改憲の「割りきれなさ」、護憲の「落とし穴」。これからの「論憲」のために
1■「護憲でも改憲でもなく、論憲を」■
今朝のサンデーモーニングにて。
バズフィード編集長の古田大輔さんの
非常にわかりやすい指摘がありましてので
ご紹介させていただきます
****以下再録*****
改憲対護憲、タカ派対ハト派といった
2項対立図式で世界は割り切れない。
護憲でも改憲でもなく、論憲が必要」
でもこういう言い方すると、大体、
両側の陣営から批判されるんですよね(笑)」
「それがわかっているからこそ、
そういう人達って黙っちゃうんですよね。
そうすると改憲派と護憲派の
極端な意見ばかりが目立つようになってしまう。
でも実際には、
安倍政権の支持率は高いのに、
憲法改正には反対する人が増えている。
そこの意見の多様性にこそ
目を向けてほしいと思います」
*****再録ココまで*****
先月29.30日のJNN世論調査さんかく
Q.憲法改正すべき?
A.改正すべき 43%
改正すべきでない42%
Q.9条改正に賛成?
A.賛成31%
反対56%
非常に興味深く重要な結果だと思いました。
◆
では、安倍首相の改憲案に対して、
護憲派・「平和主義」側からの
意見はどうでしょうか。
典型的なのは、安倍改憲案への反論
として書かれた朝日新聞の社説です▼
5月4日付「憲法70年 9条の理念を使いこなす」
http://www.asahi.com/articles/DA3S12922579.html
これについて、
国連幹部やアフガニスタン武装解除の
日本代表も務めた国際紛争解決のプロ・
伊勢崎賢治さんが問題点を指摘されています。
そこを手掛かりに、「論憲」の土台を
探っていきたいと思います。
2■≪解読≫「自衛隊は軍隊じゃない」ことで何が起こるか■
伊勢崎賢治さんのFB(5月4日付)より*****
https://www.facebook.com/kenji.isezaki?fref=ts
「9条の悲劇は、世界第4位の通常戦力に
軍事組織としての法理を与えず、
その法理が支配する現場に送り、
その法理が義務付ける誤射/誤爆に伴う
戦争犯罪を審理する法体系を持たない非人道性を、
兵力地位協定の被害国でありながら黙認し、
今まで事故が起きていない幸運を
9条のお陰としていることです。
好きな新聞社ですが、この社説、だめです。」
**********
一文にかなり高度なことがギュウギュウ
詰め込まれているので、頑張って解読を
試みてみます(^^;
①「世界第4位の通常戦力に
軍事組織としての法理を与えず、
その法理が支配する現場に送り」
↓↓↓
自衛隊は世界有数の戦力だけど、軍隊じゃない。
9条では軍隊を持たないことになってるから。
法理がないっていうのは、
軍隊じゃないために国際人道法の適用外だったり、
軍隊として当然持ってるはずの
軍法がないってこと。
じゃあ例えば軍法がない状態で
「なにか」あったらどうなるのか?
②「その法理が義務付ける誤射/
誤爆に伴う戦争犯罪を
審理する法体系を持たない非人道性」
↓↓↓
軍法では、誤射とか誤爆とか
戦争犯罪の裁き方も決まってる。
でも軍法のない自衛隊が、万が一
現地の人を死傷させてしまったら、
「日本へ連れ帰って、もっと厳しい
軍法で裁くから、ここはひとつ勘弁を」と
現地の人を説得する材料が無い。
それがないのに帰国させれば、
現地の人からみれば「やり逃げ」に
なってしまう。
現地の人にとっても自衛隊員にとっても
「非人道的」な状態に置いてしまっている、ということ。
③「兵力地位協定の被害国で
ありながら黙認し、
今まで事故が起きていない幸運を
9条のお陰としていること」
↓↓↓
この「やり逃げ」、
既に日本は「地位協定のカベ」で、
何度も被害に遭ってきた当事者のはずなのに。
沖縄でオスプレイが「不時着」大破した時も、
不平等な地位協定のために、
日本側は何もできなかった。
そういう悔しさや苦しみを、自衛隊員が
他国の人に味あわせることに
なってしまうかもしれない。
今まで現場で「何か」起きずに
すんだのは、9条のおかげではない。
現場の自衛隊員が身を削るような
細心の注意を払ってきたから。
↓↓↓↓
まとめると、
9条の「軍隊不保持」のために、
自衛隊員にとっても現地の人たちにとっても
過酷なシチュエーションを強いることに
なってしまうというパラドックス。
こんな宙ぶらりんの状態のまま
自衛隊を海外に送っていいのか?
ということですよね。
3■「護憲vs改憲」では勝てないのでは?内容で勝負するためには??■
この社説に典型的な主張で行くと、
立場の違いはあっても
「自衛隊OK、米軍OK、9条もOK」
なんだから、
「安倍改憲案と何が違うの?」って
ハナシになってしまいます。
護憲派がずっと言ってきたことを
そのまま形にしただけ。
そうすると、改憲側の方が、
より現実的に見えてしまうのではないでしょうか。
野党や左派リベラルは、
「護憲・改憲反対」だけでは
選挙も国民投票も勝てないと、
自分自身も危機感を感じます。
だから、これからもっと
勝負できる内容を練り上げていく
必要があると思うんです。
安倍改憲案の穴を突いていく手も
ありますが、それだけでは、
自衛隊員が晒されている
非人道的な現実を変えられない。
9条の条文死守を自己目的化
するのではなく、9条の精神を
活かしていく道はなんなのか。
ココはキモだと思いますので、
今後もさらに掘り下げていきます。
【当ブログ内関連記事】
安倍首相の改憲案。北朝鮮危機もネタ? 明文化しても自衛隊員を救えない理由。▼
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