オトナの社会科・中東からの声を手掛かりに。

syuklm.exblog.jp

カテゴリ:イスラエルサイド(現地レポ等)( 18 )

【シェア】報道されない中東―「民主主義を忘れたイスラエル人たち」。現地の声・その2。



中東現地ではいま、何が起こっているのか?



イスラエルだけを悪者にするつもりはありませんが、

現実を共有すること抜きには話が進まないと思うのでシェアさせていただきます。





イスラエルで生活された経験のある方のブログ「そんな★テルアビブ★イスラエル」より。



現在もイスラエルウォッチを続けられているブログ主様が日本語訳してくださったのは、

イスラエルの大手左派新聞「ハアレツ」に寄稿された、

イスラエル人自身からの鋭い告発の声。


寄稿文の筆者レヴィ・ギディオンさんは、パレスチナ人擁護の立場で著名なイスラエル左派の論客のようです。






***シェアココから****



(一部を抜粋させていただきました。

[ ]内はしゅくらむによる補足です)






そんなテルアビブイスラエル

2015年10月31日付



IsraelisWho Are Lost to Democracy

民主主義を忘れたイスラエル人たち





Israelis perpetrating horrors in the territories at a frequency and degree never seenbefore. Not that most Israelis seem to care.


イスラエルは恐ろしいほどの犯罪を頻繁に犯しその度合いは今まで見たことがない。

しかしほとんどのイスラエル人は気にしていないようだ。


ThePalestinians did not win (and presumably never will win), but Israel lost onceagain. The remnants of its humanity are being erased with frightening andunprecedented speed. Horrors are being perpetrated in the occupied territoriesat a frequency and degree never seen before.


パレスチナ人は勝てない(おそらく勝つことは決してないだろう)、しかしイスラエルはまた負けた。

その残された人間性は恐怖心と前例のない速さで消し去られている。

恐ろしいほどの犯罪は占領地域で頻繁に、それは今までみたことがない度合いで行われている。


Whatdidn’t happen this weekend (apart from the stabbings, which resulted in minorIsraeli injuries): An 8-month-old Palestinian baby died, allegedly frominhaling tear gas at Beit Fajjar, south of Bethlehem. “We’ll fire tear gas atyou until you die. Children, adults, old people, everyone, everything – wewon’t leave a single one of you,” barked a Border Police officer into thespeaker of his armored jeep in the Al-Aida refugee camp, in the name of allIsraelis.


この週末に何がおこったか(軽度の負傷をおったイスラエル人へのスタッビング[刃物による殺傷]とは別に):

南ベツレヘムのベイト・ファジャールで催涙ガスを吸い込み八ヶ月のパレスチナ人の赤ちゃんが死んだと疑われている。

「君達が死ぬまで我々は催涙ガスを発射する。

子供たち、大人たち、老人たち、皆、全て君達の一人も残さず」、

アル・アイーダの難民キャンプで装甲ジープのスピーカーから国境警察官が叫んだ、イスラエル人の名の下に。


Adifferent Border Police jeep deliberately ran over a Palestinian who wasthrowing stones near Beit El. What happened next is difficult to watch: Thebadly injured Palestinian lies on the ground, Border Police troops kick him andrudely repel the Palestinian rescue teams before they can treat him. AnotherBorder Police officer, in a different place, hits a gas mask-wearing journalistwho dared to take pictures. Somewhere else, pepper spray is spritzed directlyinto the face of a photographer, who falls down, his face contorted in pain.


他の国境警察のジープはベイト・エル付近で石投げをしていたパレスチナ人に意図的に突っ込んだ。

次に何が起こったのか見ることは辛いことである:

地面に横たわりひどく負傷したパレスチナ人を国境警察は彼を蹴り、パレスチナの救助チームを荒々しく拒絶した、そのパレスチナ人を介護する前に。

別の国境警察官は、別の場所で、写真撮影をするためにあえてガスマスクを装着していたジャーナリストを殴る。

またカメラマンは直接顔に唐辛子スプレーをかけられ、彼の顔は苦痛にゆがめられていた。


AhmedManasra, the 13-year-old boy who allegedly stabbed two Israelis, wounding themseriously, was brought to a remand hearing in handcuffs. He is being chargedwith attempted murder, but prosecutors will try to drag out the proceedings formore than two months, until he turns 14. Then he will face decades in prison ifconvicted – and that is all but guaranteed. The demure prosecutor has promisedto pursue “terrorists” of “any age.”


アメッド・マナスラ、13才の青年は2人のイスラエル人を殺傷しようとしたと疑われている、

イスラエル人は重症をおった、その彼は手錠をされ差し戻し公聴会へ。

彼は殺人未遂で起訴されている、しかし検察は彼が14才になる2ヶ月後まで手続きを引き伸ばそうとしている。

すると彼は有罪判決を受けた場合、数十年の禁固刑に直面するだろう

それが全てて、それが絶対だ。

(イスラエルにとって)慎み深い検察官は「あらゆる年齢のテロリスト」を追求すると約束した。


Israelgraciously deigned to return the bodies of seven Palestinians after a sickeningdelay that led to outbursts of rage in the territories. The bodies ofassailants who were shot to death are stripped by soldiers and police officersin public, the images of their naked bodies shared on social media. The lustfor demolishing the homes of terrorists – quickly and in large quantity –cannot be satisfied. A civilian, Mashiah Ben Ami, boasts that he fired no fewerthan 15 bullets at a Palestinian who tried to stab him and tore his shirt.


イスラエルは7名のパレスチナ人の遺体の返還をうんざりするくらい延期したことでそれが地域でのさらなる怒りにつながた後に(しらじらしく)慈悲深く受け入れてくださった。

加害者はイスラエル兵とイスラエル警察により射殺され服を脱がされ、ソーシャルメディアに裸の写真が投稿された。迅速かつ大量に

テロリストの家を解体するための情熱はそれでも満たすことができない。

一般市民のメシアフ・ベン・アミは彼を刺そうとしてシャツを引きち切ったパレスチナ人に15発より少ない弾丸を発射したことを自慢している。


Thedebate over a shoot-to-kill policy, using live bullets, toward any person whostabs or wields a knife, regardless of dangerousness, has not even begun inIsrael. It never will. Over 70 Palestinians have been killed in this mannersince the beginning of the uprising.


