オトナの社会科・中東からの声を手掛かりに。

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イスラエル 薄氷の連立政権、組閣の舞台裏。





「史上最もタカ派」、でも「史上最弱」の政権?




中東全体に大きな影響を及ぼすイスラエルの政権運営。


3月の国会選挙の結果成立したネタニヤフ政権は、右派中心。


「イスラエル史上もっともタカ派の政権」

「パレスチナ国家を認めないと公言している

ネタニヤフ首相のもとでは、和平はますます遠のく」

「イランへの強硬姿勢は中東情勢を一層緊張させる」

といった報じられ方をされいます。





しかし一方では、「イスラエル史上最弱」とも言われています。


なぜか。


その理由は、かつてない政権基盤の弱さです。



与党は、国会議員120議席のうち、

実に61議席しか確保していません。


誰かひとりでもNOと言えば

たちまち転覆してしまうような状況だからです。





3月のイスラエル国会選挙について、

以前当ブログにて「選挙結果より組閣に注目」と書きました。


当初遅くとも4月中に完了するはずだった組閣は

遅れに遅れて5月中旬までずれ込み、

その舞台裏は「政治サーカス」と評されるような

綱渡りだったようです。



日本ではほとんど詳報されなかったのですが、

現地からの貴重な情報発信を発見しましたので、

遅ればせながら続報を書かせていただきます。





こちらをニュースソースにさせていただきました↓

「オリーブ山便り イスラエルを中心とした中東・世界のニュースをエルサレムから」↓

http://mtolive.blog.fc2.com/

「ぎりぎり滑り込みの新政府」2015..5.7

http://mtolive.blog.fc2.com/blog-entry-1134.html

「イスラエル内閣まだ立ち上がらず」2015.5.13

http://mtolive.blog.fc2.com/blog-entry-1136.html


リアルタイムの細かいニュースがフラットに書かれており、

この件以外でも参考にさせていただいています。






■■左派(和平派)内閣の可能性もあった!




3月の国会選挙では第1党になったものの、

ネタニヤフ党首率いる右派政党「リクード」は

単独過半数を確保できず、複数の政党と連立交渉に入りました。


が、交渉期限前日に、老舗の極右政党

「イスラエルわが家」が連立を蹴ったため、

宗教右派党との徹夜協議に突入。



議会内第1党が連立に失敗した場合は、

第2党(労働党)が組閣することになります。

つまりこの時点では、労働党中心の左派(和平派)内閣が

立ち上がる可能性もあったわけです。



5月6日の交渉期限の2時間前ギリギリに

宗教右派と連立合意に達して、

「ネタニヤフ首相」続投は確定するも、

今度は政権安定化のため左派に閣僚ポストを提示して蹴られて、

また難航。



他党に閣僚ポストを与えすぎて、

自党内に割り当てるポストが足りなくなってしまい、

閣僚ポスト数の制限をはずす法案を急遽可決させて、

5月16日にようやく新政権発足にこぎつけたそうです。





こうした内情のためイスラエルの専門家は、

「ネタニヤフ政権はそれほど極端な右寄りの政策は

取りにくいのではないか」と見立てているそうです。





そういう状況の中、

「イスラエルの安全保障上の最大の懸案」である

イラン核問題について、

欧米とイランとの話し合いが今日、

最終期限を迎えます。






■■弱い政権だからこそ強硬になる?





ココから先は私見です。




私が個人的に気になるのは、

むしろ閣外に極右がいることで、

「弱腰の政権」という批判を浴び、

「そんなことはない。自分は断固として

国民の安全保障に責任を持つ」と、

さらに強硬姿勢を示さざるを得なくなって

しまうのではないか、ということです。



「脆弱な政権であるほど、国内的には

強硬的にふるまって見せて支持を

維持しなくてはならなくなる」というのは、

世界共通の現象です。


全然他人事じゃない。




しかもこの政権は、民意を反映しているとは言い難い。



先の選挙では、120議席のうち、左派(和平派)は42議席。


「パレスチナと二国家共存」を掲げている中道政党も

和平派にカウントすると、合計53議席。


イスラエルの国会議員選挙は比例代表制ですが、

厳格な拘束名簿方式で、得票率に応じて

票が振り分けられるので、死に票はありません。


ストレートな民意は、半数近くが

パレスチナとの和平を是としていると言える。


その民意よりも、相当右寄りの政権に

なっているということになります。




政権と民意は、必ずしも一致しているとは限らない。


政権が民意に反した方向に向かう時、

なおかつそれが明らかに誤っている場合、

どういうことが有効なのか――


問いかけられていることは、

日本の私たちにとっても無縁ではないと思うのです。





【当ブログ内関連記事】

2015316UP【時事】明日、イスラエル総選挙。選挙結果より、組閣に注目。

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2015320UP 【時事】私見・イスラエル選挙結果。ガザ攻撃で吹き荒れた逆風を乗り越えて、示された民意。↓

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2015627UP 【時事】迫る最終期限・イラン核協議。次の「導火線」となってしまうのか? ↓

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byしゅくらむ


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筆者が知る数少ないアラビア語です。
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by shuklm | 2015-06-30 20:56 | イスラエル 現地レポなど | Comments(0)