オトナの社会科・中東からの声を手掛かりに。

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パレスチナ人からの質問。「なんで再会した時にハグしないの?」 ~「東日本大震災級」地震の翌日に思う、一期一会。




2002年、パレスチナ現地訪問ツアーから帰国した後。



現地プログラムをコーディネートしてくれたパレスチナ人男性が来日しました。


同じツアーに参加したメンバーと一緒に空港で出迎えると、

男性陣と再会した彼は、お互い肩を叩きあって喜びを表現していました。






中東・アラブ系の人たちは、とにかく感情表現がとても豊か。



喜ぶ時は、陽気に全身で表すし、

怒る時は、いつ止まるのかと思うくらい機関銃のように延々と話しまくるし、

「どうしようもない」「ありえなーい」という時には、

大げさに肩をすくめて口をホントにへの字に曲げて表現します。




ある意味ラテンなノリと言うか、

男性同士でも大っぴらにハグしたりキスしたりするんで(頬ですけど)、

現地では、慣れるまで結構目のやり場に困ったりもしました。







数か月ぶりに再会した彼から、質問されました。


「なんで日本人は、また会えたのに、ハグしないの?」。



その時は彼の奥さんも一緒だったので、

その前で抱き合うのもなんだかはばかられて、

いや、こっちでは、普段あんまりそういう習慣ないからさと、

モジモジ答えていたのですが。






いま改めて思い返すと、その重さがわかります。


もともとの文化的習慣だけでもないとも思うのです。





いまのパレスチナでは、今日あった人と、

2度と会えるかわからない


「もう一度会えることがあたりまえじゃない




いつ戦車に包囲されるかわからない、


いつ標的になるかわからない。




一晩でも、自分も彼らと一緒にそれを体験したから、実感しました。






でも。


「昨日と同じように明日が続くとは限らない」、というのは、

日本だって同じことだと、私たちは311で思い知らされました。



昨日の「東日本大震災級」の大きな地震は

たまたま震源が深くて被害は少なかったですが、

世界中で自然災害がこれだけ多発する中で

無事で誰かと出会うことが出来るっていうのは、

本当に奇跡なのかもしれないと改めて思います。





いま、彼が何処でどうしているのか、私にはわかりません。

「自爆」を巡る考え方の違いで、私が連絡を絶ってしまったからです。






だから、もし、もう一度彼に会えるのなら

その時は、抱き合って、喜びあいたいと思うのです。





神も仏も信じていないけど、もしそれが叶うのなら、

自分の手の届かないものに対して、

心からの感謝を伝えると思います








【当ブログ内関連記事】パレスチナの日常


20141018UP記事 ジェニン7・砲声から逃れた後は、全力で卓球!」↓

http://syuklm.exblog.jp/23559504/


20141020日・22UP記事 ジェニン・戦車に包囲された夜」 前編・後編 ↓

http://syuklm.exblog.jp/23594298/

http://syuklm.exblog.jp/23604990/


20141024UP記事 ジェニン10・平和な朝。羊にお尻を攻撃される。」  ↓

http://syuklm.exblog.jp/23625994/




byしゅくらむ


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by shuklm | 2015-05-31 13:22 | 中東・イスラムなどからの声 | Comments(0)

パレスチナが日本に望んでいた「東ティモールのような支援」とは?






ヨルダン川西岸地区を訪問した時、

現地で入手したガイドブック

This week in Palestine」より

パレスチナのさまざまな姿

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パレスチナ現地へ行って初めて知った、「平和国家・日本」への期待。




