オトナの社会科・中東からの声を手掛かりに。

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エルサレムでの「聖域封鎖」は、共存を脅かす。




2014年10月末から、

「エルサレムにあるイスラム教の聖域

ハラム・アッシャリフが

イスラエル当局によって封鎖され

緊張が高まっている」

というニュースがしきりと流れ、

気が気ではありません。




今後、もしかして分岐点になるような

出来事かもしれないので、

少しだけ触れておきたいと思います。





ニュースソース:


NHK「エルサレム聖地開放後も厳戒態勢」

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141031/k10015869991000.html>


CNN「イスラエルの聖地封鎖は『宣戦布告だ』パレスチナ議長」

http://www.cnn.co.jp/world/35055964.html


TBS「『聖地の分割』発端に、エルサレム緊張高まる」

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2337098.html






「また宗教対立?」というようなトーンで

報道されていますが、その度に

違和感を感じてしまいます。






私がパレスチナ・イスラエル現地を

訪れたのは、2002年。


「第二次インティファーダ」と呼ばれる、

イスラエルへの大規模な抵抗運動が

パレスチナ全体で起こっている真っ最中でした。




そうした時でさえ、

私が実際に見たエルサレムは、

いくつもの宗教が、日常的に共存している場所でした。





以下の記事も併せてお読みいただけると幸いです ↓

2014810日 「『宗教対立』というウソ。」

http://syuklm.exblog.jp/23129639/






この機会に、あらためて

「聖地エルサレムって、そもそも

どういう構造になってるの?」

というのを、自分なりに簡単に整理してみました。






エルサレム旧市街(四角の枠内、オレンジで囲まれた箇所)


※現地で入手したガイドブック

This Weekin Palestine 20026月発行」

FREE COPY)の地図に筆者が加工。

写真が歪んでいるのは何卒お許し下さい。

b0343370_12501412.jpg


封鎖されたハラム・アッシャリフ(図の楕円形内)は、

エルサレム旧市街にあるイスラム教の聖域。


黄金色に輝く屋根で有名な「岩のドーム」や、

毎週金曜日にイスラム教徒が礼拝に訪れる

大切な「アル・アクサ―・モスク」があるところ。



また、もともとユダヤ王国最盛期の神殿の跡地なので、

ユダヤ教では「神殿の丘」と呼ばれる聖域でもあります。


その外壁の一部が残っているのが、

ユダヤ教徒が祈りに訪れる「嘆きの壁」。




wikipedia「神殿の丘」より、画像を拝借。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E6%AE%BF%E3%81%AE%E4%B8%98

手前の壁が、「嘆きの壁」。壁の向こう側の金色の屋根が「岩のドーム」↓

b0343370_19194867.jpg


そして、エルサレム旧市街には、

キリスト教徒の聖域もあります。


イエス・キリストが磔にされた

ゴルゴダの丘に建てられた「聖墳墓教会」。



さらに、ほとんど知られていないのですが、

アルメニア正教徒(キリスト教の一派)の

居住区もあります。






城壁に囲まれたエルサレム旧市街の広さは、

わずか1キロ四方ほど。


その中にギュッと圧縮されたように、

本当に、お互いの聖域が隣接しているのがわかります。


いままでも、何百年も、

何度も危機的な状況はありながらも、

この小さな空間の中で、

居を構えたり商売したり、

学校に通ったり礼拝に行ったりして、

ご近所さん同士として、

毎日一緒に暮らしてきてるんです。


日常的に相手の宗教を否定したり攻撃したりはせずに。






今回の衝突の発端となった要因の一つは、

「聖地奪還」を叫ぶ極右ユダヤ人たちが、

ハラム・アッシャリフにどんどん出入り

しようと活動していたからです。



個人的な意見を言わせてもらえば、

相手の神経を逆なでするような行動をしている、

極右ユダヤ人活動家たちがおかしいと思います

(ユダヤ教徒がすべておかしい訳ではありません)。






そもそも、「嘆きの壁」の前は、

入場は自由ですが、ユダヤ教を

信仰していない人は入れません。


新約聖書を持ってる観光客は、

入口で置いていかないといけません。

(「地球の歩き方20132014」より)。

それなのに、自分の宗教だけを絶対視して

相手の聖域に出入りするっていうのは、

アウトでしょう。





イスラエルのネタニヤフ首相は、

この件については事態を沈静化しようとしてるようですが、

イスラム教徒の聖域のみ封鎖して礼拝を制限しても、

問題は解決しないのではないかと思います。





現地のイスラム教の人にとって、

「礼拝に行く」という行為は、

毎日当たり前に、朝起きたら顔洗って、

トイレ行って、ご飯食べて

服着替えて出掛ける、のと同じくらい、

日常の一連の動作の一つ。


「礼拝に行くな」というのは、

「今日から顔洗うな、服着替えるな、

トイレ行くな」って禁止されたようなもの。


私だったら、「なんだそりゃ?! 

どういうことだよ?!」って、

怒ると思います。





「お互いが大切にしているものは、

侵してはならない」。



それだけは、絶対に守らなくてはいけない、

最低限のラインなのではないでしょうか。




それによって均衡が保たれきた。

その均衡が崩されそうな今。




とにかく、事態がこれ以上

悪化しないことを願って、

注視していきたいと思います。




エルサレムを巡る問題については、

簡単には論じられないので、

また別途詳しく書きたいと思います。





PS

新しく、「時事・ニュース」のカテゴリを追加しました。折々、気になった事をUPしていきます。



※「聖地ハラムアッシャリフ」と「聖地エルサレム」との区別が分かりづらいと思いましたので、とりあえず当ブログではハラムアッシャリフを「聖域」、それを含むエルサレム全体を「聖地」と表記することにしました。

それに伴い、タイトル・文章を修正しました(2015.10.11)



byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。
筆者が知る数少ないアラビア語です。
ココでの出会いと、ここまで読んで下さったことに、感謝をこめて。
シュックラム!



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by shuklm | 2014-11-02 10:22 | エルサレム・和平・国際監視 | Comments(0)