ナイフを振り回す人、殺傷行為をする、危険性に関係なくいかなる人物にも実弾を使う「撃って殺す shoot-to-kill」[威嚇でなく殺害のための発砲・裁判なしの即時処刑]ポリシーをめぐる論争はまだイスラエルでは始まっていない。

それは決してないだろう。

この蜂起[第3次インティファーダ]がはじまって以来70名以上のパレスチナ人がこのポリシーにより殺されている。


Thosewho maliciously run over a teenager and then viciously kick him; who threatenmass killing with gas and assault medical teams and journalists – knowing theywon’t be punished and will only be praised – are citizens who are lost todemocracy.

Theyare kalgasim, as we say in Hebrew (“vicious invaders”). And those who cover forthem, who look on with apathy and indifference – these are their partners. Fullpartners.



意図的に10代の青年に車で突っ込み、悪意をもって彼を蹴飛ばす;

催涙ガスで多くの人々を殺すと脅し医療チームやジャーナリストを脅かす

彼らは賞賛されることはあっても処罰されることはないことを知っている

民主主義を失っている市民がいる。


ヘブライ語でそんな彼らを kalgasim カルガ シーム(קלגסים vicious invaders 悪質な侵略者)と言う、


そうしてそんな彼らをかばう者、無関心と知らん顔してみている者は彼らのパートナーだ。

完璧なるパートナーである。





**シェアココまで****




全文はこちらから

http://plaza.rakuten.co.jp/momojp66/diary/201510310000/?scid=we_blg_pc_lastimg_3_title





これが、報道されないパレスチナの現実の、ほんの一部です。


中東の人たちがSNSやアルジャジーラ等のメディアで毎日のように接しているこうした事実を、私達はあまりにも知らない。

中東の人たちの感情の根底には、パレスチナやイラクやシリアで繰り返されてきた理不尽を放置してきた世界への怒りが横たわっている。


だからといって刃物で殺傷していいわけじゃないし自爆していいわけじゃない。

けれども、一体なぜそんな選択をすることになってしまったのか、それまでに何があったのか、そのことを無視しては話が進まないと思うのです。




では、なぜイスラエルはこんなムチャクチャなことが出来てしまうのか?

それをイスラエル人自身が語っている言葉を、次回以降ご紹介したいと思います。






【当ブログ内関連記事】


20151113UP記事 

【シェア】現地の声「私は石投げのパレスチナ人だった。なぜそれをやめたのかここに記す。」↓

http://syuklm.exblog.jp/25085597/


20151019UP記事 

パレスチナ・イスラエル、それぞれの思い〜第2次インティファーダ時に聞いた言葉。

http://syuklm.exblog.jp/25009249/




byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。

筆者が知数少ないアラビア語です。

ここでの出会いと、ここまで読んで下さったことに感謝をこめて。

シュクラム!



↓よろしかったらポチっと押していただけますと励みになります↓

にほんブログ村 旅行ブログ 中東旅行へ   

にほんブログ村   人気ブログランキングへ


by shuklm | 2015-12-29 14:23 | イスラエルサイド(現地レポ等) | Comments(0)

エルサレムにて・その3。イスラエル最大の平和団体との交流。「シオニストだからこそ、占領に反対する」。


イスラエルにもいろいろな人たちがいる。

現地に行って実際に話を聞いて、それを知りました。



20026月、第2次インティファーダの頃。

市民交流ツアーで現地を訪問した際、イスラエル最大の平和団体「ピース・ナウ」と交流の機会を得ました。



話を伺ったのは、エルサレム支局コーディネーターであるノアム・モフシュティトさん。




その時強く印象に残ったのは、

「私たちはシオニストだ。私にとってシオニズムとは、人々が安全で平和に暮らせる場所を目指すということだ」という言葉です。



アラブ世界や社会運動の業界で「シオニスト!」といえば、罵り言葉として使われる場合も多い呼称。


私も現地へ行くまで、シオニストとは「ユダヤ人国家建設を進める強硬な人たち」という漠然としたイメージだったのですが、実際に話を聞いて、様々な考え方の人たちがいることを知りました。






■ノアムさんの話「シオニストだからこそ、占領に反対する」。





「ピースナウは、1978年に活動を開始した。

1982年のイスラエル軍によるレバノン侵攻やパレスチナ難民キャンプでの虐殺に抗議した10万人のデモ以来、活発に活動している。


私たちを支持してくれているのは、イスラエルの左派から中道にいる人たちだ。



ピースナウは極左団体ではなく、シオニストの団体だ。


私のシオニズム観は、人々にとって平和で安全にいられる場所を求めるという意味だ。

他の人々にも同じ権利があり、それを破壊するのは前近代的だと思う。


平和と人権は切り離せない問題だが、我々が集中しているのは平和の問題だ。



現在の私たちの活動の中心は、入植地の監視活動。

占領地に入植するのは国際法でも禁じられているにもかかわらず、イスラエル軍は占領しているパレスチナの土地に、イスラエル人居住地を増やしていく入植を強行し続けている。



『イスラエルのために、入植をやめろ、占領地から撤退せよ』と主張している。



イスラエル政府は「完全な正義」を主張しているが、それはないと思う」。








私個人としては、彼のメッセージを、

「ホロコーストなどの迫害を経験したユダヤ人だからこそ、自分たちが平等に生きられる権利を求める。

そして同時に、他者の平等に生きる権利も守る」といった意味で受け取りました。




もちろんパレスチナの人たちから見れば、「人の土地にやってきて追い出して国造っておいて何言ってんだ?!」と噴飯物だと感じる人は多いとは思うのですが、それでも、そういう人たちがいなくては和平は進まない。




実際、直近の今年3月のイスラエル国会選挙では、和平推進派の政党のユニット「シオニスト連合」が最多議席を確保し、組閣交渉の結果次第では和平派中心の政権が成立する可能性もあったのです。






■報道されない、イスラエルの平和を願う声





ピース・ナウは、2015年現在もイスラエル最大の平和団体です。


本当に全くと言っていいほど日本では報道されませんでしたが、

去年の夏、ガザ攻撃に反対してピースナウなどの平和団体が呼びかけた集会には1万人ものイスラエル人が集い、政府への抗議の声をあげました。



イスラエルの現人口は約815万人。

日本の現人口は約1億2,700万人。

単純に割合を当てはめると、イスラエルでの1万人は日本だと実に15万人以上に相当します。

これは、結構すごい人数なのではないでしょうか?