「私達パレスチナが日本に求めているのは、

ODA(政府開発援助)ではない。


求めているのは、東ティモールで

日本がやったようなサポートだ。


ぜひそういうことをやって欲しい」。




2002年、

一緒にパレスチナを訪問した友人が、

ガザ地区で現地の人から

聞いた言葉です。



同様の言葉を、私自身も

何人ものパレスチナ人から

直接聞きました。






2002年にインドネシアから独立したばかりの

東ティモールで展開された、

国連PKO(平和維持活動)。



インドネシア軍等による虐殺から

住民を守り、新しい国づくりと

復興を支援するために

世界各国から派遣された部隊。


その中で自衛隊は、

独立後初めて行われる

選挙の監視活動や、

教育支援・土木技術支援などの

非軍事活動部分を担いました。





東ティモールから遠く離れた

パレスチナの人たちが、

自衛隊のPKO参加を

知っていたこと自体、

私にとっては大きな驚きでした。




もちろん、

「東ティモールのような支援を

やって欲しい」という言葉は、

パレスチナ全体の意見を

代表しているとは言い切れません。





しかし少なくともその意味は、



「ODA(政府開発援助)のような、

箱モノやお金が欲しいのではない。


『平和国家』『戦争をしない特別な国』である

日本だからこそ、非軍事での

貢献をしてほしい、

中立的な調停者としてかかわってほしい」、

という期待だったと思います。






日本独自のアドバンテージを活かす道





パレスチナ・イスラエルの和平については、

これまでさまざまな調停が入るも、

歴史的関係や利害関係のために

着陸できない状況が残念ながら続いています。





アメリカはイスラエルに肩入れしすぎ。


ヨーロッパは、

ホロコーストの負い目があって、

イスラエルに強く言えない。



アラブはパレスチナに思いを寄せていても、

イスラエルにボロ負けしてるから

関わりたくない。



「平和ブランド」で和平調停を

成功させたノルウェーも、

オスロ合意崩壊で介入しにくくなった。




そして、パレスチナは国連を

信用しきれないし、

イスラエルは国連が大嫌い。






そういう中で、

パレスチナからは「アジアの兄貴分」として慕われ、

イスラエルからは「命の恩人」として

今でも感謝されている日本。




両方から好感情を持たれている

ほとんど唯一の国という

立ち位置を活かして、

非軍事で貢献するというのは、

日本にしかできないこと

だと思うのです。






これから先は、

そういう独自のアドバンテージを

活かす道を探っていくべきなんじゃないでしょうか。



リスクがあったとしても、

取るべき道って何なのか、

ってことを。






であればこそ、今の国会論議のままで

自衛隊に行ってもらうのは

アカンと思うのです。



なぜなら、「平和国家日本」で

あることをやめたら、

日本人を守っていた担保は

消え去るからです。







【当ブログ内関連記事】親日感情・国際貢献


201528UP記事 「日本の友人たちよ、道を誤ってくれるな」。日本人だからこそ出来ることがあると教えてくれた、中東からの眼差し

http://syuklm.exblog.jp/24109189/


2015215UP記事 「邦人救出できない法は変えるべし」という主張が無視しているもの。イラクでもアフガンでも、「日本人だから攻撃されにくかった」理由。↓

http://syuklm.exblog.jp/24136507


2015427UP記事 「国際平和支援」の最前線。報ステ「緊迫のコンゴPKOに密着」

http://syuklm.exblog.jp/24409230/






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by shuklm | 2015-05-30 21:30 | 「国際貢献」・PKO・自衛隊 | Comments(0)

【時事】ココがヘンだよ安保法制3・「ヤバくなったら敵前逃亡」では、国際的信頼も自衛官の安全も保障できない

「新たな安保法制によって自衛隊員のリスクは高まることはない」防衛相が断言(5月23日付神奈川新聞) 

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その根拠のひとつとして、「戦闘行為が始まったり危険が生ずれば、活動中止や地域変更などができるから」との説明。


「危険になった場合は引き揚げる」と明言(5月24日NHKスペシャル)

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いやいや、それってつまり「ヤバくなったら敵前逃亡する」ってことですよね?

他の国の軍隊を置いて、自分達だけは危険な場から退避する、と。


本当に現場でそれやったら、「じゃあお前ら、なんでココに来たんだよ? 

イザって時に逃げるくらいなら最初から来るなよ!」ってハナシ。

アメリカとかの「同盟国」のみならず、世界中からも信用されなくなるんじゃないか?

それじゃ一体なんのために派遣するのか?


大体、そんな危険な状況になってから安全に撤退なんて可能なのか。

撤退戦のしんがりが一番犠牲が多くて困難なのに。

なにより、現場の部隊の士気が保てないんじゃないか。

それこそ自衛隊員を無用な危険に晒すことです。



いったい政府は、自衛隊員の命を何だと思ってるのか?と言いたいです。



新しい任務によってどういう危険が生じるのか、政府にその覚悟があるのか、そこをきちんと論議して語ってほしい、と現役自衛隊幹部も言っています。


神奈川新聞5月15日付

「揺らぐ不戦の誓い」「高まる危険 議論されず」

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"「駆け付け警護」って、実際はああいう過酷な任務なんだよ」。

陸上自衛隊幹部が最近日本で公開された米国映画を例に挙げ、解説した。

米軍兵士が敵に取り囲まれ孤立する緊迫のシーン。銃弾が激しく飛び交う現場に、武装ヘリや装甲車で救援に突入する――。

「小銃を持って駆け付ければ敵が逃げていくなんて、そんな甘い世界ではない」"



"武装集団に襲われた国連要員らを助けに行く駆け付け警護。

政府は国連平和維持活動(PKO)協力法の改正によって可能にする考えだ。

幹部は「相手を圧倒するような強力な作戦を展開しないと救出できないが、容認されるのか」と疑問を投げ掛け、「それができないなら意味のない議論だ」と断じた。"



"与党協議を注視してきた別の幹部も「生々しい議論から逃げたままだ」と失望を隠さない。"



"国際紛争に対処する他国軍への後方支援では、、自衛隊の活動範囲は従来の「非戦闘地域」から「現に戦闘行為を行っている現場(戦場)以外」に拡大されるが、この幹部の目には「定義や線引きがあいまいな単なる政治用語」のように映る。"



"「どういう危険があるのか説明しないと始まらない。政府にその”覚悟”があるのか」"





ただ、最終的には、自衛官にリスクが増えるかどうかだけの問題じゃないと思うのです。

「リスクが増えても、やらなくちゃいけないことがある、だからお願いします」と、自衛隊員に対して政府が正面から説得できる理由があるのかどうかではないでしょうか。


そこまでして彼らに命を懸けさせるべきミッションを、私たちは決めてない、というのが一番の問題だと思います。




【当ブログ内関連記事】

2015517UP記事  再録・「イラク派遣 10年目の真実」↓

http://syuklm.exblog.jp/24488767/

2015427UP記事 「国際平和支援」の最前線。報ステ「緊迫のコンゴPKOに密着」

http://syuklm.exblog.jp/24409230/

2015215UP記事 「邦人救出できない法は変えるべし」という主張が無視しているもの。イラクでもアフガンでも、「日本人だから攻撃されにくかった」理由。↓

http://syuklm.exblog.jp/24136507



※タイトルを変更し文章を補いました(2015.5.25)

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by shuklm | 2015-05-25 07:25 | 安保法・安全保障・日米関係/戦争と平和 | Comments(0)

【イベント告知】パレスチナワイン&デーツ 試飲&試食会♪(5月24日in池尻大橋)

一緒にパレスチナを訪問した友人が運営しているフェアトレードショップ「セーブ・ザ・オリーブ」が、出張販売します。

お近くの方、ぜひお立ち寄りください


パレスチナワイン&ジェリコデーツのペースト

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パレスチナ自治区・ヨルダン川西岸地区からやってきた品々です。


ワインの醸造地は、キリスト教の聖地・ベツレヘム。

聖書にも登場する古都・ジェリコは、世界的にも有名なデーツ(ナツメヤシ)の産地。


長い歴史と多様な文化が育んだ美味しさ、まずはお試しあれ




*【お店スタッフFBより抜粋】*****



【イベント告知】セーブ・ザ・オリーブ(Save the olive


明日24(日)にパレスチナ産ワインとデーツペーストの試飲&試食販売会を下記店舗にて開催します!

