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オトナの社会科・中東からの声を手掛かりに。

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パレスチナ問題って、ぶっちゃけ何? その2・なぜホロコーストを止められなかったのか?





なぜヨーロッパはホロコーストを

止められなかったのか?


なぜあれ程までに空前の

大規模な虐殺となってしまったのか?





諸説ありますが、無視できない事実として

ここで書いておきたいのは、

ユダヤ人を虐殺したのは

ナチスドイツだけじゃなかった、

ということです。






ホロコーストへの「助走」はすでに




ナチスドイツがあまりにも極端で

突出した形にやったから

世界に衝撃を与えたけれど、

ユダヤ人への迫害は、実はヨーロッパでは

過去何百年の間に繰り返されてきたことでした。





「ホロコーストは突然、また偶然に

発生したものではない」、と

国際政治学者・高橋和夫さんが指摘されています。



19世紀と20世紀には民族主義という情念が

国際政治を突き動かす巨大なエネルギー源となった。


ところが民族主義の高まりは、

ユダヤ人に対する迫害を鋭いものにした。



自らの民族と他を峻別することで

成立する民族主義は、

ヨーロッパの各地で生活するユダヤ人を

異物として排除、

自らのうちに取り込もうとはしなかったからだ」


(高橋和夫さん著「アラブとイスラエル」より)






民族主義というのは、つづめて言うと、

「お国のために死ぬ」という考え方ですよね。


それによってヨーロッパは

「近代的民主国家」を形作った。



それは、「国民」というカテゴリーに

当てはまらない人たちを

排除することで成立した、と言えるでしょう。




排除されたのが、ユダヤ人や

ロマ(ジプシー)などのひとたち。



要するに、規模は違えど、

排除と迫害は日常にあるものだった。




ドイツやポーランドやリトアニアや

帝政ロシアなどの普通の農村で、

数百人単位の虐殺は何度も起こっていた。





つまりホロコーストは、

ヨーロッパで長年繰り返されてきた

「迫害」のひとつの帰結だった





戦争が終わってみて、ヨーロッパも

「まさかこれほど酷いことになっていたとは」と

愕然としたようです。





なぜ行き着くところまで行ってしまったのか?




あれほどの大量の虐殺は、

協力者がいたから、初めて可能だった。




直接手は下さなかったけど、

ヨーロッパが座視し容認したから。




1938年には強制収容所の存在が

知られるようになったのに。


ユダヤ人難民問題を話し合う欧米の国際会議でも、

「確かに人道的に問題かもしれないけど、

そうはいってもうち(自国)で受け入れはちょっと…」と

お茶を濁された。




フランスは「ユダヤ人差別法」を制定し、

ユダヤ人難民受け入れを拒否して送り返した。



イギリスは避難民の乗った船を銃撃した。


ナチス占領下のノルウェーも、

ユダヤ人を拘束し強制収容所送りにした。





「目の前からユダヤ人が

いなくなってくれるならラッキー」

という思いもあったから、

邪魔しなかった。



あえて辛辣に言わせてもらえれば、

「ていよく厄介払い」したわけですよ。






世界が傍観しなければ、

あそこまで大規模なホロコーストは不可能だった。




構図は、いじめやハラスメントとおなじ。

傍観することで事態を助長させてしまう。




いまだって、世界が傍観しなければ、

イスラエルによるガザ攻撃や入植はできない。






だから、いま問うのであれば、


「なぜホロコーストを経験したユダヤ人が、

 同じような仕打ちをパレスチナ人にするのか?」

「なぜユダヤ人は、ホロコーストと同じようなことを

ガザで繰り返すのか?」ではなく、


「なぜ世界は、ホロコーストと同じことを繰り返すのか?」

ということだと思うのです。






二次大戦後、ナチスドイツが敗北して

ユダヤ人の生命の危機は去ったはずなのに、

ヨーロッパで安心して暮らしていけなかった。



ヨーロッパの側も、

「もう大丈夫だよ。安心して

ここで一緒に生活していってよ」とは

積極的には言わなかったということ。





戦後、ポーランドやノルウェー等の国々が

正式にユダヤ人虐殺やホロコーストへの

関与について謝罪しています。


それでもユダヤ人にとって、

「いまもホロコースト(生命の危機)は終わっていない」のです。






以前の記事で

「パレスチナ問題は、

パレスチナへ持ち込まれたユダヤ人問題」

書きましたが、


だけどそれは、「ユダヤ人の側の問題」じゃない。




「ユダヤ人が安心して生きていけない世界の側の問題」、

だと思うんです。







【当ブログ内関連記事】


2014812UP記事  ホロコーストを経験したのに、なぜ? ↓

http://syuklm.exblog.jp/23141948/

2015726UP記事  「パレスチナ問題」って、ぶっちゃけ何なの? ↓

http://syuklm.exblog.jp/24726992/



byしゅくらむ


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筆者が知数少ないアラビア語です。

ここでの出会いと、ここまで読んで下さったことに感謝をこめて。

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by shuklm | 2015-08-01 15:33 | ホロコースト/ヘイトのこと