イスラエルにも、多様な人たち・多様な意見が現在も存在しているということ、そこに希望を見出したい。





現在のピースナウの活動の様子がHP・Facebookから見れます↓

ぜひ「イイね!」して応援しましょう!

https://www.facebook.com/PeaceNowIsrael?fref=ts





byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。

筆者が知数少ないアラビア語です。

ここでの出会いと、ここまで読んで下さったことに感謝をこめて。

シュクラム!



↓よろしかったらポチっと押していただけますと励みになります↓

にほんブログ村 旅行ブログ 中東旅行へ   

にほんブログ村   人気ブログランキングへ


by shuklm | 2015-12-27 21:17 | イスラエルサイド(現地レポ等) | Comments(0)

【シェア】イスラエルで「アラブ人とユダヤ人が一緒に食べれば50%オフ」キャンペーン


昨日の記事に引き続いて、もうひとつ、

「食と文化」を通じた静かなアクションを見つけました。

勇気ある行動だと思います。

私は絶対支持!




**シェアココから***


イスラエルで「アラブ人とユダヤ人が一緒に食べれば50%オフ」キャンペーン

http://www.huffingtonpost.jp/2015/10/23/israel-hummus-cafe-discount-arabs-jews_n_8374978.html?ncid=fcbklnkjphpmg00000001

The HuffingtonPost | 執筆者: Hilary Hanson

投稿日: 2015年10月24日10時21分 JST 更新: 2015年10月24日 10時21分 JST




イスラエル中心部にあるレストランのオーナーが、紛争多発地域の人々を伝統料理「フムス」で結び付けようとしている。


アルジャジーラによると、コビ・タザフリールさんが、クファール・ヴィトゥキンという町にある自身のレストラン『フムス・バー』で、ユダヤ人とアラブ人のお客さんが同じテーブルについたら半額というキャンペーンを開始した。


このキャンペーンの内容は10月12日にレストランのFacebookページに掲載され、今週に入って国際的にメディアの注目を集めるようになった。

ヘブライ語で書かれた投稿は以下の通りだ。





アラブ人が怖いですか?

ユダヤ人が怖いですか?

私たちにとっては、アラブ人もユダヤ人もいません。あるのは、同じ「人間」です。そして、素晴らしいアラブ料理のフムスと、美味しいユダヤ料理のファラフェル。

あなたがアラブ人、ユダヤ人、キリスト教徒、インド人その他どんな人種でも、すべてのフムス料理のおかわりが無料です。

さらに特別ディスカウントで、ユダヤ人とアラブ人が一緒に座っているテーブルではフムス料理が半額になります!(木曜日から日曜日まで有効)



「このキャンペーンに対するお客さんからの反応は好意的です」。

タザフリールさんはアルジャジーラに語った。

今までに少なくとも3組がこの割引を利用したという。

しかし、タザフリールさんの計画を支援したいと、全額の支払いを望んだ「混合」グループの方が多かったという。


タザフリールさんは「イスラエルの人々を結びつけられるものがあるとしたら、それはフムスでしょう」と、タイムズ・オブ・イスラエルに対して述べた

彼はこの地域の人々が異人種に対してますます不寛容になってきているのを感じ、このアイデアを思いついたという。


9月だけで、少なくとも44人のパレスチナ人、8人のイスラエル人、そして1人のエリトリア人男性が、イエルサレムとヨルダン川西岸地区で起きた暴動で亡くなっている。




****シェアココまで****





【当ブログ内関連記事】

20151021日UP記事  【シェア】「伝統料理で抵抗、あるパレスチナ女性の試み」↓

http://syuklm.exblog.jp/25015423






byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。

筆者が知数少ないアラビア語です。

ここでの出会いと、ここまで読んで下さったことに感謝をこめて。

シュクラム!



↓よろしかったらポチっと押していただけますと励みになります↓

にほんブログ村 旅行ブログ 中東旅行へ   

にほんブログ村   人気ブログランキングへ


by shuklm | 2015-10-24 16:45 | イスラエルサイド(現地レポ等) | Comments(0)

イスラエル 薄氷の連立政権、組閣の舞台裏。





「史上最もタカ派」、でも「史上最弱」の政権?




中東全体に大きな影響を及ぼすイスラエルの政権運営。


3月の国会選挙の結果成立したネタニヤフ政権は、右派中心。


「イスラエル史上もっともタカ派の政権」

「パレスチナ国家を認めないと公言している

ネタニヤフ首相のもとでは、和平はますます遠のく」

「イランへの強硬姿勢は中東情勢を一層緊張させる」

といった報じられ方をされいます。





しかし一方では、「イスラエル史上最弱」とも言われています。


なぜか。


その理由は、かつてない政権基盤の弱さです。



与党は、国会議員120議席のうち、

実に61議席しか確保していません。


誰かひとりでもNOと言えば

たちまち転覆してしまうような状況だからです。





3月のイスラエル国会選挙について、

以前当ブログにて「選挙結果より組閣に注目」と書きました。


当初遅くとも4月中に完了するはずだった組閣は

遅れに遅れて5月中旬までずれ込み、

その舞台裏は「政治サーカス」と評されるような

綱渡りだったようです。



日本ではほとんど詳報されなかったのですが、

現地からの貴重な情報発信を発見しましたので、

遅ればせながら続報を書かせていただきます。





こちらをニュースソースにさせていただきました↓

「オリーブ山便り イスラエルを中心とした中東・世界のニュースをエルサレムから」↓

http://mtolive.blog.fc2.com/

「ぎりぎり滑り込みの新政府」2015..5.7

http://mtolive.blog.fc2.com/blog-entry-1134.html

「イスラエル内閣まだ立ち上がらず」2015.5.13

http://mtolive.blog.fc2.com/blog-entry-1136.html


リアルタイムの細かいニュースがフラットに書かれており、

この件以外でも参考にさせていただいています。






■■左派(和平派)内閣の可能性もあった!