どうぞお気軽にお越しください~。

デーツペーストは普段はお店で取り扱いのないお得サイズもございます。

農薬不使用、天然の甘み100%のおいしくて使い勝手もよい万能ペーストですよ 

皆様のご来店をお待ちしております。


5/24(日)リマ池尻大橋店 東京都目黒区東山3-1-6 CIビル

TEL03-6701-3277

11時半~15時。



**********貼り付けココまで**



「セーブ・ザ・オリーブ」のオンラインショップでも入手できます↓

http://savetheolive.main.jp/index.htm

ワイン・デーツのページ↓

http://savetheolive.main.jp/cremisanwine.htm

http://cart02.lolipop.jp/LA11054252/?mode=CATE&c_id=CA00100017274

(ワインは「酒類」タブから、デーツは「定番商品」タブから注文できます)



【当ブログ内関連記事】 

20141210UP記事 X'masや新年のプレゼントに、パレスチナ産ワインはいかが?

http://syuklm.exblog.jp/23856121/



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by shuklm | 2015-05-23 16:41 | 私たちに、出来ること。 | Comments(0)

【シェア】再録「イラク派遣 10年目の真実」


1年前の放送ですが、今だからこそ必見だと思います。

放送内容が全文テキストで読めます。


2014年4月16日放送 NHK「クローズアップ現代」より
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3485.html

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イラクへ派遣された自衛隊員は5年間で延べ1万人。
帰国後の自死者は28人。
遺族が語る、帰国後の隊員の姿。
1000本にも及ぶ防衛庁の極秘映像から浮かび上がる、「もっとも戦場に近かった」任務の現実とは。



この人たちの思いや直面した事実を無視して政治家は安全保障の議論なんかしてはいけないんじゃないでしょうか。





***シェアココから(一部抜粋)*****
イラク派遣 10年の真実

煙に包まれる自衛隊の車両。
自衛隊がイラクで行った訓練を撮影した映像です。

自衛隊員
「大丈夫ですか?
大丈夫ですか?」


自衛隊員
「前方、炎上中。」

隊員が死亡した場合の準備まで、極秘裏に進められていたことも分かってきました。

元統合幕僚長
「棺を準備して持ってって、そこはわからないように非常に気をつかいながら準備だけはしてた。」

自衛隊の任務の拡大に向け議論が進められている今、イラク派遣が残した教訓を未公開の資料から探ります。

“戦場に近かった” イラク派遣10年

今年(2014年)1月。
イラク派遣10年を機に開かれた懇親会。
現地に派遣された隊員たちが全国から集まりました。



元派遣隊員
「いつテロがある緊張の中で過ごしていましたので、精神的にきつかったのはある。」



元派遣隊員
「あそこは戦場に近かった所だったかな。」

イラク派遣10年 極秘映像は何を語る

この10年公開されることのなかった映像記録が、防衛省に保管されていました。
半年に及ぶ交渉で初めて開示されました。
自衛隊が撮影した、1,000本に及ぶイラク派遣の記録です。
その内容の大半は医療支援や給水、道路の修復など、人道復興支援活動の様子でした。
しかし詳しく見ていくと、これまで明らかにされてこなかったイラク派遣の実態が、記録されていたことが分かりました。
派遣からおよそ1か月後。
夜間の宿営地を映した映像です。


自衛隊員
「ただいまの時刻、イラク時間10時57分です。
突然、鉄帽と防弾チョッキ着用が命令されました。」



自衛隊員
「戦闘服。」

自衛隊員
「A警備の要員はただちに指揮所に集合。」

宿営地にアナウンスされたA警備。
不測の事態に緊急で警戒に当たる態勢のことです。
この夜、武装勢力が宿営地を攻撃するかもしれないという情報が、現地警察から寄せられていました。
自衛隊は、派遣された当初から武装勢力に狙われていたことが分かります。

そして、この1か月後。
宿営地に向けて迫撃砲が撃ち込まれました。
映像には、迫撃砲の着弾地点を探す隊員たちが映っていました。

自衛隊員
「ここです。」

自衛隊員
「間違いなく破裂してるね。」

着弾地点から数メートルにわたって、土地がえぐられていました。

自衛隊員
「おそらく82ミリ迫撃砲。」

迫撃砲は、各国の軍隊にも配備されている殺傷力の高い兵器です。
こうした迫撃砲やロケット弾による宿営地への攻撃は、13回に及びました。

イラク派遣10年 “非戦闘地域”の実相

自衛隊が派遣された非戦闘地域。
こうした線引きをしたのは、憲法9条の下で海外での武力行使が禁止されているからです。
そのために作られたイラク支援法。
非戦闘地域への派遣であれば、他国の武力行使と一体化せず憲法に抵触しないとしたのです。

当時、陸上自衛隊のトップを務めていた先崎一さんです。
自衛隊の転機となった任務だったと振り返ります。




元統合幕僚長 先崎一さん
「政治的には非戦闘地域といわれていたが、対テロ戦が実際に行われている地域への派遣で、派遣部隊からみれば何が起こってもおかしくないと。
戦闘地域に臨むという気持ちを原点に置きながら、危機意識を共有して臨んだ。」

派遣から1年半後の訓練の映像です。

自衛隊員
「痛い!
痛い!」

自衛隊は路上に仕掛けられた爆弾で攻撃されたことを想定していました。

自衛隊員
「負傷者3名。
警戒処置等、取れない。」

イラクで、多国籍軍を狙ったテロが一向に収まらなかったからです。

自衛隊員
「搬送が終わった者については警戒に就け、警戒!」

人道復興支援の陰で、こうした訓練を繰り返さざるをえない状況が続いていました。
訓練には、多国籍軍が参加していたことも分かりました。
付近に展開する他国の軍隊と共に活動することが、日常化していたのです。

先崎さんは攻撃によって隊員が死亡した場合の対応まで、極秘に検討していたことを明かしました。
遺体をどのように運ぶのか、詳細に手順を検討。
国主催の葬儀も考えられていました。
さらに宿営地に棺まで持ち込んでいたといいます。

