的で苦笑するしかないのですが)。





この1年で、

「心血を注いだ言葉は、

きちんと受け止めてくれる人がいる」

という実感を得たことで、

大袈裟でなく「これで生きていける」と感じました。




これからも、たとえ世の中の主流とは違う意見でも、

自分がどうしても伝えたいことは

綴っていきたいと思います。



お付き合いいただけると嬉しいです。






【当ブログ内関連記事】


201489UP記事

原爆の日に、伝えたい。パレスチナからの伝言。↓

http://syuklm.exblog.jp/23127445/


201528UP記事

「日本の友人たちよ、道を誤ってくれるな」。日本人だからこそ出来ることがあると教えてくれた、中東からの眼差し

http://syuklm.exblog.jp/24109189/


2015215UP記事 

「邦人救出できない法は変えるべし」という主張が無視しているもの。イラクでもアフガンでも、「日本人だから攻撃されにくかった」理由。↓

http://syuklm.exblog.jp/24136507/





byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。
筆者が知る数少ないアラビア語です。
ココでの出会いと、ここまで読んで下さったことに、感謝をこめて。
シュックラム!



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by shuklm | 2015-08-09 09:13 | はじめての方はコチラからご覧ください | Comments(0)