3月の国会選挙では第1党になったものの、

ネタニヤフ党首率いる右派政党「リクード」は

単独過半数を確保できず、複数の政党と連立交渉に入りました。


が、交渉期限前日に、老舗の極右政党

「イスラエルわが家」が連立を蹴ったため、

宗教右派党との徹夜協議に突入。



議会内第1党が連立に失敗した場合は、

第2党(労働党)が組閣することになります。

つまりこの時点では、労働党中心の左派(和平派)内閣が

立ち上がる可能性もあったわけです。



5月6日の交渉期限の2時間前ギリギリに

宗教右派と連立合意に達して、

「ネタニヤフ首相」続投は確定するも、

今度は政権安定化のため左派に閣僚ポストを提示して蹴られて、

また難航。



他党に閣僚ポストを与えすぎて、

自党内に割り当てるポストが足りなくなってしまい、

閣僚ポスト数の制限をはずす法案を急遽可決させて、

5月16日にようやく新政権発足にこぎつけたそうです。





こうした内情のためイスラエルの専門家は、

「ネタニヤフ政権はそれほど極端な右寄りの政策は

取りにくいのではないか」と見立てているそうです。





そういう状況の中、

「イスラエルの安全保障上の最大の懸案」である

イラン核問題について、

欧米とイランとの話し合いが今日、

最終期限を迎えます。






■■弱い政権だからこそ強硬になる?





ココから先は私見です。




私が個人的に気になるのは、

むしろ閣外に極右がいることで、

「弱腰の政権」という批判を浴び、

「そんなことはない。自分は断固として

国民の安全保障に責任を持つ」と、

さらに強硬姿勢を示さざるを得なくなって

しまうのではないか、ということです。



「脆弱な政権であるほど、国内的には

強硬的にふるまって見せて支持を

維持しなくてはならなくなる」というのは、

世界共通の現象です。


全然他人事じゃない。




しかもこの政権は、民意を反映しているとは言い難い。



先の選挙では、120議席のうち、左派(和平派)は42議席。


「パレスチナと二国家共存」を掲げている中道政党も

和平派にカウントすると、合計53議席。


イスラエルの国会議員選挙は比例代表制ですが、

厳格な拘束名簿方式で、得票率に応じて

票が振り分けられるので、死に票はありません。


ストレートな民意は、半数近くが

パレスチナとの和平を是としていると言える。


その民意よりも、相当右寄りの政権に

なっているということになります。




政権と民意は、必ずしも一致しているとは限らない。


政権が民意に反した方向に向かう時、

なおかつそれが明らかに誤っている場合、

どういうことが有効なのか――


問いかけられていることは、

日本の私たちにとっても無縁ではないと思うのです。





【当ブログ内関連記事】

2015316UP【時事】明日、イスラエル総選挙。選挙結果より、組閣に注目。

http://syuklm.exblog.jp/24250875/

2015320UP 【時事】私見・イスラエル選挙結果。ガザ攻撃で吹き荒れた逆風を乗り越えて、示された民意。↓

http://syuklm.exblog.jp/24265760/

2015627UP 【時事】迫る最終期限・イラン核協議。次の「導火線」となってしまうのか? ↓

http://syuklm.exblog.jp/24632262/




byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。
筆者が知る数少ないアラビア語です。
ココでの出会いと、ここまで読んで下さったことに、感謝をこめて。
シュックラム!



↓よろしかったらポチポチっと押していただけますと励みになります↓

にほんブログ村 旅行ブログ 中東旅行へ   

にほんブログ村   人気ブログランキングへ

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村

by shuklm | 2015-06-30 20:56 | イスラエルサイド(現地レポ等) | Comments(0)

【時事】私見・イスラエル選挙結果。ガザ攻撃で吹き荒れた逆風を乗り越えて、示された民意。





これが一番ビジュアルでわかりやすかった! 

選挙前・選挙後の議会内勢力図

(産経新聞ネット版 318日・19日記事より拝借)



▼前回の選挙結果 




▼今回の選挙結果 

b0343370_18454737.jpg


中東の将来を大きく左右するイスラエル国会選挙の

大勢が確定しました。





「与党リクード(強硬派)が接戦を制し、30議席。

1党を確保し、政権維持の見込み。


選挙直前に優勢とされた中道左派連合は、

予想に反して伸びず、24議席で第2党にとどまる。


和平に否定的なネタニヤフの続投で、

中東和平はさらに難しくなるだろう」

といった報じられ方をしています。





確かに厳しい状況なのですが、

あえてニッチな私見を書かせていただきますと。





あまり取り上げられていないのですが、

選挙前と比べると、実は、

「和平派」全体としては盛り返しているんです。


だって、前回の選挙では、大躍進した極右勢力が

25議席を占めてたんですよ? 






