オトナの社会科・中東からの声を手掛かりに。

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「住民保護」以前に、自衛隊員が国際法で「保護」してもらえない! それでも今すぐ撤退できない理由。








■現地情勢急転・「虐殺」の危機に





自衛隊の新任務付与がアッサリ

決まってしまった一方、

南スーダンの現地情勢は、

最悪の展開も危惧される事態に。




朝日新聞デジタル20161112日付


国連ディエン事務総長 特別顧問 警告

「民族間の暴力が激化し、ジェノサイド(集団殺害)になる危険性がある」▼

http://www.asahi.com/articles/ASJCD4RS3JCDUHBI017.html





PKO5原則の崩壊どころか、

PKOそのものの崩壊の危機に瀕しています。



下手をすると、本当にルワンダや

コンゴでの虐殺の再来になってしまう。





本当にいま現地で必要とされているのは、

虐殺を食い止めるオペレーション。



もしも部隊を留まらせるなら、

そこまでやらないと意味がない。




しかし、いま日本政府にそこまでして

住民を守る覚悟があるのでしょうか?



「ルワンダ虐殺の再来」を防ぐ覚悟が

政府にあるのか??




あるのなら、自衛隊に付与された

新任務どころでは対応できません。



何より国民的合意が成立していない。




もしそこまでやらないのなら、

自衛隊を出す意味はない。



本当に虐殺を防ぎ住民を保護するためなら、

いますぐ政府は、対案を出すべきなのです。







■最大の問題は、自衛隊員を保護する法的根拠がないこと




しかし、現地情勢が安定していようがいまいが、

自衛隊員が現場で直面している最大の問題は、

国際人道法で「保護」してもらえないということです。




万が一、自衛隊員が「交戦」状態となり、

拘束されたりした場合、


「ジュネーブ条約に則って、

捕虜として人道的に扱ってくれ」って

要請する法的な根拠がないのです。




だって、いまの自衛官は

警察予備隊の延長線上の文民で、

「ただの武装した民間人」に過ぎないから。


「自衛隊は軍隊じゃない」から。





詳細はコチラをご参照いただければ…

70年越しの宿題その2・「自衛隊は軍隊じゃない」という理屈が、自衛隊員を危険に晒す(20159UP)↓

http://syuklm.exblog.jp/24931440/






そういうあまりにもありえない「無法」状態に

自衛隊員を追いやってきたのは、

日本の私たち。





現政権だけでなく、

南スーダン派遣を決めた民主党、

そして「自衛隊は軍隊じゃない」と

言い続けて思考停止してきた

護憲派・平和運動側でもあるのです。






もうこれ以上、この状態を

放置するわけにはいかない。





こんな不安定な状態のまま、

自衛隊員に命を懸けさせては

いけないのだと思います。





「賛成議員を落選させよう」。でもそれだけでいいのか? 70年越しの宿題=「軍隊を持つのか・持たないのか」に向き合おう。(20159UP)↓

http://syuklm.exblog.jp/24926841/







■自衛隊が撤退できないワケ:

 「ルワンダの悲劇」を防ぐために変貌したPKO






ここで、「いますぐ撤退させるべき」

…と言いたいのですが、

それでいいのか??という

問題があるのです。





かつてルワンダPKOは、

部隊の人数が少なすぎて虐殺を防げず、

たった100日の間に

80万人もの人たちが犠牲になりました。



そしてその後コンゴでも、

PKO部隊2万人が展開しながら、

武装勢力をとめる権限がなかったために、

アフリカ史上最悪の540万人もの

虐殺をとめられませんでした。





そのため、国連安保理は2013年、

ついに「中立」を捨て、

住民保護のために

戦闘部隊の投入を決定しました。



この時点で「PKO停戦5原則」は

とうに吹っ飛んでいます。



それどころか、今年、

「先制攻撃もアリまで踏み込みました





いまPKOは、

停戦状態じゃなくても、

先制攻撃してでも、

武装勢力から住民を守らなくてはならない。


そのための部隊として

展開しているのです。





だからいま自衛隊は、

りたくても帰れない。




味方部隊と住民を見捨てていくことは、

人道的にも国際的にも

実際的にもできないのです。








■「いますぐ撤退」でいいのか??