元統合幕僚長 先崎一さん
「忘れもしないですね、先遣隊、業務支援隊が、約10個近く棺を準備して持っていって、クウェートとサマーワに置いて。
隊員の目に触れないようにしておかないと、かえって逆効果にもなりますから、そこは分からないように、非常に気をつかいながら準備だけはしていた。
自分が経験をした中では一番ハードルの高い、有事に近い体験をしたイラク派遣だったと思います。

イラク派遣10年 隊員たちの心にも…

イラクへ派遣された陸海空の自衛隊員は、5年間で延べ1万人。
隊員の精神面にも大きな影響を与えていました。
NHKの調べで、このうち帰国後28人が、みずから命を絶っていたことが分かりました。
28人は、なぜ命を落としたのか。
イラク派遣から1か月後に自殺した20代の隊員の母親が、取材に応じました。
イラク派遣のときの土産と、迷彩服につけていた記章が飾られていました。
派遣中の任務は宿営地の警備でした。

20代の隊員を亡くした母
「(息子が)『ジープの上で銃をかまえて、どこから何が飛んでくるかおっかなかった、恐かった、神経をつかった』って。
夜は交代で警備をしていたようで、『交代しても寝れない状態だ』と言っていた。」

息子は帰国後自衛隊でカウンセリングを受けましたが、精神状態は安定しませんでした。
母親は、息子の言動の異変を心配していました。

20代の隊員を亡くした母
「(息子は)『おかしいんじゃ、カウンセリング』って。
『命を大事にしろというよりも逆に聞こえる、自死しろ』と、『(自死)しろと言われているのと同じだ、そういう風に聞こえてきた』と言ってた。」

この数日後、息子は死を選びました。

自衛隊はイラク派遣の任務が隊員の精神面に与える影響を、当初から危惧していました。
これは現地に派遣された医師が、隊員の精神状態を分析した内部資料です。
宿営地にロケット弾が撃ち込まれた際の隊員の心境を、聞き取っていました。

20代 警備担当
“発射したと思われる場所はずいぶん近くに見えた。
恐怖感を覚えた。”



30代 警備担当
“そこに誰かいるようだと言われ、緊張と恐怖が走った。”




中には、睡眠障害を訴える隊員もいました。

20代 警備担当
“比較的近い所に発射光が見えたので、敵がそばにいる気がして弾を込めようか悩んだ。
今でもその光景が思い起こされて、寝つけない。”

この隊員は生死に関わる経験のあと精神が不安定になる、急性ストレス障害を発症していると診断されていました。

さらに内部資料には、派遣されたおよそ4,000人を対象に行った心理調査の記録もありました。
睡眠障害や不安など心の不調を訴えた隊員は、どの部隊も1割以上。
中には、3割を超える部隊もあったことが分かりました。
隊員の心に深刻な影響を与えたイラク派遣。
自衛隊に求められる役割が広がる中で、防衛省はさらなる対策を迫られています。

防衛省 メンタルヘルス企画官 藤井真さん
「これまでも任務がいろいろ拡大するにつれ、メンタルヘルスケアに力を入れてきたが、どうしても心の傷を受けるような活動もあるので、今後とも力をいれて対策を講じていきたい。」

イラク派遣後みずから命を絶った28人の隊員たち。
帰国後、精神の不調を訴え自殺した40代の隊員の妻が、取材に応じてくれました。
夫を支えられなかったことを今も悔やんでいました。

40代の隊員を亡くした妻
「どうしたらいいかわからない。
孤立した感じで、かなりつらかった。
私は主人のことをサポートして、生きていてもらいたいと思って。」

妻は自衛隊の活動が広がろうとしている今、隊員が直面する現実をもっと知ってほしいと語っていました。

40代の隊員を亡くした妻
「(自殺した隊員は)1人、2人ではないです。
亡くなった人数ではないですけど、亡くなった人数の何十倍の人が苦しんでいるわけで、マイナス面も含めて表に出していかないと、苦しいですね。」


***シェアココまで(全文はクローズアップ現代HPで読めます)****


※一部抜粋コピペを追加しました(2016.2.28)


byしゅくらむ



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by shuklm | 2015-05-18 06:42 | 「国際貢献」・PKO・自衛隊 | Comments(0)

【時事】ココがヘンだよ安保法制・その2。「NGOを守るために派兵」って、超メイワク!!

安倍首相は、安保法制整備の理由のひとつに「邦人保護」を挙げました。

例えば、「日本のNGOを自衛隊が救助しなくていいのか」、と。



あのですね、当のNGOの人たちが、「軍隊が出てきた方が、NGOは危険になる」って言ってるんですケド??




「軍隊と一体的に行動することは、現地との信頼関係を壊し、敵意を招く。

NGOの安全の確保にはつながらない。むしろ危険になる」。

これは、人道支援の現場のリアルな実感として、何度も言われてきたことです。




例えば、日本紛争予防センター理事長 瀬谷ルミ子さんは、

ソマリア・スーダンなどの国際紛争の現場に関わってきた経験から、

昨年の集団的自衛権の閣議決定に対して、

「政府が、『NGOを軍隊に守られる存在』として公言したことは、危機管理上、非常にまずい」と指摘されていました。

2014815日放送 NHK討論番組より)



アフガニスタン・パキスタン地域で30年以上に渡って人道支援に取り組んで来られた「ペシャワール会」の医師・中村哲さんも、「日本の人道支援は、軍隊と関係なく活動しているからこそ現地の人に信頼されてきた」と、繰り返し語られています。




むしろ、あらゆる軍隊と距離を取ることで、非軍事だからこそ自分たちも安全に活動できてきた、と。




私自身、パレスチナのジェニン難民キャンプで、イスラエル軍の砲撃と銃声の聞こえる現場から帰ってきた経験からも、まったくその通りだと思います。



なぜ、危険な「戦闘現場」からケガひとつなく安全に帰ってくることが出来たのか?