グラフで見る「和平派」の倍増



▼前回、2013年の選挙結果 


赤の部分 極右宗教政党「ユダヤの家」12議席+極右政党「わが家イスラエル」13議席


これら極右の議席は、今回半減しました。


その票はリクードに持っていかれたので、

結局、議会内での右派(下のグラフ 赤の部分)

優勢は変わっていないのですが。



でも、下のグラフの青の部分を見て下さい。



▼今回の選挙結果



青の部分は、中道左派と左派、つまり和平派です。


今回、事前に優勢とされた中道左派シオニスト連合

(「労働党」「ハトヌア」)が獲得したのは、24議席。

前回の極右なみの数です。



さらにここに、「アラブ系・その他」の18を合わせると、

合計42議席。

青(和平派)全体としては、改選前21議席に比べると、

倍増してるんです。




ちなみに、グレーの部分「中道」に入ってる

「イェシュアティド」も、

「イスラエルとパレスチナの二国家共存による平和の実現」

を掲げています。





あえてざっくり言わせてもらうと、

パレスチナとの共存を是とする勢力としては、53議席。


議会のほぼ半分近くまで達してるんです。





グラフの貼付元:産経新聞ネット版 318日・19日記事↓

http://www.sankei.com/world/news/150318/wor1503180014-n1.html

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/sankei-wor1503190003.html


ちなみに産経データのニュースソースは、

イスラエルの大手左派新聞「ハアレツ」のようですね。





アラブ系政党の躍進。パレスチナ系とユダヤ系が手を取り合う




左派の議席を底上げしたのは、

「アラブ系・その他」の勢力。


アラブ系政党が2ケタ議席を獲得し、

第3党確保というのは、実は

イスラエル始まって以来の「歴史的快挙」とのこと。




『イスラエル総選挙でアラブ系統一会派が歴史的躍進』 


”イスラエルのアラブ系政党や極左政党などが加わった前例のない統一会派が、総選挙後の第3の政治勢力に躍進する勢いだ。”


”17日に投開票が実施されたイスラエル総選挙では、

アラブ系、ユダヤ系双方の左派運動家、

パレスチナ民族主義者などが初めて手を組んだ

アラブ系主体の「ジョイントリスト」が、

出口調査の結果、13議席を獲得する見通し”


"テルアビブ大学の学生でジョイントリスト支持者の

タレク・アワドはアルジャジーラに答えている。


「アラブ系とユダヤ系の平等を求め、

女性の権利を促進させる。

平和と民主主義の政党だ」"


exciteニュース Newsweekネット版 318日付

http://www.excite.co.jp/News/world_g/20150318/NewsWeekJapan_E145791.html





この”前例のない統一会派”が結成されたのは、

選挙法が小政党に不利に改正されたため、

議席を確保するために合体したという背景もあったようです。



しかしいずれにせよ、

パレスチナ系とユダヤ系が初めて手を取り合い、

「アラブ系とユダヤ系の平等」を掲げて支持を得たのは、

この時期、とても重要なことだったと思います。


特に、昨年夏から和平派とアラブ系住民には、

逆風が吹き荒れていたからです。






逆風と分断の中で




昨年2014年夏、イスラエル軍によるガザ攻撃の時、

「パレスチナへの殺人を止めるべきだ」と

声を挙げた人たちに対して、

「お前ら、そんなこと言うならイスラエルから出ていけ!」と

罵声が浴びせられ、イスラエル人同士の対立が先鋭化していました。


その現場の生々しい様子が、こちらの動画で見れます↓



「イスラエルVSイスラエル」 

https://www.facebook.com/video.php?v=511805352294310&pnref=story




また、アラブ系住民とユダヤ人が共に学ぶ学校は

極右の襲撃の標的となり、

子供たちも日々危険に晒される

非常に厳しい状況が続いていました。



しかしそれでも、

(迫害を経験した)ユダヤ人として、

アラブ人を排斥することはやってはならない」と

抗議する声も、確かに消えずにあったのです。





今回、逆風を乗り越えて、

イスラエルの人たちが、「少なくとも

これ以上のパレスチナとイスラエルの衝突を望まない」

という意思を選挙で示したことに対して、

私は敬意を表したいです。




イスラエルにも、多様な意見が存在していて、

いまも共存の努力を諦めていない人たちが

いることは、忘れないでいたい。





もちろん今後、

強硬派によるさらなる逆風も予想され、

まったく楽観はできません。




ですが、そういう時だからこそ、

この人たちが和平への意志を保ち続けらえるように

「国際社会」が見守り支えていくことが、

本当に必要だと思うのです。




byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。
筆者が知る数少ないアラビア語です。
ココでの出会いと、ここまで読んで下さったことに、感謝をこめて。
シュックラム!



↓よろしかったらポチポチっと押していただけますと励みになります↓

にほんブログ村 旅行ブログ 中東旅行へ   

にほんブログ村   人気ブログランキングへ

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村

by shuklm | 2015-03-20 19:02 | イスラエルサイド(現地レポ等) | Comments(0)

【時事】明日、イスラエル総選挙。選挙結果より、組閣に注目。




いよいよ317日、

クネセト(イスラエル国会)選挙の

投開票が行われます。



事前の世論調査では、

「中道左派(和平派)が優勢」との報道。




「イスラエル議会選挙 政権交代か注目」(3月16日 NHKニュースより)

b0343370_21430438.jpg


しかし、仮に中道政党(和平派)が勝利したとしても、

単独過半数を獲得できない時は、

どこかと連立を組まなくては組閣できません。



その場合、現在の与党リクード(強硬派)と組むのか? 


リクードと組まない場合の選択肢は、

左派政党、アラブ人政党、宗教政党、極右など

ですが、どうするのか?




選挙直前、現首相ネタニヤフは、

アメリカ共和党がお膳立てした

米議会上下院での演説を実行しました。


が、アメリカの現中東政策(イランとの話し合い路線)を

真っ向から批判した内容に、

オバマ大統領も不快感を表明し、

関係が一気に冷却したという報道もあります。



従来ユダヤ人を支持する基盤だった民主党の

イスラエル離れが最近加速しているとも言われています。



なにげに水面下の乱闘と地殻変動が起こっている

ようですが、果たしてそれが選挙にどう結果するのか。






ちなみに、イスラエルの国会選挙は、

議員ではなく政党を選びます。


厳格な比例代表名簿方式で、

選挙後に議員が政党を乗り替えたりとかは

一切できません。



ネタニヤフの属する強硬派リクードも、

前回選挙では単独過半数を獲得できず、

もっと右寄りの政党と連立したため、

常に和平反対の路線に引っ張られることになりました。




ですので、選挙結果そのものより、その後の組閣が、

イスラエル政府の方向性を大きく決定づけることになります。



それは、今後のイスラエル・パレスチナ和平のみならず、

中東全体の政治情勢をも左右することになるでしょう。


選挙後45日以内に決定される組閣に、注目です。






なお、事前の世論調査詳細や、

注目のトピックを末尾にコピペしておきます。



ニュースソースは今回も、「JSR」が発行されている

メルマガ「パレスチナ最新情報」。


JSRは、私がパレスチナ・イスラエル現地を訪問した

ツアーでお世話になった、老舗の団体さんです。


こちらのメルマガは、元外務官僚・天木直人さんの

サイトでも信頼できる情報源として紹介されています!