かつてルワンダPKOの最高司令官だった

カナダ陸軍のロメオ・ダレールさんは、

目の前で毎日悪化していく

大量虐殺を目撃しながら

座視することしかできず、

帰国後、精神的ショックと

良心の呵責からPTSDとなり、

薬物依存で自殺未遂にまで

追い込まれました。






ロメオ・ダレール×伊勢崎賢治 著

「戦禍なき時代を築く」

NHK出版 2007

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いま、住民を見捨てて即時撤退したら、

自衛隊員も同じような罪の意識に

苦しむことになるのではないでしょうか。




そしてわたしたちも、国際社会も、


またしても住民を見捨て、

「わかっていながらジェノサイドを傍観した」

ということになるのです。





対案を出さなくてはいけないのは、

私達も同じなのです。








■虐殺を防ぐための具体的対案は??






◆国連軍事監視団の派遣


「現憲法でも充分可能で、

日本だからこそできる文民支援」

と伊勢崎賢治さんが指摘。



「国際平和支援」の最前線。報ステ「緊迫のコンゴPKO密着」採録(20154UP)↓

 http://syuklm.exblog.jp/24409230/





◆「紛争レアメタル」の規制


 武装勢力の資金源となっている天然資源

 (特に携帯電話の原料などのレアメタル)

 の規制が、日本ではほとんど全くされていません。


 それを徹底的に締め出すことが

武装勢力を弱体化させることになる



 …等々。






少なくとも、

なぜPKOが「失敗」したのか、

私達はダレールさんたちの

痛苦な体験に学ぶべきでしょう。




そして激変した国際情勢に対して、

日本として何が出来て・何をするべきでないのか、

そこから自衛隊をどうしていくのかを逆算して

あらため考えていく必要があると思うのです。




「国民投票する・しない」はあくまで手段であり、

この70年間棚ざらしにしてきた宿題を、

これ以上先延ばしにしないことが

重要なのだと思います。








byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。
筆者が知る数少ないアラビア語です。
ココでの出会いと、ここまで読んで下さったことに、感謝をこめて。
シュックラム!



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Commented by 群青 at 2016-11-16 14:15 x
しゅくらむさん、こんにちは。

ただいまご拝読致しました。
国連ディエン事務総長特別顧問警告「民族間の暴力が激化し、ジェノサイド(集団殺害)になる危険性がある」でした。
アフガンやイラク並みになるということなのか。
国連PKO主任務「文民の保護」が機能すべき場面がやってくるということですね。
それが国連を中心とする世界の望みでもあり、なんらかの「紛争による住民等の生命の危機」軽減が講じられる必要を感じます。
日本国内第二警察隊は、憲法の縛りから出してはならないですね。これは旧民主党と安部政権が破りましたが、明快な国是のハズ。護憲派の情熱は自衛隊員の生命と安全を訴えていて、正しいとは思いますが、一面で結果的に戦場ジェノサイドを無視した一国平和主義に陥っています。捕獲された自衛隊員が国際法上の「捕虜待遇を受けない」というカラクリもよく知られていません。
ただ、護憲派は一国平和主義を唱えているつもりは無く、知らないからそう言っていると思います。
先日は、伊勢崎賢治さん「非武装軍事監視団への参加」をフェィスブックに上げましたが、政治にお詳しい方から大非難を受けました。自衛隊員を「丸腰」で出すなんて、生命の軽視であり人間として信用ならないという最大級の非難でした。
この方、情熱は高いすばらしい方ではありますが、国連PKOの部門構成をご存知無いのです。
しゅくらむさんのこの問題提起と内容は、もっと知られて良い話題だと思います。
分かれば、とても簡単なことなんですけどネ。
ジェノサイドを傍観していて良いのか・・・と強く思います。
そして、海外内戦・紛争の戦場や村で、また紛争停止後の地域で、日本は憲法の縛りの下で何が出来て何をなすべきなのか、考えるべきだと思います。

Commented by shuklm at 2016-11-16 20:41
早速の丁寧なコメント有難うございます!
お返事遅くなりまして申し訳ありませんm(__)m
また、ニュースソースのご紹介をしていなくて失礼いたしました。
群青さんのブログ記事のお陰様で最新事情を入れることが出来ました。感謝いたします。

仰る通り、護憲派の方々も自衛隊員の生命を思いやっての発言(または大非難)なのですよね…
そこがこの問題の根深いところだと感じます。
どうやってこの乖離を埋めていけばいいのか、
どうすれば届く言葉になるのか、
この場でも考え続けていきたいと思います。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
by shuklm | 2016-11-15 22:00 | 安保法・安全保障・日米関係/戦争と平和 | Comments(2)