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オトナの社会科・中東からの声を手掛かりに。

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【日常スケッチ】一度聴いたら忘れられない、戦車の砲撃音。




砲撃音によって思い知らされたこと




公開中のシリア映画を観ていて、

思い出したことがあります。




民主化運動を担ってきたシリアの若者たちが

政府軍に包囲され、戦車の攻撃に晒されるシーン。


「ドオォォ…ン」と鳴り渡る迫撃砲の音と、

地響きとともに揺れる地面。




映画「それでも僕は帰る シリア・若者たちが求め続けたふるさと」チラシより。

真っ直ぐ砲台を向けてくるシリア政府軍戦車

【日常スケッチ】一度聴いたら忘れられない、戦車の砲撃音。_b0343370_20020219.jpg



腹の底に鈍く響くなんともいえないその重低音は、

私もパレスチナ現地で聞いた、

一度聴いたら忘れられない音でした。





直撃を受けた民家は、

まるで巨人に踏み潰されたようにひしゃげ、

壁も床も抉り取られ、

窓ガラスはすべて吹き飛んでいました。




私自身は着弾地点には居合わせませんでしたが、

砲撃音の間隔が短くなり、

イスラエル軍の戦車が刻一刻と近づいてくる間、

静かに思い知らされました。



たったいま戦車に乗っている相手は、

「こちら側」を同じ人間としては捉えていない。


ただの遠くの「標的」としてしか認識していない。


その「標的」に照準を合わせて撃つという作業を

ただ実行しているだけだということを。


それを無言で通告されているのだ、と。





それによって、目の前で大切な人が傷つけられたり

殺されたりしまうとしたら。


何もしないでそれが近づいてくるのを

ただじっと待っているだけというのは、

耐えられないだろうと思います。




ジェニン難民キャンプの若者たちは、

わずかばかりのライフルを取って

応戦していました。


装備的には全く歯が立たないとしても、

なんでもいいから 

手近に反撃できるものがあるなら、

私だって鍋でも鎌でも片っ端から使うだろうと思う。






だけどパレスチナの人たちは、

かつての日本みたいに

「玉砕戦」をやってるわけじゃない。


毎日毎日戦争だけやって

「最後の一兵まで戦う」なんて、望んでない。



膨大な普通の日常生活があって、

それをあの音が破壊してしまうから、

その時は反撃せざるを得ないだけなんです。








「標的」を撃つ側になるのか





「パレスチナ問題」を複雑化させた国連を

ずっと信用していなかったパレスチナですが、

現在パレスチナ政府は、国際司法裁判所に訴えて、

イスラエル軍の侵攻を

法によって解決しようとしています。



日本はしかしこの人権理事会では、

イスラエルの戦争犯罪を調査するための

委員会設置の決議を棄権するなど、

ずっと及び腰でした

(ちなみに一貫して反対しているのは

アメリカ1国だけ)。




「国際平和支援」と言うのなら、

少なくともそれを邪魔するべきじゃないでしょう。





また、日本政府は安倍首相になってから

武器輸出を解禁し、

イスラエル・ネタニヤフ政権との

軍事協力関係の強化を宣言しました。


少なくとも、日本で作られた武器が

パレスチナへの攻撃に使われることは

絶対に看過できません。




「積極的に平和に寄与する」と言うのなら、

「標的」に照準を合わせる側でなく、

間に入ってでも

それを止める側に立つべきでしょう。





「標的」とされた側に

一瞬でも身を置いたことのある身としては、

改めてそれを訴えたいのです。







【当ブログ内関連記事】


20141015UP記事  水と薬をくれた医師。遠くに響く、戦車の砲撃音。↓

http://syuklm.exblog.jp/23558837/


2015320UP記事  イラク攻撃から12年目の320日に。「やったもん勝ち」を繰り返させないために、国際法廷でイラク戦争とガザ攻撃を裁くべき。↓

http://syuklm.exblog.jp/24266786/



※文章一部加筆しました(2015.8.27)

byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。

筆者が知数少ないアラビア語です。

ここでの出会いと、ここまで読んで下さったことに感謝をこめて。

シュクラム!



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by shuklm | 2015-08-23 20:05 | パレスチナ自治区サイド