オトナの社会科・中東からの声を手掛かりに。

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「カミカゼ」をパレスチナに教えたのは日本人。「今でもカミカゼは日本で尊敬されてると思ってた」と聞いた衝撃。






日本人があまりにも知らない「カミカゼ」





一緒にパレスチナを訪問した友人が、現地で直接聞いた言葉です。





20026月、

パレスチナ・イスラエルと交流する市民ツアーが現地を訪れた際、

ツアーメンバーと、パレスチナのすべての政党が

会談する機会が持たれました。




私は直接参加していないのですが、

その会談に参加したツアーメンバーたちから聞いた話で、

非常に衝撃的だったのは、

ハマスのメンバーの反応でした。





当時、20023月から始まったイスラエル軍の激しい侵攻に対して、

ハマスら「過激派」が「自爆攻撃」で対抗している最中でした。




しかしそれは暴力の応酬を招くだけではないかと考えていた友人が、

「自爆」についてハマス幹部に尋ねると、


「我々がやっている自爆攻撃は、

日本のカミカゼ(神風特攻隊)と同じだ。


日本でカミカゼは尊敬されているのではないのか?」と、

問い返されたそうです。




驚いたツアーメンバーが、

「いや、とんでもない。

そんなことはない」と答えると、


ハマス幹部はひどくショックを受けていたそうです。





「カミカゼ日本で尊敬されてないなんて!」と。





友人も、それを後から聞いた私も、愕然としました。





パレスチナの人たちから、そんな風に捉えられていたなんて。


戦後何十年も経っているのに、

日本で特攻が英雄視されている訳じゃないということが全く伝わっていないなんて。







親日感情の源のひとつである「カミカゼ」




パレスチナ人に「自爆攻撃」を教えたのは、日本人です。




1970年代、日本赤軍(いわゆる過激派)が、

対イスラエルへの武力闘争を開始した時。


パレスチナ人は、「今まで自分たちは

イスラエルにただ殺されるだけだった。

一矢報いてくれた」と喝采し、

その捨て身の戦法は、相手側からは

「カミカゼ・テロリスト」と怖れられました。





「世界革命のため」という日本赤軍の目的はともかく、

「パレスチナのために命を懸けてくれたカミカゼ」は、

現地ではいまでも「英雄」として尊敬されています。







2015年刊の池上彰さんの著書、

「知らないと恥をかく世界の大問題 6」(角川新書刊)にも、

同様の指摘があります。







***引用ココから***





”中東へ行くと本当に親日的な人が多いことに驚きます。



欧米とは違い、日本は過去に何も悪いことはしていないし、

日本人は自分の信じる宗教を強調することもなく、

宗教対立も起きにくいのです”




”とくに中東のアラブ人が日本人を好きになったきっかけに

「テルアビブ空港乱射事件」があります。




この事件とは、1972年、

日本赤軍がイスラエルのテルアビブの空港で起こした無差別テロ事件です。


空港で銃を乱射し、死者24人、

負傷者70人以上を出す大惨事を引き起こしました。




この事件で2人が死亡し、

唯一、生き残ったのが岡本公三です。



この名前は中東で一躍有名になりました。


パレスチナ人は、「日本人がパレスチナのために

わざわざ犠牲を厭わず加勢してくれた」と感激。



当時は、生まれてきた子どもに

「オカモト」「コウゾー」といった名前をつけるのが

流行になったほどです。




いまでもパレスチナへ行って日本人だとわかると、

「オカモトを知っているか?」と聞かれることがあります。



アラブの国の人たちは岡本公三をアラブの英雄といい、

そこから日本人への親近感も生まれています。”






***引用ココまで***







私自身は、彼らの「無差別殺人」を支持することはやはり出来ません。


たとえ「イスラエルがもっと酷いことをしてきた」のだとしても。






もちろん、

「あれは一部の過激派がやったことだ。

日本人全体とは関係ない」と片づけるのは簡単です。



しかし、中東・アラブ世界との強固で良好な関係は、

それ抜きにはあり得なかった。




日本政府もその親日感情を利用して

独自の外交路線を取ることができたし、

「日本人は欧米とは違う」と認識されたからこそ、

日本人は中東・アラブ世界どこででも歓迎されてきた。



間違いなく、そのメリットを日本全体が享受してきたのです。





だから、日本人には責任があると思うのです





自爆」(英語では自殺攻撃)という手段を彼らに教えたことで、

後に退くのを難しくさせてしまった



強大な相手への抵抗の手段として、

自爆・武力闘争への称揚を生み出し、

それはいまや中東のみならず

世界中へ拡散してしまっている。





「自爆は良くない。そんなことはやめろ」と言いたいけど、

そんな正論を日本人が言うのは

簡単じゃないと思うのです。




「それじゃあ、どうしろっていうんだ?


