2017年 09月 22日
北朝鮮危機に考える国防Part3・Jアラートの効果は?イージス・アショアで万全か?元「自衛隊最前線部隊」井筒高雄さんの指摘!
もしも仮に「有事」となった場合、
最前線に立つのはどこの部隊か知ってますか?
陸上自衛隊の「中央即応集団」です。
この中央即応集団が編成される前、
戦争時に最前線に派兵されるのは
陸自のレンジャー隊でした。
その隊員だった井筒高雄さんが語る、
この説得力!
「朝鮮半島 最新情勢レクチャー」
(9月14日VFPジャパンでの
井筒さんの講演)等から、
抜粋・再構成してお届けします。
写真も会場で筆者撮影、
井筒さんの快諾を得て掲載しています。
1■まず押さえておきたい事実■
◆ミサイルが通過したのはそもそも「日本上空」なのか?◆
8月のミサイル軌道の「上空550km」は、
宇宙ステーションよりもはるか上。
日本の領空圏内でなく、
人類共通の領域です▼
◆ミサイルは日本を通過する?◆
ミサイルは日本を狙ったものではない。
アメリカ本土への攻撃は、
日本を通過しません。
この地図を見ると一目瞭然▼
そして北朝鮮のミサイル・
核開発は突然始まった訳ではありません▼
「フセインもカダフィも、
核を持っていなかったからやられた」
と考えた北朝鮮が
自国の安全保障のために、
少しずつ拡大してきたものです。
◆ミサイルは迎撃できる?◆
現在の日本の主な迎撃ミサイルシステム▼
現在日本に配備されている
ミサイル迎撃システム
「PAC3」は、16基。
1基で守備できるのは、
半径20キロ圏内だけ▼
単発攻撃で、しかも
この●印の圏内にうまく
落ちてきてくれれば迎撃できます▼
ですが、20キロ圏内でも
当てなければ落ちてくる。
そして東北は空白区。
これが現実です。
2■Jアラートで効果はあったのか?■
4億円の税金を投入した
「ミサイル避難CM」は、
全国民放43局で放映。
放映や避難訓練の効果について
検証すべきでしょう。
地震大国で海に囲まれた日本は、
もともと防衛しにくい国。
しかも原発54基を抱え、
その安全は企業任せ。
さらに企業は原発を再稼働
させようとしている。
事前の発射情報もつかめず、
PAC3の配備もできず、
Jアラートを鳴らしても、
全く無意味です。
それよりも先にやることがあるでしょう。
3■最新迎撃システムで万全か?■
では、配備が検討されている最新の
迎撃システム「イージス・アショア」
を導入すれば万全になるのでしょうか?
1基800億円かかるだけでなく、
24時間・365日稼働する、
新たな専用部隊を編成する必要があります。
1基当たり100人規模の部隊が必要で、
導入を決めても、実戦配備までに
最長で4年を要するといわれています。
即効性はまるでありません。
いま「危機」と煽っておいて、
いつ対応できるのか。
しかも実戦で18発中10発しか
成功していない!!!▼
4◾️見落とされている視点◾️
◆イージス・アショアは中露との防衛問題を呼ぶ◆
さらに、イージス・アショアの射程には、
ロシアや中国が入ってくる▼
防衛上の新しい問題が発生する
ということです。
守備の裏返しは攻撃もできるということ。
実際、ロシアも中国も
配備に反対しています。
◆日本政府が事態を悪化させている◆
4月、米空母カールビンソンを
自衛隊のイージス艦が護衛する
デモンストレーションを行いました▼
これは北朝鮮に自国防衛のために
攻撃する口実を与えてしまった。
さらに、8月の小野寺防衛相の
「存立危機事態」発言は、
北朝鮮に宣戦布告したともとられかねない。
実際には、集団的自衛権は
米国の個別的自衛権の発動がなければ
適用できません。
そしてアメリカはご存知の通り、
アフガンとイラク戦争で四苦八苦していて、
アジアで戦争をやる余力はありません。
こういうリスクを、
日本政府は説明していますか?
国内世論に惑わされずに、
日本を外から見る必要があると思います。
ホットラインをどう繋げるか、
きめ細やかな外交やインテリジェンスが
求められていると思います。
※まだまだ盛りだくさんの内容
だったのですが、それはまた別途!!※
5■個人的感想■
時宜を得た企画、
本当に有り難かったです!!
友人とも話してたんですが、
Jアラートや避難訓練で
「避難先は自分で確保」って
言うのがありえねえよね、って。
「ソレって随分ミサイル舐めてない??」って。
しかもイージス・アショア、
配備4年後じゃ全然間に合わないし!!
でもって、配備すると中国ロシアと
防衛でぶつかる、って盲点でした。
イージス・あ・ショア(断崖)じゃん!!
もし政府が本気で「国民の
命と暮らしを守る」気なら、
原発をすぐさま止めて、
さらにスイスみたいに一家に一台
核シェルター作ったほうが確実では?
それよりなにより、
加熱するチキンレースから降りて、
ミサイルをいかに撃たせないように
するかが一番の有効策ではないでしょうか。
※井筒さんからご教授いただいて、文章訂正させていただきました。
「自衛隊最強部隊」
↓
「自衛隊最前線部隊」
「レンジャー隊」
↓
「中央即応集団」
「旧・普通科連隊」
↓
「戦争時、最前線に派兵される陸自のレンジャー隊員」
(2017.9.22)
ちなみに「自衛隊最強部隊」とは、
通常は第一空挺団を指すそうです。
自分たちの国の組織なのに、自衛隊のこと
ホントになにも知らずに済ませてきたんだあ…と
改めて愕然とします。
【当ブログ内関連カテゴリー】
安保法・安全保障・日米関係/戦争と平和▼
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byしゅくらむ
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筆者が知る数少ないアラビア語です。
ココでの出会いと、ここまで読んで下さったことに、感謝をこめて。
シュックラム!
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by shuklm
| 2017-09-22 08:10
| 安保法・安全保障・日米関係/戦争と平和