ご興味のある方は、末尾に連絡先も貼りますので、

ぜひお問い合わせください。


メルマガ購読ご希望の方は、

『しゅくらむのブログを見た。メルマガ見本送信希望』と

明記して、JSRへメールにてお申し込みください。


(イスラエル総選挙のため、編集部の方は相当ご多忙の時期かと

思いますので、ご配慮をお願いいたします)





また、私がもう一つ情報源にさせていただいているのが、

現地で生活された日本人の方によるブログ

「そんなテルアビブイスラエル」。

http://plaza.rakuten.co.jp/momojp66/



リアルタイム情報だけでなく、考え方など、

ものすごく参考にさせていただいてます。


例えば、以下の記事。

日本人人質事件で大きく報道されるよりも前から、

安倍首相・ネタニヤフ首相の急接近と問題点を指摘されています↓

2015年01月20日ビビノミクスとアベノミクス

http://plaza.rakuten.co.jp/momojp66/diary/201501200000/





マスメディアでない情報に、

現状を読み解くいろんなヒントが隠されています。


このブログでも引き続きご紹介させていただきますね。






***ニュースソース原文引用ここから

(関連個所のみ抜粋させていただきました)***



150301

━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛JSRメルマガ



リクードと「シオニスト・キャンプ」が拮抗――世論調査

317日のクネセト(イスラエル国会)選挙では、与党リクード(党首=ネタニ

ヤーフ首相)と、労働党など中道左派諸党の連合「シオニスト・キャンプ」の支

持者が拮抗しているとの世論調査結果が、議会専門放送局「クネセト・チャンネ

ル」から発表された。同調査によると、「ジョイント・リスト」が第3位となる。

アラブ系といわれる政党にとっては初めて。

世論調査は700人の有権者を対象、誤差率は3.6%


調査によると、今投票が行われれば、トップは野党の「シオニスト・キャンプ」

24議席(定員120)で、右派「リクード」が23議席でこれを追う。3位は、

「ジョイント・リスト」の13議席、続いて、ヤイル・ラピド党首の「イェシュ・

アティド」(中道)12議席、右派「ベイト・イェフーディ」11議席が並び、新党

(昨年11月結成)の「クーラヌ」は8議席。

イスラエル政界のキャスティング・ボートを握ってきた宗教政党「シャス」と

「ユナイテッド・トーラ・ユダイズム」は、それぞれ7議席。また、シオニスト

左派の「メレツ」、極右のロシア系「イスラエル・ベイテヌ」(党首=リーベル

マン外相)がそれぞれ5議席となっている。

無回答は21%だった。(2/24 JerusalemPost





150307

━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛JSRメルマガ



今回のハイライトは、ネタニヤーフ首相とアメリカ共和党の合作による、米国上

下院合同会議での同首相の演説でしょう。イスラエルの首相が、時の政権の政策

を「全く間違ったもの」と真っ向から論難、また、議会側では、民主党議員60

がボイコットするという異例ずくめの政治イベントでした。これが、17日の選挙

で、首相が党首を務めるリクードにとってプラスになるのか、マイナスになるの

か。


ここには紹介しませんでしたが、最近の「朝日」の記事で、「ユダヤ系アメリカ

人のイスラエル離れ、共和・民主党支持者間のイスラエル支持率乖離」を伝えて

いました。1950年代から80年代ごろまで、イスラエルの政策を擁護するアメリカ

の有権者は、民主党支持者が圧倒的だったと記憶しています。

しかし、80年代末ごろ、イスラエル擁護の民主党支持者と共和党支持者の数はほ

ぼ拮抗、その後は、共和党支持者の間でイスラルの政策擁護が増える一方、民主

党支持者のあいだでは、イスラエル擁護がジリ貧、両者の関係が逆転しています。

また、ユダヤ系アメリカ人の中でも、無条件にイスラエルを擁護する人は減り、

かつてはごく少数派だった、対イスラエルBDS運動に積極的な「ジューイッシ

ュ・ヴォイス・フォー・ピース」のようなグループの活動も広がっています。


パレスチナ側では、PLOの中央委員会で、アッバース議長(自治政府大統領)が、

イスラエルによる代理徴収税の引渡し停止を強く非難、ICCでは、近年一連のガ

ザ攻撃などイスラエル当局者の戦争犯罪を提訴する立場を再確認しました。中央

委員会は、自治政府がイスラエルとの治安協力を全面的に停止することも決議し

ました。オスロ合意以降続けられてきた治安協力が実際に止められると、その影

響は無視できないでしょう。


イスラエルは、西岸地区で13000人の兵士を動員して、抜き打ちの軍事演習を

行いました。「不測の事態」に備えてでしょう。


ちょっと驚く話は、Ynetnews配信の、ネタニヤーフ政権による「秘密の和平提

案」です。67年の「グリーンライン」への全面撤退、平等な領土交換、大入植地

の一部撤去、エルサレムへのパレスチナ側の権利承認とも取れる内容、パレスチ

ナ難民が「個人として」帰還する権利の承認など、同政権の公式立場からは想像

もできない内容です。「幻の和平提案」にまつわる事情は何なのか。首相府は、

イスラエル政権の関わりを全面否定して「アメリカ案」だとしています。17日の

選挙のことを考えれば、仮にこんなことがあったとしても否定するのは当然でし

ょう。



********引用ココまで***



JSR連絡先はコチラ↓↓

*********************************************************

アル・ジスル-日本とパレスチナを結ぶ(略称JSR)