答えは至極カンタン。

「現地の人が助けてくれたから」、です。


現地へ入る時に案内してくれたのは、パレスチナ人のコーディネーター。

戦闘が始まって退避する時に先導してくれたのは、国連の現地職員でした。




結局は、顔の見える現地の人たちとの信頼関係が最大の安全保障ってことだと思うんです。




だから、軍隊を動かす理由は「NGOを守るため」って主張は、迷惑極まりないと感じます。

都合よく引き合いに出すのはホントやめてくれる?!って言いたいです。





※「自衛隊が迷惑な存在」などと言いたいわけではなく、「派兵の理由にNGO保護」を主張する与党の理屈が迷惑と言いたいのが意図なので、タイトルを「NGOを守るために自衛隊って超メイワク」から「NGOを守るために派兵って超メイワク」に変更しました(2015.7.29)



【関連記事】

20141017UP記事 「ジェニン6・近づいてくる銃声。手を振る子供たち。」↓

http://syuklm.exblog.jp/23558890/

2014215UP記事 「邦人救出できない法は変えるべし」という主張が無視しているもの。イラクでもアフガンでも、「日本人だから攻撃されにくかった」理由。↓

http://syuklm.exblog.jp/24136507



※ゴメンナサイ、次の記事に使おうとしていた写真を誤ってUPしてしまったので削除しました。大変失礼いたしました(2015.5.17)


byしゅくらむ


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by shuklm | 2015-05-17 08:37 | 安保法・安全保障・日米関係/戦争と平和 | Comments(0)

【時事】ココがヘンだよ「安保法制」。法律を変えれば安全になるのか?

515日、政府は新たな安全保障関連法案を国会に提出(15日付 神奈川新聞1面)

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安倍首相は「国民の命と平和な暮らしを守るため」と説明し、「『戦争法案』とレッテルを張るのではなく中身のある議論をしてほしい」と主張しました。


じゃあ、中身で具体的に考えてみましょう。

例えば、日本がミサイル攻撃されたとしたら?

「法律を変えれば安全になる」のか?


答え⇒ならない。


なぜなら、世界最新の防衛システムでもミサイル攻撃は防げないから。

それは、昨年のガザ攻撃ですでに証明されています。



2014年夏、イスラエル軍によるガザ地区への空爆に、パレスチナ側はハマスがロケット弾で応戦。

そこから私たち日本が学ぶべきこととして、国際政治学者の高橋和夫さんが指摘されていたことを、一つの視点としてご紹介させていただきます。



「高橋和夫の国際政治ブログ」2014年08月14日

http://ameblo.jp/t-kazuo/entry-11909744060.html

(まだ戦闘が続いている時期の記事です)




”我々は、今回のガザの戦闘から何を学ぶべきか。

それは、新しい戦争の形態が垣間見えるということです。


つまり、ハマスはこれだけロケットを撃ち込んでいる一方で、イスラエルは、真実かどうかは別として、迎撃ミサイルのアイアンドームで、その9割は撃ち落としていると主張しています。

しかし、いくら爆撃してもミサイルは止められていない。

あれだけひどく爆撃しても、毎日毎日ハマスからロケット弾が飛んできています。”



”つまり、将来、日本が何らかの形で戦争に巻き込まれた時、日本に敵対する国がミサイルを撃ち込んできたら、アメリカ空軍がいかに頑張ったとしても、その攻撃を止めることはできないということです。”



”恐らく、日本に敵対する国は、ハマスよりもっと正確に、長距離でスピードの速いミサイルを撃ってくるはずですから、在日米軍基地すら守ることはできません。


米軍がグアムやオーストラリアなど後方に下がろうという雰囲気の背後には、中国のミサイル能力が飛躍的に向上しているということがあると思います。

ミサイルを撃たせてしまったら最後、どうやっても止められないと分かっているからでしょう。

そういう状況に追いつめてしまったら、泥沼化は避けられないということです。

今のガザの惨状が、そのことを私たちに示しているのです。”


(改行は筆者による)




人道的な見地はひとまずおいて、事実として、イスラエルの軍事技術は常に世界最先端です。「最新の兵器はまずイスラエルで実戦実験される」と言われています。

その最新鋭の防衛システム「アイアンドーム」をもってしても、ハマスの手作りロケットをすべて撃ち落とすことは出来なかった。

もっと性能のいい長距離ミサイルならなおのこと、アメリカがどんなに頑張っても防ぐのは不可能。

だから、「相手がミサイルを撃たなくてはならないような状況」に追い詰めるべきではない、ということだと思います。



アジアの現状から見れば、

たとえば北朝鮮にとって、朝鮮戦争は「休戦中」。1950年の開戦以来、65年間ずーっと戦争状態が続いているわけです。

こちらが手を振り払っただけのつもりでも、政権も国民も「やられた!やり返さなくちゃ!」と過剰反応したっておかしくない。

軍事的にどんなに力量差があったとしても、やらざるをえなくなってしまう。



相手を追い詰めたりヤケクソにさせないようにどうするか、それが「安全保障」じゃないんですか?




byしゅくらむ


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by shuklm | 2015-05-16 14:41 | 安保法・安全保障・日米関係/戦争と平和 | Comments(0)

顔の見える支援を選ぼう! ネパールの生産者へ、ココロも届く、お買い物。

5月9日は、「世界フェアトレードDay」。


フェアトレードショップ「ピープル・ツリー」では、58日~10日までの売上の5%を、ネパールの生産者団体を通じて現地の支援へ寄付するそうです。


楽しく買い物するだけで、心も届く仕組み。

現地での長く深い信頼関係があるからこそ、ですね。

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▲ネパールの生産者の手作りの品々


例えば、ネパールの生産パートナーのひとつ「クムベシュワール・テクニカル・スクール」は、手編み製品の生産を通じて立場の弱い人達の自立を支援するだけでなく、貧しい家庭の子どもたちが通う小学校や、孤児の養護施設を運営するなどのソーシャルな取り組みもしているところ。


お金を出して終わりじゃない、作り手さんたちの思いやストーリーを知ることで、買った品物が余計に愛おしくなります。


1991年開業のピープル・ツリーは、日本のフェアトレードショップのフロントランナー的存在。

私自身も15年くらい愛用している、スペシャルレコメンドなお店です。

製品はどれもオシャレで心地よくて、おススメですよ


オンラインショップはコチラから↓

http://www.peopletree.co.jp/index.html

(ネパール産品に限らず、オンラインショップ内どの商品を購入しても5%寄付されるとのこと。

また、買い物をせずに募金だけすることもできます)


▼リアル店舗も素敵! 自由が丘本店。店頭では募金受付中。

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(写真はすべて本日、自由が丘店にて筆者撮影)



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People Tree」ブログ 58日付

来週、ネパール支援金を送ります!


