オトナの社会科・中東からの声を手掛かりに。

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ジェニン・潰れた車椅子の持ち主のゆくえ





私がジェニン難民キャンプで見た、壊れた車椅子。




1010日「ジェニン2・ひしゃげた車椅子、無言のメッセージ」↓

http://syuklm.exblog.jp/23532293/




その持ち主のゆくえが、後からわかりました。





車椅子の持ち主の父親への聞き取りと、

「ヒューマンライツ・ウォッチ」の報告が、

土井敏邦さん著書

「パレスチナ・ジェニンの人々は語る」

(岩波ブックレット2002年12月発行)にありました。





車椅子の持ち主は、

ジャマール・ファイードさん、37歳。


生まれつき、介助なしには

一人で食事をすることも動くこともできない

重度の身体障碍者で、

イスラエル軍の攻撃時、

破壊された家の下敷きになった。

家族が助け出すことを

イスラエル軍に許可されず、

そのままブルドーザーで生き埋めにされた。

家族が何度探しても、

瓦礫で肉片までズタズタに切り裂かれて、

どうしても遺体を見つけることが出来なかった…と。






当時、

「ジェニンで『虐殺』はあったか否か」

という議論があり、犠牲者の数について

様々な説がありました。






確認されている事実を書きます。





最初、「700800人の大虐殺があった」と報道されました。


イスラエル軍は当初ジャーナリストの

取材を許可しませんでした。


国連が調査団を派遣しようとしましたが、

イスラエルは拒否しました。



NGOが現地に入って、

遺体を確認できた人について

カウントしたところ、当初言われていたほどの

規模の死者ではなかったことが報告されました。


国連はそれをもとに、

「大虐殺ではなかった」と発表しました。

それがメディアでは、

「虐殺はなかった」と報道されました。





NGOも国連も、

虐殺自体がなかったとは言っていません




私がジェニン難民キャンプの住民から

直接聞いた話では、20026月現在、

パレスチナ・イスラエル双方とも

確認している犠牲者数は、56人でした。



犠牲者の数は、遺体が確認された方だけです。

いまだに遺体が見つからない方は、

その中に入っていません。

車椅子の持ち主ジャマールさんも、

パレスチナ・イスラエル双方が

確認している死者数にも、

国連報告書の死者数にも、カウントされていません。





彼の死は、客観的には証明できません。


だからといって、

それがなかったことになってしまうのは、

私は耐えられません。





広河隆一さんも指摘して

らっしゃいましたが、

「人数の問題ではない」のです。



日本語の辞書で「虐殺」とは、

「むごたらしく殺されること」とあります。


彼は、「むごたらしく殺された」

ことにはならないのか?


疑わしい点があった

完全に証明出来ないという理由で、

すべての事実がなかったことになるのでしょうか。




人の死が抹殺されていること、

それ自体が問題なんです。





「『大虐殺はなかった」→「だから

虐殺自体もなかった」という論法は、

どこかで聞いたような話です



じゃあ、数字に間違いがあったとしたら、

「ホロコースト(大量虐殺)はなかった」

「南京大虐殺はなかった」ことになるのか?


ホロコーストが、600万人でなく、

6万人だったらゆるされるのか?


南京大虐殺が30万人でなく、

3千人だったらOKなのか?





そういうことではない、と思います。

犠牲者数の問題はないのです。




数人だったら、裁判もなく殺されるのは、OKなのか?


それがもし、たった1人だったとしても、

ヨーロッパやアメリカや日本で

いま目の前で同じことが起こったら、

それはアリなのか? ということです。




ジェニンで起こったことも、

ホロコーストも、私は、

等しくゆるせないことだと思います。




ジェニンのことを書くのは、

「ユダヤ人バッシング」が目的ではありません。


それをイスラエルの人にも

どこかで伝えたいと思うのです。



byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。
筆者が知る数少ないアラビア語です。
ココでの出会いと、ここまで読んで下さったことに、感謝をこめて。
シュックラム!



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by shuklm | 2014-10-27 07:55 | パレスチナ自治区 現地レポなど | Comments(0)