編集人:奈良本英佑

E-mail : jsr@ksn.biglobe.ne.jp

Home Page : http://www7b.biglobe.ne.jp/~jsr/

TEL: 090-2167-4802

住所:〒272-0816 千葉県市川市本北方2-6-5

*********************************************************




過去の関連記事(イスラエルの政治・選挙・国家体制など)

20141130UP 【時事】イスラエルが「民主国家」を捨てようとしている?↓

http://syuklm.exblog.jp/23812969/

20141214UP 【時事】イスラエル国会解散、前倒しで総選挙↓

http://syuklm.exblog.jp/23874389/

20141216UP 【時事】選挙で、「どっちが頼りになるか」競争は、危険。/振り子のように揺れ動くイスラエル議会↓

http://syuklm.exblog.jp/23887363/


※初めて読んで下さる方への配慮が不足していたと思いましたので、「現在の与党」「強硬派」などの語句を補わさせていただきました(2015.3.17)


byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。
筆者が知る数少ないアラビア語です。
ココでの出会いと、ここまで読んで下さったことに、感謝をこめて。
シュックラム!



↓よろしかったらポチポチっと押していただけますと励みになります↓

にほんブログ村 旅行ブログ 中東旅行へ   

にほんブログ村   人気ブログランキングへ

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村

by shuklm | 2015-03-16 21:51 | イスラエルサイド(現地レポ等) | Comments(0)

イスラエルにて。滞在最後の夜、ついに実現した兵役拒否者との対話。






日本へ帰る前夜、最後の最後に、

念願だったイスラエルの兵役拒否者と

会えることになり、

ツアーから離れて一人、

待ち合わせ場所である

エルサレム新市街へ向かいました。









2002612日の夜。





同じエルサレムでも新市街は、

歴史的建造物や石畳が残る

旧市街とは別世界





一歩足を踏み入れるとそこには、

お洒落な店が軒を連ね、

飲食店街には、コシェル(ユダヤ教の戒律に沿った料理)

の店だけでなく、

中近東料理、イタリア、モロッコ、

中華、和風、韓国料理まで、

各国料理のレストラン

カフェやバーやファーストフード店が

所狭しと立ち並んでいました。





その一角にあるスペイン料理の

庶民的なお店で、

眼鏡をかけた、背の高い

ラテン系の顔立ちの男性が

待っていてくれました。






彼の名前もスペイン系で、

「イスラエル人」というのは

世界中からやってきた人たちなんだなあと、

改めて感じました。






私が個人的に話を聞くことが

できたその兵役拒否者は、

イスラエル人とパレスチナ人が

一緒に運営するNGOに勤務している、

エルサレム在住の30代の男性。




英語もロクに話せず、

辞書を引き引き質問する私に、

平易な言葉で答えてくれました。






「『テロ』と報復のエスカレーション

を断ち切るためには、

どうしたらよいと思いますか?」

という私の問いに対して、

彼は明快に答えました。





「イスラエルが占領をやめることだ」。





「たった400人(当時)の入植者を守るために、

何万人ものイスラエル軍が配備される。


占領があるから、

パレスチナ人の憎しみが募る。


その悪循環を断つことだ」――と。






パレスチナ・イスラエル間の1993年の

「オスロ和平合意」については、

意外にも彼は否定的でした。



それは、「合意事項の中で、占領について

何一つ解決していないからだ」。





21歳で兵役拒否を決意した理由について、

「永久に戦争を続けることはできない

と考えたからだ」と述べていましたが、

その判断は、

「地球の資源を無限に使い続けることは

できない」という事実と同じくらい、

おそろしく現実的だと感じました。





とはいえ、

イスラエル社会の中で

まっとうな判断を下して実行するのは、

想像を絶する困難を伴うであろうとも思われました。





2001年9月、イスラエルの高校生ら

10代の若者62人が連名で

シャロン首相(当時)あてに

兵役拒否の手紙を送ったことが

大きく報道され、

彼らに続いて兵役を拒否する者が

増える一方で、

イスラエル社会での風当たりは

厳しさを増し、最近は

大手の新聞もテレビ番組も

彼らについては全く報道しなくなり、

黙殺されているとのこと。


また、海外メディアだけに

大きく取り上げられたため、

多くの拒否者はひどく

ナーバスになっていて、

外国人は皆インタビュアーだと

思って会いたがらない

という話も聞きました。






そういう孤立した状況の中で、

それでも決意を貫けたのは、

何故だったのか。

それは、両親のサポートが大きかった

と彼は語っていました。





「支えてくれる人たちがいたから、

自分の(兵役拒否という)意思を失わずに

続けることが出来たんだ」。






実際に兵役拒否者と会って

話をしてみて実感したのは、

「強固な信念を持った特別な人たち」ではないということ。



少数派の彼らが踏ん張れるかどうかは、

誰かの支えがあるかどうかに

大きくかかっている、

ということでした。





逆風の中だからこそ、

彼らの良心の声を

かき消させてはならないと

改めて強く思いました。





たどたどしい英語で、

「会えてよかった。本当に有難う。

あなたたちのことを支持している人が

日本にもいることを、

覚えていてほしい」と伝え、

握手を交わして別れました。







byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。
筆者が知る数少ないアラビア語です。
ココでの出会いと、ここまで読んで下さったことに、感謝をこめて。
シュックラム!