Written by People Tree, Posted in ニュース, 生産者のこと


PRAY FOR NEPAL 1日も早く、笑顔が戻りますように。」


4月25日に起きた大地震によって被災したネパールの人びとの支援のため、ピープル・ツリー/グローバル・ヴィレッジが呼びかけている寄付に多くのみなさまからご協力をいただき、ありがとうございます。

私たちはこの寄付金を、ネパールのフェアトレード団体でつくるネットワーク組織「フェアトレード・グループ・ネパール(FTGN)」に送ります。

FTGNとは、ピープル・ツリーのつくり手である4団体を含むネパールの生産者団体やNPOが、ネパールの立場の弱い人びとの生活向上のために力を合わせようと結成した組織で、現在19団体が加盟しています。

今回の大地震の直後から、FTGNのメンバー団体のリーダーたちが情報交換し合いながらそれぞれの地域の被災状況と支援ニーズを取りまとめており、すでに7つの村で、被災者の人びとに米や水、非常食を配布するなどの緊急支援活動が始まりました。

被害の全容を把握するだけでもまだ時間がかかります。

ピープル・ツリーのパートナー団体では、首都カトマンドゥにある事務所のスタッフの無事は確認できました。

しかし、生地の織り手、ニット製品の編み手、陶器製品の職人などつくり手のみなさんは各地に散らばって仕事をしており、被害の大きかった地域では、家が全壊した人や家族を亡くした人もいます。

FTGNに送る寄付は、まず食糧配給などの緊急支援、次いで家の再建などの中長期的支援に使われる予定ですが、必要な金額の見積もりもこれからです。

FTGNでは引き続き、各メンバーから情報を集めて、具体的な支援計画を立てていきます。

ピープル・ツリー/グローバル・ヴィレッジでは、5月6日までに、およそ40万円の寄付を集めました。現地への送金を来週行いますが、それまでにさらに多くの寄付を募りたいと思います。

明日、5月9日は世界フェアトレード・デーです。

ピープル・ツリーでは、本日5月8日からフェアトレード・デーを含む10日までの3日間、オンラインショップで全てのお買いもの金額の5%をFTGNへの寄付とします。

今年は、ネパールの人たちの笑顔が戻ることを願う、フェアトレード・デーにしませんか?ご寄付の方法について詳しくは、こちらのブログをご覧ください。

ご協力をお願いいたします。私たちは今後も寄付募集を続け、被災者のみなさんの生活再建を支えていきます。

貼り付け元 <http://magazine.peopletree.co.jp/archives/3392>




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※写真の順番を入れ替えて文章を補足しました(2015.5.9)


byしゅくらむ


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by shuklm | 2015-05-09 13:19 | 私たちに、出来ること。 | Comments(0)

【シェア】「シリアで命懸けで撮られた映画を届けたい!」

いま、なかなか聴こえなくなっている、シリアの普通の人たちの思いとは。

「ISと内戦」だけじゃないシリアの姿を知ってほしい。


シリアへ帰った友人のことを思うと、とても他人事とは思えなくて、シェアさせていただきます。

映画を配給するためのプロジェクトへの応援をぜひ広めて下さい!



プロジェクトの支援(クラウドファンディングのご協力)はコチラから↓

https://motion-gallery.net/projects/return_to_homs


支援募集締め切りまで、あと27日です!




**シェア ココから******



シリアで命懸けで撮られた映画を届けたい!

『それでも僕は帰る —シリア 若者たちが求め続けたふるさと』


シリア人が撮りつづけたシリアの若者たちのありのままの姿。

戦うとは、生きるとは、ふるさととは。

命懸けで撮られたこの映像を、今の日本に届けるために、ご協力をお願いします!!

シリアのために何かしたいと想い続けた4年間 ようやく巡り会えた映画

本プロジェクトを主導しております、映画配給会社 ユナイテッドピープル社員のアーヤです。今から約4年前の20113月、私はシリアの第2の都市アレッポに、アラビア語の研修で1ヶ月間滞在していました。初めて訪れたイスラーム圏で、最初は不安や緊張も入り交じっていましたが、現地に到着してからは、歴史ある町並みと、美味しいごはん、そして何より、温かく人懐っこい人々に、すっかり魅了されました。

アレッポ、とにかく澄み渡るような青い空と射し込む日の光がきれいな街でした。歴史を感じる建造物や街並は、それ自体が異邦人の私たちを温かく包み込んでくれるような感覚を覚えました。

しかし滞在中から、シリア内の別の都市で反政府のデモが起き始め、帰国して間もなく内戦状態となってしまいました。

「どこにも安全な場所は無い」「この恐怖が続くくらいなら死んだほうがマシ」

現地で知り合った友人たちがSNSで発信してくる言葉、写真、映像…。ほんの少し前まで、一緒にごはんを食べ、笑い合い、沢山の思いやりを寄せてくれた同年代の彼らの身に起きたことを、「他人事」とはとても思えませんでした。

日本からもできることがあるのでは、日本からだからこそできることがあるのでは…。

そう思い続けていた中で、社会的メッセージ性のある映画の配給に従事している今の会社、ユナイテッドピープルに転職。そしてこの映画、『それでも僕は帰る —シリア 若者たちが求め続けたふるさと』(仮)(原題: The Return to Homs)に出会いました。

沢山の大切な思い出をもらったシリアとシリアの人々のために、この作品を日本に届けたい!命懸けで撮られているこの作品を日本に届けなければ…!