ただ黙って殺されるのを待てと言うのか?」


と問われたら、答えられない。





だって、パレスチナから見ると、

それ以上にインパクトのある支援を

日本からもらったことがない、ということだから。


そして、実際に日本でも

特攻を肯定する人たちが現在も存在しているわけだから。






「息子の死が無意味だったと思いたくない」





国際的な非難もあり、現在パレスチナでは

「自爆(自殺)攻撃」自体はかつてより減っています。


しかし深刻なのは、「自爆」への評価が

「無駄死にじゃない」と、変わってきていることです。




最近、高橋和夫さんのラジオ解説を聞いたのですが、



もともとイスラム教では自殺は大罪のため、

皆が肯定している訳ではなかったそうです。


しかし先の見えない状況が続く中、

自爆者の遺族が「あれは自殺ではなく殉教だ。

未来ある若者が自発的に死を選んだことは正義だったと思いたい。

そう思わないとやりきれない」と、

変化してきてしまっている――というのです。






誰だって、自分の大切な人がただ無意味に死んだ

なんて思いたくないし、

何か意味があったと思いたいでしょう。




それは、日本でも特攻隊員や

軍人・軍属の遺族の方でも同じだと思う。





ものすごくセンシティブな事柄だからこそ、

この時期に書いておきたいのですが、



それを美化し国威や戦争や票田のために利用しようとする国家や政治家は論外として、


一方で遺族が「私たち家族や祖国を守るために命を懸けてくれた。

彼らの犠牲のお蔭で今がある」と思いたいというのは

ごく自然なことだとも思うのです。





確かに、特攻という「ありえない戦法」に

心底恐怖を感じたアメリカが、

玉砕戦を回避するために、

降伏条件のハードルを下げ、

占領政策をソフト路線に転換させたことは

間違いないでしょう。






だけどやっぱり、どんなことがあっても

人の命をそんなふうに使ってはいけないし、

絶対に使ってほしくない、と思う。




本当は生きたかったのに、

あるはずだった未来を全部諦めて

無理やり自分を納得させて死ぬしかなかったことを、

誰かの上に絶対に繰り返させたくはない。




パレスチナでも、日本でも、

世界中の誰にも。







切り捨てるのではなく、英雄視するのでもなく、2度と繰り返さないために





戦後の日本は、「特攻なんて、バカなことをした」

「所詮は無駄死にだった」と、

ある意味切り捨ててきました。



そう言われてしまったら、

「酷いじゃないか。

そんなことはないはずだ」と

言い募りたい気持ちになったとしても

無理はないとも思います。




そういう人たちの思いにも寄り添いながら、

断絶してきた対話を繋いでいく言葉を交わせる回路を

なんとか開通させていくこと、

そしてそれを通じて、

「2度と繰り返させてはいけない」という

合意を創りだしていくことが求められているのではないか。




かつて特攻を国策とし、

パレスチナに「カミカゼ」という手段を教えてしまった日本が、


その歴史を踏まえた上で、

もしも違う道を示すことができるとしたら。


「自爆攻撃」じゃない方法がある、

もっと違うことで生きる道があるんだと

彼らに伝えることが出来たら。



日本独自のアドバンテージを

もっと自覚的に活かすことが出来るのなら、



「日本人が言うんだったら」と、

説得力を持って受け止めてもらえる可能性があるとも思うのです。





日本が目に見える行動を示すことで、

新しいメッセージを送り直していくことが、

本当に今こそ必要だと思うのです。







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なぜ、イスラエルならOKで、パレスチナだとNGなのか?

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「なんでそんな遠い所のことを?」 ~戦後70年の8月に。社会で働き20年、人生ままならないからこそ、伝えたいこと。

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※タイトル変更し、誤字修正・加筆しました(2015.8.18、2015.11.17)


byしゅくらむ


シュクラムは、アラビア語で「ありがとう」。

筆者が知数少ないアラビア語です。

ここでの出会いと、ここまで読んで下さったことに感謝をこめて。

シュクラム!



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by shuklm | 2015-08-17 21:37 | 「テロ」・IS・イスラム・宗教について | Comments(0)