↓よろしかったらポチポチっと押していただけますと励みになります↓

にほんブログ村 旅行ブログ 中東旅行へ   

にほんブログ村   人気ブログランキングへ

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村


by shuklm | 2014-12-31 10:02 | イスラエルサイド(現地レポ等) | Comments(0)

パレスチナ人にとって絶対に忘れられない数字、「48」。




このままでは、帰れない。




ツアーに再合流することになった私を、

ツアーコーディネーターのパレスチナ人が、

テルアビブの宿までタクシーで迎えに来てくれることになりました。





「携帯で電話するから、僕がそっちに着いたら、

絶対、すぐ外に出られるように準備しておいてね」と、

何度も念押しされたのですが、

はじめは意味が分かりませんでした。




理由は、彼が現れた時に判りました。


入口のドアを彼が開けた瞬間、

さっとその場の空気が変わったのです。




陽気な宿のフロントマンの顔が強張り、

ロビーで談笑していた宿泊客の表情が固まりました。


誰も声を発しませんでしたが、その眼は一様に、

「パレスチナ人が来た!」「ここへ何しに来たんだ?!」

、問うていました。



チェックアウトでモタついていた私は、慌てて

彼のことは私、知ってる! 彼、私の友だちだから!」

大声で説明しながら、荷物をロッカーから引っ張り出して

宿を走り出ました。




ドアの外で、歪んだ表情のまま、

彼は待っていました。






ここは、イスラエルの「首都」テルアビブ。


ユダヤ人が人工的に造った巨大都市。


そして、私が宿泊していた宿の名前は、「ハ・ヤルコン48」

宿を選んだ時には待った意識していなかったのですが、

「48」というのは、イスラエル「建国」の1948年。


イスラエルにとっては記念すべき、縁起のいい数字。




一方で、パレスチナにとっては、「破局」の年

何万人もの人が故郷を追われて、難民となった年。


よりによって、パレスチナ人にとって、

忘れたくても絶対に忘れようのないことを

想起させる記号だったのです



パレスチナ人とイスラエル人の間に横たわる溝。

その深さと昏さを垣間見た出来事でした。




byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。
筆者が知る数少ないアラビア語です。
ココでの出会いと、ここまで読んで下さったことに、感謝をこめて。
シュックラム!



↓よろしかったらポチポチっと押していただけますと励みになります↓

にほんブログ村 旅行ブログ 中東旅行へ   

にほんブログ村   人気ブログランキングへ

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村


by shuklm | 2014-11-22 11:06 | イスラエルサイド(現地レポ等) | Comments(0)

テルアビブにて・4。「テロの脅威」に、勝手にビビる。






行く先々で、大人数がいる場所では

厳しいセキュリティーチェックを課され、

ショッピングモールで兵士の大群に遭遇し、

パン屋ではおばあさんに怯えられた後。





テルアビブの中心街を、

たった一人で歩いていた時のこと。




イスラエル人が日々抱えている恐怖心が、

知らぬ間に伝染したのか。




雑踏の中で、ふいに何の前触れもなく、

漠然とした戦慄に襲われました。




「たった今、ここで、『自爆テロ』に

巻き込まれたらどうしよう」、と。








当時(2002年6月)、

大勢の人が集まるところは

テロの危険があるから行かない方がいい」と

言われていました。




自分の目の前で何一つ具体的なことが

起こったわけでもないのに、

突然、リアルに想像してしまったのです。



ここで起こったら、逃げるすべがない、と。






ひとりで滞在を延長したので、

日本にいる身内にも、

行く先を詳しく伝えていませんでした。




いま自分がこの場にいることは、

誰も知らない。


ここで死んでも、

誰にも知られないかもしれない。




「世界中の誰にも知られずに死ぬのはイヤだ!」
という思いに背筋を突き上げられました。






つい昨日までパレスチナ自治区に滞在していて、


イスラエル軍の占領下の

理不尽な現実をさんざん目にして、

それを止めたいと願って、

イスラエルサイドでは

占領に反対する集会にも参加してきたのに。



ジェニン難民キャンプで、

イスラエル軍の砲撃の音に囲まれても、

恐怖は感じなかったのに。






ツアーの団体行動から離れて、

身一つで、生身の自分を守るのは

己しかない状況になった瞬間、

そう思ってしまった自分自身に

心底ゾッとしました。






「ああ、人間って、状況が変わると、

あっという間に左右されるんだ。



『テロの脅威』にとらわれたイスラエル人

になるのは、こんなに簡単なんだ」。






身をもって思い知らされた瞬間でした。








byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。
筆者が知る数少ないアラビア語です。
ココでの出会いと、ここまで読んで下さったことに、感謝をこめて。
シュックラム!



↓よろしかったらポチポチっと押していただけますと励みになります↓

にほんブログ村 旅行ブログ 中東旅行へ   

にほんブログ村   人気ブログランキングへ

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村


by shuklm | 2014-11-19 07:30 | イスラエルサイド(現地レポ等) | Comments(0)

テルアビブにて・3。パン屋で、おばあさんに怯えられる。





20026月の晴れた午後、

イスラエルの首都テルアビブにて。




おなかが減ってきたので、

とりあえず大通りから

一本それた通りにあった

パン屋さんに入りました。




テルアビブの中心街。

(宿泊していたユースホステル「ハ・ヤルコン48」の

パンフレットの案内図より)

MAP by Hayarcon48

b0343370_07470438.jpg




この地図上だと、⑫から③へ向かう途中、たぶん、

カプラン通りかディゼンコフ通りからちょっと入ったあたり。





白い外装の、こじんまりとしたお店。


品揃えは、日本の普通のパン屋さんと

変わらない感じでした。




トングとトレイを持ちながら、

「せっかくイスラエルまで来たんだから、

ベーグルでも食べたいなあ」と物色中、


ふと気づくと、レジの奥で、

店番のおばあさんが硬直している…。





私が、自治区で買ったショールを

日除けに首に巻いていたせいか、

パレスチナ人だと思ったのでしょうか。




よくよく見渡してみると、

周囲にアラブ風の習俗の通行人は皆無。


多分、この人は、普段の生活圏で

目にすることのなかった人間に遭遇したのでしょう。




トレイに商品をのせ、お勘定をしても、

お釣りを渡す手を動かすだけで、

その眼は、ずっとこちらを凝視したまま。



恐怖に凍り付く、というのは

こういう状態を言うのでしょうか。





「怖がらないで、大丈夫。

 私、日本人。パレスチナ人じゃありませんよ」。


そう言おうとしている自分に気づいて、ハッとしました。




「パレスチナ人はテロリスト」

というステレオタイプを、

自分が補強しようとしている…。




何も言えず、逃げるように店を出ました。





byしゅくらむ


by shuklm | 2014-11-17 07:50 | イスラエルサイド(現地レポ等) | Comments(0)