そう意気込んだものの、弊社は、フルタイムで働いているのはボスと私の2人のみ…という小さな会社。1年に配給できる作品も2作品から、多くて4作品。1作品ずつに社運が懸かっています。私の想いだけでは、様々な“工程”が必要な海外の映画を日本に届けることはできません。そこで本映画の配給にあたり、皆さんのお力をお借りしたいのです。


色褪せて行くニュース・・・ 伝えられる莫大な死者の11人に人生があり、想いがある

『それでも僕は帰る』は、2011年の夏から、反体制派の拠点の1つ、ホムスで撮影されてきた映像です。(NHKを含めた国際共同制作です。)

サッカーのユース代表チームのゴールキーパーとして活躍していた、当時19歳の青年バセットは、そのカリスマ性から若者を惹きつけ、民主化運動のリーダーになりました。彼の友人で有名な市民カメラマンである24歳のオサマは、デモの様子を撮影し、インターネットで公開することで、民主化運動を広げようとしました。

当初、非暴力の抵抗運動を先導していた2人ですが、20122月に、政府軍の容赦ない攻撃によってホムスで170人もの市民が殺害されたのを機に、彼らも武器を持って戦い始めます。

戦場で撮影された映像は、次に何が起きるか予測不能。さっきまで談笑していた人が、命を奪われるような場面も出てきます。バセット自身が重傷を負うこともあります。オサマは怪我の治療のためにホムスの外に出て、その後……。戦地の緊張感と、臨場感がありのままに伝わってくる作品です。

一方で、どんなに過酷な状況にあっても、怒りや苦しみを痛烈な風刺の言葉に込めて歌い続け、何度戦いに敗れようとも、街に閉じ込められた状態の市民を助け、ふるさとを取り返すべく、ホムスへ戻り続けるバセットの姿には、生きるエネルギーとみなぎる情熱を感じます。

シリアが内戦状態となってから逸4年。日本のメディアでシリアのことが取り上げられる機会も減りましたし、死者何万人という膨大な数に、次第に感覚も麻痺してくるなかで、何万人という死者の「1」人ずつに、友人がいて、家族がいて、人生があることが、この作品を通じて感じられるのではないかと思っています。マスメディアでは伝わってきにくい、彼らが戦い続けている理由と想いが、この作品のなかにはありのままに映し出されています。

映画公式サイトhttp://www.returntohoms.com


日本に、いま届けたい

「シリアで出会った人たちも、バセットたちのように、不毛な戦いに飲み込まれ、終わりの見えない緊張感に苛まれ続けているのかもしれない…」。この映画を観ながら、そんなことを想像し、胸が締め付けられました。

それと同時に、この映画で映し出されているものは「シリア」に限られるものではないとも思っています。

帰国直後に内戦状態となったシリアを見て、私が強く感じたのは「穏やかな日常も、簡単に壊れうる」ということです。私が訪れた当初のシリアは、道端のおじさんたちがコーヒーを薦めてくれ、モスク(イスラーム教の宗教寺院)で家族が日向ぼっこをし、子供たちが元気に駆け回っている場所でした。どこか懐かしさを覚えるような温かい日々が、それから程なくして今のような状態になってしまうとは…。おそらくシリア人たちも、予期していなかったことだと思います。

『それでも僕は帰る』では、そんな、予期せず戦渦に巻き込まれて行った若者の“リアル”が捉えられています。非暴力の抵抗を諦め、武器を手に取った変化。24時間四方八方を警戒しなければならない疲労感。友人や仲間達が次々に亡くなって行く喪失感。「もうたくさんだ」と思っても前にも後にも引けない現実…。これこそが「戦争」なのだと思います。

日本では、私自身を含め、多くの人が戦争を体験したことがなく、一方で、ゲームやホラー映画・SF映画などで、非リアルな「殺し合い」は身近なものになっています。そして今、集団的自衛権や憲法9条改正なども議論にあがってきているなかで、この映画は、「平和とは何か、どうすれば維持できるのか」を考える、大切な“学び”が詰まった作品だと思っています。特にバセットと同じ20代の人に届けたい。彼らは「今」という同じ時代を生きている、実在する人物であるからこそ…。


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byしゅくらむ


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by shuklm | 2015-05-06 22:34 | シリア人の友人のこと・難民・シリア関係 | Comments(2)

憲法の日WEEKに。「国民投票でガチンコ勝負を!」 




53日は日本国憲法の誕生日。



自民党は、憲法記念日の談話で、憲法改正を進めることをあらためて表明しました。

すでに今年4月に、「2年以内(2017年まで)に、憲法改正の国民投票実施を目指す」と発表しています。



私自身は、「憲法は未来永劫・一字一句たりとも変えちゃいけない」とは考えていません。

だけども、いまの自民党の改正案はちょっとダメすぎ。

だからこそ、これから先もこの憲法で行くのか、一回きちんと決め直そう、と言いたいんです。




私が国民投票で決めた方がいいと考える理由は3つです。




①自民党の「憲法改正草案」の内容がヒドいから。


ざっくり言うと、「9条を改正する」ってだけじゃなくて、「人権は制約付きでしか認めない」っていう内容なんですよね。

一回きっちり「こんなのはダメ」ってハッキリさせた方がいい。




②「安全のためには改憲が必要」と感じる人との対話の土台が必要と思うから。


漠然と「安全が脅かされるのはイヤだ」という心情を抱くこと自体は、否定できないと思うのです。

私自身が、イスラエルで『テロ』の恐怖に怯えた経験があるので。

そう感じる人たちを頭から否定することは、自民党が唱える「強い国家安全保障」側へ追いやることにしかならない。

だからこそ、皆で一回、「平和に安全に暮らしていくためには、リアルに何が必要なのか?」と、同じ土俵で話し合う機会が必要だと思うんです。




③「平和憲法は押し付けられたんじゃなくて自分たちが選んだ」と明確にした方がいいと思うから。


私自身、パレスチナやシリアやイラクの人たちと接して、「日本は戦争をしない国」として広く知られていることを初めて知りました。

その「平和国家ブランド」にいかに大きな信頼を寄せられているかを肌身で感じ、さらに、「日本こそパレスチナでPKO(国際監視)をやってほしい」という言葉を知って、日本だからこそできる非軍事貢献を探りたいと考えるようになりました。

