ジェニンにて2・ひしゃげた車椅子、無言のメッセージ
2002年6月7日、午後。
パレスチナ自治区
ヨルダン川西岸地区、
ジェニン難民キャンプにて筆者撮影

OnJune 7th,2002, Jenin Camp, WestBank,Palestine
破壊された民家の壁の2階部分に、
ひしゃげた車椅子が残されていました▼

「車椅子だけここにある
っていうのは、どういうことなんだろう。
この車椅子を使っていた人は、
どうなってしまったんだろう…」。
無言のメッセージを放っている
ようで、目が離せませんでした。
何を伝えようとしたのか。
ここにいた車椅子の住人が
死んだということなのか
こんなに車椅子が変形するほどの
攻撃だったということなのか
逃げる間もなかったということなのか
イスラエル軍は「ゲリラ戦闘員のみ
攻撃した」と言っているが、
こんな障害を持った人も
犠牲になったということなのか。
そのすべてなのか。
民家は無人で、誰も確かめる
ことはできませんでした。
▼この破壊された住居には、
立ち入り禁止のためか、「×」マークが付けられていました。

倒壊の危険性のある建物に
「×」マークを付けるのは、
日本でも自然災害に遭った時に見かけます。
しかし、自然災害でない証拠に、
通りの向かい側のビルは、
ほぼ無傷でした。▼

車椅子を掲げた人は、
この×マークを付けた人は、
いったいどんな思いだったのか。
かつての我が家、あるいは
近所の人が住んでいた家や、
見慣れた景色が破壊されたとしたら。
自然災害ですら、どうしたって
どうにもならないやりきれない
気持ちになるのに。
ましてや、相手が人間だとしたら。
その相手に、何の感情も
抱かないことが可能でしょうか。
私には、無理です。
(写真はすべて筆者撮影)
【次回へ続きます】
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