それこそが、国際平和に貢献し、同時に日本の安全も保障する道なのではないかと。


だからこそ、「これからも私たちは平和国家で行く」というのを明確にする意味で、国民投票で今の憲法を変えないという選択をしたと示したほうがいいと思うのです。

「押し付けられた経緯があったのかもしれないけど、いま、私たちはあらためて憲法を選び直した」と。

その方が、よっぽど憲法としての正当性も日本の立ち位置もスッキリするんじゃないでしょうか。





②③については、実際に国際紛争解決プロとして現場に身を置いてきた伊勢崎賢治さんの主張を読んで、物凄く納得したことも大きな理由です。

少し長いですが、引用させていただきます。



国防軍』 私の懸念 安倍新政権の論点」(伊勢崎賢治さん・小池清彦さん・柳沢協二さん共著・2013年出版)より

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「国益のためには九条」の議論を



”護憲派の中には、(憲法)改悪を防ぐには、「国民投票」を何とか阻止しようという考えがあるようです。

政治能力が右傾化の方にある現在、この考えは、もう、もたないでしょう。

というか、逆に、「国民を信頼していないのか」とか、「信を問わないのは卑怯だ」とか足をすくわれる恐れが大です。


ここは、正々堂々と、「彼ら」と勝負するしかありません。

敢えて、「彼ら」の土俵に乗るのです。

九条は世界平和のためだとか、夢のような話でなく、「国益」の議論に乗るのです。



僕は、「額面通りの九条」と「自衛隊の存在」という、理想と現実の乖離、そして矛盾があっても、九条が生む「矛盾の実利」をよしとする考えを持ってきました。

だって、ほとんど全ての先進国が戦争している現在、これだけの経済大国なのに戦争をしないと宣言している九条の存在は、日本が経済的に利害関係のある相手諸国と付き合う上で、どれだけの信頼を醸成させることになっているでしょうか。

戦争をしかける国じゃないから、かつての敵国にも受け入れられてきた。”


”この経済効果を、ぜひ、経済界の方々に定量評価してもらいたいものです。

逆に、そのイメージが失われた時の経済的ダメージも、評価が必要です。”


”九条を失ったときのセンセーショナルな反動を考慮に入れなければなりません。

加えて、一国として持つ日本の既存のイメージを、一つの企業ブランディングとして、ゼロから構築する場合のコストも計算するのです。”



”僕が見る限り、アメリカが、戦闘能力の面で協力してくれるNATO加盟・非加盟諸国に困っているという様子は、ありません。

日本がそれを提供しなくても、困るとは思えません。



果たして、日本は、そういう他のフツーの国々と、同じことをすることがいいのか? 

それとも、フツーの国々には到底できないことをするのがいいのか?”




”アメリカの’同盟国’の中で、アフガニスタンで唯一、武力介入していない日本。


この日本の立ち位置(ちなみに自衛隊のインド洋の給油活動はアフガニスタンでは全く認知度がありませんでした。

なにせ、あのカルザイ大統領も、僕らが言うまで知らなかったのですから)をうまく使い、当時のアメリカ占領復興政策の中で、他の同盟国は、恐れ(何せ、武器で闘うことを男の本懐とするイスラム戦士が相手ですから)から忌諱してきたアフガン人武装組織(軍閥といいます)の武装解除という作業を引き受けたのです。


僕は、日本政府代表として、その作業を指揮することになりました。”


”軍閥たちに武装解除を武力で迫れば、そこは誇り高きイスラム戦士ですから、命懸けの抵抗が予想されます。

アメリカ・NATO諸国がやれば、そうなってしまう。そこに、日本がうまくはまったのです。


僕を含め、日本大使館のスタッフたちは、敵意が充満する現場に丸腰で赴き、武装・動員解除の交渉を粘り強く続け、その作業を完了させました。

それができたのは、日本は「平和国家」だというイメージを、軍閥たちが持っていたからです。

日本は、美しく「誤解」されているのでしょう。



こういう「矛盾の実利」を経済的恩恵、対米支援の観点から見据え、国民的決着をつけましょう。”


”これらを、「彼ら」がいう「九条が損なう国益」と正々堂々と対決させるのです。

そして、有権者に、どっちか、決めさせるのです。

もう、逃げてはなりません。”



”僕は、(国際政治の中での)「悪者退治」をする側に身を置き、「悪者」の怖さを、十分経験しているつもりです。

その経験からいえば、「悪者」の発生原因を常に、専門的に考え、それに対応できる国が、地球上に一つぐらいあってもいいと思うのです。

特に、アメリカの同盟国の中で。


それが九条を持つ日本の役割だと思うのです。”




*************




このへん凄く微妙な話なんですが、だからこそ一回タブーを取っ払って、議論を尽くす必要があると思うのです。



自民党は、国民投票にかける内容を「まずは『環境権』『緊急事態対応』とかから初めて、少しずつ改憲に慣れてもらう」とか言ってますが、そんな姑息なことをさせたらイカンですよ。



そうは言っても、いわゆる護憲派からは、「国民投票しろなんて言ったら、敵の思うツボだ。国民投票(改憲)の土俵に乗ってはいけない」っていう危惧ももちろんあるでしょう。

「改憲派の本音は、『本丸』の9条の改悪。だから国民投票なんか実施させちゃいけない」、と。



ですが、すでに国民投票法が成立して現実的になっている以上、いずれ国民投票になるのなら、勝負するしかないんじゃないですか?


それなら、受けて立とうよ。

正々堂々とそこで内容でガチンコ勝負しようよ!と言いたい。



「押しつけ憲法」だろうが何だろうが、本当に大事だと思うのなら、もう一回私たちが憲法を選び直せばいいわけで。

自民党案を選ぶのか、そうじゃないのかを争点にして、白黒つけましょうよ。

国民投票やって、自民党案をハッキリ否決しよう。


どうやって「負けない」ようにするのか、マジで知恵を絞りましょうよ。





byしゅくらむ


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by shuklm | 2015-05-05 20:56 | 憲法・国民投票・天皇制など | Comments(0)